『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第10章  アキレスとヘクトル  6

2008-02-04 08:31:23 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 アキレスは、明日から使用する武器と楯、身に着ける鎧と兜等について考えをめぐらせて歩を進めていた。武器の優劣は闘いを制する、これは洋の東西を問わず、今も昔も変わらない。アキレスの使っている武器は、他の将たちとは違っていたのである。他の将たちの中には所有している者がいたかもしれないが、ヘクトルは使ってはいなかった。ヘクトルの使っている剣と槍の穂先は、青銅である。アキレスの剣と槍の穂先は、時代の最先端である鉄で造られていた。この時代、鉄は黄金よりも高価であった。青銅と鉄の材質の差違は、武器の優劣を決定していた。青銅製の刃物に比べて堅剛性が秀れていた。次にいえることは重量である。青銅の方が、鉄よりも一割強重いのである。青銅製の武器よりも軽い鉄製の武器の方が、設計の自由度が高く、機能性の秀れたものが造れたのである。
 アキレスの使っていた剣と槍は、他の将たちのものより、少々長く、剣合時の間合いの距離に影響した。そのうえ、バランスよく出来ており使い勝手がすこぶる良かったのである。刃先の鋭利性も青銅の剣をはるかにしのぎ、斬撃に有利であった。
 アキレスの鍛えぬかれた腕、秀れた武器は闘う対手を制していたのである。