野鳥レストランの筈が、いつの間にかヒヨドリ食堂になってしまった。
メジロや四十雀・エナガ近づくと、目ざとく飛来して追い払う。
懲らしめるために、忘れたふりをしてリンゴの補給を止めたことがある。
ヒヨドリは、食堂の通路にある見通しの良い枝に止まって、降りしきる雪の中でいつまでも待っていたと、かみさんが教えてくれた。
根性悪な野鳥でも、一心に林檎をついばむ姿を見ていると、ひとときの慈善家になれる。
困ったことに食堂の隣に枇杷の木があり、これから咲く花もあれば、すでに小さな実をつけているものもある。
ヒヨドリは食事のあと、枇杷の木に立ち寄って、せっかくの実をデザートとして遠慮もなく食べてしまうのである。
雪雲の切れ間から、雪洞のような日が射しているのに雪が降る。
こういう日の雪は黒い、たぬきの婚礼があるのだろう。