湖畔(43)
IMMENSEE(43)
—————————【43】———————————————
Von den Märchen, welche er ihr sonst erzählt
und wieder errzählt hatte, fing jetzt an, die, wel-
che ihr am besten gefallen hatten, aufzuschreiben;
dabei wandelte ihn oft die Lust an, etwas von
seinen eigenen Gedanken hineinzudichten; aber, er
wußte nicht weshalb, er konnte immer nicht dazu
gelangen.
——————————(訳)———————————————
詩以外にも彼は彼女に何度もくり返し語った物語の中
から、彼女がもっとも気に入った物語を書きとめ始めた;
その際彼(ラインハルト)にいくつか自分の考えをその
中に書き入れたい気持ちが生じた;しかしなぜかわから
ないが、いつもそうするまでに至らなかった.
——————————《語句》——————————————
das Märchen:(同尾式) おとぎ話、童話、昔話、物語;
die Mär の縮小形;
die Mär:(弱en)[古] 昔話、おとぎ話、物語、伝説
sonst:❶その他に、更に、それ以外に、
❷さもなければ、そうしないと、
❸ふだんは、いつもは、
本文は❶の意味.「その他に」というのは「詩」
erzählt:(過去分詞) < erzählen (他) 語る、物語る、
話して聞かせる;
fing jetzt an:今や~し始めた;~にはzu-不定期が入る
本文では文末のaufzuschreiben
なお、fing ~ an (過去形)は分離動詞 < an/fangen
an/fangen:(他) ~を始める、取りかかる
Sie fängt an zu singen. / 彼女は歌い始める.
Sie fängt zu singen an. / 彼女は歌い始める.
wandelte ~ an:(分離、過去) < an/wandeln [文語] (他)
an/wandeln:[...⁴を](気分・感情などが)襲う
Furcht wandelte mich an. /
私は不意に恐怖心に駆られた.
die Anwandlung (弱en) (気分・感情などの)突然の出現、
気まぐれ、
die Lust:(Lüste) (~したい)気、気持ち
eigenen:<einige いくつかの
der Gedanke:(弱) 考え、見解
hineinzudichten:分離動詞のzu不定詞
hinein/dichten:書き入れる
dichten:(他) 創作する、
weshalb:(副)(疑問) なぜ、(関係)⦅定動詞後置⦆
そのために
dazu:それに
gelangen:(自) (~に) 至る