皆の揃ったところで、アガメムノンは、心を尽くした哀悼の言葉を述べた。松明を手にした者たちは、哀悼の気持ちをこめて、山と積まれた薪に火をつけていった。火は、はぜながら燃えていく、荼毘の火は、ごんごんと勢いを増して燃えていった。夕闇が迫ってくる、火勢は、天空を焦がす勢いで燃えていた。
この火を遠くから見つめる目があった。トロイ城壁の櫓の上から、プリアモス、ヘカベ、そして、アンドロマケの三人とつきの者たちが、息をひそめて、ヘクトルなき嘆きを胸に、天空を焦がしている火葬の焔を涙を浮かべて見つめていた。
三人の胸には、闘って、闘って、命を絶たれたヘクトル、我が息子の葬儀がどんなかたちで出来るのか、はたまた、出来ないのか。異質の不安で息をするのも苦しかった。遺体が著しく傷んではいないだろうか。犬や鴉、そして、猛禽の鷲がついばんでいるのではないだろうか。それを思うと、いても起ってもいられなかった。周囲の者たちは、この三人の姿を見ることが出来ないくらいに痛々しかった。三人は、思い苦しんでも、自分の力で戦い、ヘクトルの遺体を奪い返すことが出来ない故に、苦しみに圧しつぶされそうになることに耐えなければならなかった。
この火を遠くから見つめる目があった。トロイ城壁の櫓の上から、プリアモス、ヘカベ、そして、アンドロマケの三人とつきの者たちが、息をひそめて、ヘクトルなき嘆きを胸に、天空を焦がしている火葬の焔を涙を浮かべて見つめていた。
三人の胸には、闘って、闘って、命を絶たれたヘクトル、我が息子の葬儀がどんなかたちで出来るのか、はたまた、出来ないのか。異質の不安で息をするのも苦しかった。遺体が著しく傷んではいないだろうか。犬や鴉、そして、猛禽の鷲がついばんでいるのではないだろうか。それを思うと、いても起ってもいられなかった。周囲の者たちは、この三人の姿を見ることが出来ないくらいに痛々しかった。三人は、思い苦しんでも、自分の力で戦い、ヘクトルの遺体を奪い返すことが出来ない故に、苦しみに圧しつぶされそうになることに耐えなければならなかった。