『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  141

2011-08-10 07:02:40 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスもオキテスも、現場の者たちから伝わってくる、いきいきした雰囲気を肌に感じた。
 失敗をクリアした、オロンテスがみんなに言葉をかけた。効を奏したのであろうか、場が引き締まり、動く者たちの眼力が強くなった。昨日と今日、その違いにパリヌルスをはじめスタッフたちの目を見張らせた。
 ここに至って、パリヌルスは完成した舟艇の姿をまぶたのウラに描くことが出来た。『う~ん、イメージどおりだ。いける』彼はうなづいた。と同時に心のうちでこのプロジェクトにたずさわっている一同に深く感謝した。
 『者どもありがとう。舟艇は出来た。俺たちが、我々が架けようとしている明日への架け橋をこれで渡りきれる』 彼は強く自信を持った。
 また、彼は、『誰がこの俺に、このようなチャンスをくれたのか』 この不思議に感じ入った。オキテスたち、プロジェクトのスタッフたちもパリヌルスに似た心境でいた。彼らも何が何だかを知らずにこの不思議に感じ入っていた。
 舟艇の建造がスタートして一ヶ月が過ぎた。舟艇がその姿カタチを整えてきた。
 オロンテスは、打ち合わせの席で皆にはかった。
 『ところでだが、用材を伐りだしているときに見立てておいた『帆柱』に使う用材を明日、森へ取りに行こうと思っている。パリヌルス、オキテス、ご両人同道してもらいたいのだが、いかがだろうか』