夜が明け、朝の訪れである。火葬の火は鎮まっていた。アキレスは、いまだ熱の冷めやらぬ灰の中から、友の白い骨を拾い骨壷に入れていく、骨壷に骨をいれるたびに、友との思い出を噛みしめた。骨壷は、塚の予定地の地面の上に置かれた。粗い造りの石で囲われていく、その上に土がかけられていく、そして、塚となっていく、石で作られた小部屋である。その入口は、アキレスの思いによって閉じられなかった。己の死を見つめながら、友を送ったアキレスの心情は、ひりひりときしんだ。いずれの日にか、この友の骨と己の骨が混じりあうときまでの自分の姿が瞼の裏に描かれていた。戦場を駆け、群がる敵と干戈を交えている。しかし、自分の身に訪れる死のかたちだけが欠落していた。
パトロクロスは、冥府へ旅立った。弔いは終わった。友の栄誉を称える儀式、弔祭競技大会が始まろうとしていた。
パトロクロスは、冥府へ旅立った。弔いは終わった。友の栄誉を称える儀式、弔祭競技大会が始まろうとしていた。