『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第10章  アキレスとヘクトル  24

2008-02-26 08:29:19 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 夜が来た、プリセイスのいたわりも、アキレスの心の嘆きを癒さなかった。
 パトロクロスに今日のことを話し、彼の肩を両手で抱いてやりたかった。彼は、パトロクロスの名を大声で叫んだ。夢でもいい会いたかった。彼は、まどろんだ、まどろみの中にパトロクロスがいた。彼は微笑んでいる、去ろうとしている、ひき止めようとするアキレス、腕を伸ばして彼の腕を掴んだ、むなしかった。手のひらは、わずかばかりの空気を握っていた。
 葬儀を行う朝が明けた。軍団、総出で火葬の準備に取り掛かった。荼毘に使う薪の準備にはイデー山まで出かけて大量に準備した。アキレスは、海岸より少しばかり、うちにはいった小高いところに火葬の場を決めていた。薪は積まれていく、山のように積まれた。積み終えた薪の上に、パトロクロスの遺体を寝かせた。アキレスは、自分の髪を一掴み切とり、パトロクロスの手に握らせた。仲間の将兵たちも、髪の一房を切とり遺体の上に振りまいていく。牛を屠り、いけにえとした。捕虜としていたトロイの少年兵12人の命を絶ち、パトロクロスの供として、一段低い薪の上に並べて、火葬の準備が整った。アキレスは、アガメムノン他、主だった諸将にも声をかけ列席してもらった。