地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

チベット鉄道

2007年08月24日 | Weblog
一夜明けて朝。

まだ時間が早かったので、起きてる人はちらほらしかいません。
通路沿いの椅子に座ってしばしボーッと車窓から移りゆく景色を眺めます。
列車の旅っていいですね~。
気分はすっかり関口知宏


しばらくすると乗務員さんが廊下の窓のカーテンを開けに来ました。
各寝台室の入り口にはドアもカーテンもなく、廊下から丸見えの状態です。
廊下のカーテンを開けると部屋に朝日が差し込んできて、自然と乗客が起きるという仕組みです。(たぶん)


その後Sさんも部屋から出てきたので、2人で景色を見ながらしゃべっていました。
すっかり日が昇り、周りがだんだん起き出してもねぼすけT子はまったく起きてくる気配がないので、強制的に起こしにかかりました。
早く朝ごはん食べようよ~。



さあ、ここで列車の中の様子をご案内しましょう。

乗客のみなさん、起きて顔を洗ったら朝食です。
朝だろうが昼だろうが夜だろうが、列車に乗る旅人の主食はカップラーメン!(がほとんど)


こちら、私と同室の方たち。
全員思いっきりカップラーメンすすってます。




私達はカップラーメンは2食分だけ持ち込み、あとはパンやフルーツなどを食べていました。
中国人は下手したら丸2日間、朝・昼・晩とカップラーメンでっせ!


ベトナムでもそうなのですが、アジアにおけるこのカップラーメンのステータスの高さは一体なんなんでしょうか?
決して体に良くないと思うのに、健康を気遣っているはずの中国人やベトナム人はインスタントラーメンを好んで食べます。
鍋物屋さんに行っても最後に入れる数種類の麺のチョイスの中に、必ずインスタント麺が入っています。


日本に留学する子供に母親がありったけのインスタントラーメンを持たせる光景も目にします。
う~ん、外国で勉強する我が子にインスタントラーメンはないやろ。
お金を渡して「食事だけはしっかりと栄養のあるものを取るように」という風にはならんのか???と、留学生を送り出す度に思っていました。



さて、車内販売のご飯は15元。昼や夜はご飯とおかず数品、朝はお粥もあります。
また、日中は新幹線の車内販売のようなカートに雑誌やトイレットペーパー、トランプなどなど、色んなものを乗せて売りに来ます。ほとんどの物が10元でした。





トイレをはじめとし、車内はものすごい勢いで汚れていくのですが、乗務員さんが定期的に掃除してくれます。(そうでなきゃあ、やってられない・・・。


たっぷりたまったカップラーメンのゴミを片付けたりと、乗務員さんは大忙し。
(あ、私思いっきり寝起きっぽい?気圧の関係で顔がむくんでるんですってば・・・。




大変そうな仕事とはいえ、恐らくこの列車の乗務員というのは花形職業なんでしょうね。
一昔前のスッチーとかバスガイドさんみたいな感じ?



ほぼ丸2日間列車に乗っているのですが、日中はやることもなく、外の景色を見たり、本を読んだり、しゃべったり、うたた寝したり。

暇なので目の前にいる中国人カップル(最初にお世話になった、英語ができる彼氏とワガママそうな彼女)を観察。
彼の方は好青年なんですが、彼女の方はちょっと・・・。

「ねえ、彼、絶対この女にだまされてるよ」
「いやあ、若い時はこういうワガママっぽいのがいいんじゃない?」
「言ってくれればもっと気立ての良い娘紹介してあげるのにねえ」
などなど、言いたい放題で思いっきりおばちゃんな私達3人。



通常、隣の車両へ行くドアは鍵がかけられていて行き来ができないのですが、食事時になるとアナウンスが入り、食堂車でご飯が食べられるので行き来できるようになります。

しかし、これでもし本当に1人だけ車両離れてたら、他の2人にも会えず最悪な2日間だったではないですか!
気が抜けないわ~、チベット鉄道。



暇つぶしに、行き来ができる時間帯に他の車両も覘きに行ってみました。

こちら、寝台じゃなく座席の車両です。
これは軟座のようですね。たとえ軟座でも2昼夜これは辛いな・・・。




こちら、食堂車。
食堂車で食事をするには、どうやら予約が必要なようです。




写真ではすごーく綺麗に見えていますが、実物は普通でした。

テレビ番組の映像や雑誌に載っている青蔵列車の様子はものすごく綺麗で、従業員もピシッとした感じですが、実際はそうでもないと思います。
う~ん、映像マジック・・・。

食堂車あるメニューは車内販売のものと同じだったような気がします。


Sさんが厨房の写真を撮ろうとしましたが、乗務員に注意されて撮影できず。
別に軍事機密でもあるまいに。
意味なく制限されるところに社会主義国を感じます。(ベトナムも同じですから)



途中、いくつかの駅で停車するのですが、大きな駅で長めの時間停車する時は、ホームに下りて食べ物を買ったりします。

これはある駅のホームで買ったクレープのようなもの。



実際は6元なのに、売り子のおばちゃんにまくしたてられ、なぜか8元巻き上げられました・・・。
絶対このおばちゃん、私らが外国人だからってわざとやってる。
言葉ができないってつらい。



車内では、Sさんがスイスアーミーナイフでりんごを切ってくれたので、クレープで巻いて食べました。(ちなみにSさんはまな板を使わず食べ物を切る名人。)



私も絶対欲しい、アーミーナイフ!
聞くところによると安物はやはり良くないそうです。
高くても正規品を買うべし!

停車駅では他にもミニトマトなんかも買って、おやつ代わりに頂きました。
フルーツトマトのような甘いものを想像していたのですが、普通にトマト味でした・・・。



車内ではいつでもお湯がもらえるので、各部屋に備え付けのポットにお湯を汲みに行き、北京の空港から持ってきたプーアール茶を飲んだり、成都のスーパーで買ったコーヒーを飲んだり。
2日目になるとだんだん高度も上がってくるので、高山病対策に水分をたくさん摂取せねば。
でもお湯があるお陰で、9リットルも買い込んだミネラルウォーターはほとんど口にせず・・・。失敗した。



日中はずっと友達の部屋にいて、自分の部屋には夜寝に帰るだけなので、最初は同室の人と全く会話を交わしていなかったのですが、1日目の夜にちょこっと自分のベッドに荷物を取りに戻った際に、同室の男の子2人が話しかけてきました。

相手もかなりのブロークン・イングリッシュ、私もかなりのブロークン・チャイニーズですが、なんとか意思疎通したところ、2人のうち1人は警察官だということが分かりました。

あれこれ世間話をしていると、年齢を聞かれたのでまさか正直に言うと相手がサーッと引いてしまいそうなので、「内緒♪」と言って教えないでいると、「23歳?」とか言ってきます。
むふふ、そんなわけないけど否定もせず。

そのうち相手が「18歳?」とまで言い出し、さすがに「そんなわけないやん!」とツッコミましたがな。
筆談してると、なにやら「18歳は春、19歳は冬」みたいな感じの諺?詩?を書いてきました。
うるさい、こっちはとっくに氷河期だ!

話が延々と続きそうだったので、「あっちの部屋で友達が待ってるので・・・」と適当なところで話を切り上げておいとまし、早速SさんとTちゃんに報告すると、「若く見られて喜んでるのはおばさんだ!」とバッサリ。

まあ、明日の朝明るいところで私の顔見たらびっくりするやろうな、あのおまわりさん。
なんてたってこの旅の間中、私はずっとノーメーク。(すんません)

彼らのうちの1人が警察官だったことを告げると、近所の中国人のおばちゃんらとゴミの後片付けをめぐってバトルを繰り広げていたSさんとTちゃんが、「じゃあそのおまわりさんに、このおばちゃんらのマナー注意してもらおうよ!」とか言い出します。

そ、それは無理やろ・・・。
ピーナッツとかひまわりの種とか食べた後の殻を片付けないで、そのままテーブルの上に置いといたりするのは、中国人的には全然普通ですから。
たとえそれが共有スペースであっても。
ベトナムに住んでいた私にはよ~く分かります。

確かに、人が廊下沿いの机で食事をしている最中でも、ドンと目の前にお湯を入れたカップラーメンを置いて、「はよどけ」とばかりの中国人のおばちゃんの態度に腹が立つのも分かります。
なので、こちらもちょっぴりイジワルして、思いっきりゆっくり食事をして、おばちゃんらのラーメンがのびのびになるよう仕向けたりもしました。むふ。

でもおばちゃんらはラーメンがのびても全然平気な様子だったので、今度は食べ終わってから「ここ座る?」とおばちゃんに合図して、逆に恩を売ってみたり。(相手が恩を感じているかは不明。)

いやあ、なかなか列車内で起こる様々な出来事も面白いもんですよ。



さて、1日目の夜には全員に酸素チューブが配られます。(腹を立てたS&Tが、中国人のおばちゃんに「私の酸素チューブは?」と聞かれ、思いっきり「知らん!」と言ってたりもしましたが・・・。

車内は一定の酸素濃度と気圧が保たれていますが、それでも高山病の症状を訴える人は出るようです。

各ベッドの枕元に酸素チューブを差し込むところがあります。




寝ている間、やばいと思ったら装着すべし。

廊下にも同様に酸素チューブの差込口がありました。



夜中、誰かに揺り起こされ、もう朝が来てSさんか誰かが起こしに来たのかと思ったら、懐中電灯を手にした乗務員さんでした。

中国語で何か言われ、こっちも寝ぼけてるし「はあ・・・?」みたいな反応をすると、納得した感じで他の人を揺り起こしに行きました。

どうやら睡眠中に高山病で具合が悪くなっている人がいないか確かめているようです。
そうか、ちゃんと生存確認までしにくるのか。
熟睡中の私には迷惑な話でしたが。


次の朝起きると、廊下の椅子にたくさんの人が座って、突っ伏して寝ていました。

後でSさんに聞くと、夜中の2時ぐらいに停車したので起きて行ってみると、たくさんの人が起きて廊下に出ていたとのこと。
たぶん私同様、乗務員さんに1回起こされて、そのまますぐに寝付けなかった人じゃないでしょうか。



高度が上がるごとに景色もどんどん変わって行きます。
これがチベット鉄道の醍醐味でしょうね!

走り出して最初は街中を、そしてだんだん緑の深い自然の中を走り、時折また大きな街を通り過ぎ、ラサに近づくにつれて緑が減り、乾いた荒野が広がってきます。






自分達の乗っている列車の影。




途中でヤクの群れや、野生のヤギらしきものにも遭遇。





この時はたいそう興奮しましたが、ラサ入りしてしまえばヤクは嫌と言うほど見られます。


最後の方でまた緑が出現し、菜の花のような黄色い花がいっぱい咲いていました。





すったもんだの列車の旅の末、ようやく終着点のラサ駅に到着。
ラサ駅は意外と近代的で大きくてびっくり。






同室のおまわりさん達は上の段のベッドからスーツケースを降ろすのを手伝ってくれたり、あれこれ世話を焼いてくれて、あくまでも親切でした。


おまわりさんに気に入られた私は、「一緒に写真撮ってください」と言われ、駅のホームでツーショットで撮りましたが、特にメール交換とかもしなかったのでそのままです。
ま、それもいいでしょう。

どこのホテルに泊まるのかと聞かれ、「ラサホテル」と答えると、「???」な顔をされたので、やや不安がよぎります。
だ、大丈夫だろうか、桂林の旅行代理店・・・。

なにはともあれ、お互いに良い旅を!


ラサに近づくに連れ、列車内の気温もだんだん下がってきていたので、現地はさぞかし寒いだろうと思ってウインドブレーカーを着込んでホームに降り立ったのですが、寒くはありませんでした。
でも日差しが強烈!
油断するとものすごい日焼けするぞ~!


ここでもちゃんとガイドさんが迎えに来てくれていたので、一応中国の懸案事項はクリアです!
よかったよかった。

ようやく憧れのチベットへ足を踏み入れることができました!



~おまけ~
こちらがチベット列車の切符。



ベッドの上の段が671元、中段が692元、下段が712元です。(1元は約16円)
実際には切符代の倍ぐらいの賄賂が支払われているのですが。

そして注目。
上段と下段の切符は14車17号(SさんとTちゃんが寝た部屋)なのですが、中段の切符だけ14車6号(おまわりさんらと同室)なのです。
本当に、今思い返しても、不手際があったとはいえあの成都のガイドさんが必死に切符を交換してくれたお陰で、なんとか3人とも14号車に乗れてよかったです。

ある意味、ツイているかもしれないこの旅

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2 コメント

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 (ふーちゃん)
2007-08-28 15:11:51
写真のクレープのようなものには味がついてるん?
2日間全食カップラーメンとは想像しただけで
胃もたれが・・・。
中国は美食の国じゃなかったの?(勝手な思い込み?)

列車移動だけでも大変そうやけど
本当の災難はこの後なのよね??ははは。
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塩味 (hikki)
2007-08-28 16:42:32
クレープはちょっと塩味系。
微妙にちらほらネギが入っていたりもしたので、りんごを巻くよりかはおかずを巻いた方がおいしいと思うけど。

チベットでの災難話はこのブログに書くべきか、書かざるべきか?!
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