『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  150

2011-08-23 06:47:49 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 彼は、考えをめぐらせながら深い眠りにはいっていった。彼の寝所には窓がない、昼でも薄暗い。
 夜明けの浅い眠りのときである、彼はゆれていた、夢うつつでゆれていた。いや、誰かが彼をゆすっていた。目が覚めた、耳元で声がした。
 『隊長っ!隊長っ、起きてください』
 浜の見張りを担当している者が彼を起こした。
 『おっ、何だ?』
 『統領も、軍団長も、棟梁のオロンテス、他のスタッフも浜に来ています』
 『え~っ!俺は寝過ごしたのか、わかった。直ぐ行く、ご苦労』
 彼は跳ね起きて浜へ急いだ。今日のことを思案しながら浜へと駆けた。
 『お~っ、パリヌルスが来た、来た』
 『あっ、統領、おはようございます』
 『おう、おはよう』
 『皆もおはよう。俺は、よく寝ていたらしい、おくれてすまん』
 『いや、俺たちが早いのだ。水を浴びて、さっぱりして来い』
 『おう、ありがとう。じゃ、ちょっと行ってくる』
 パリヌルスは、波打ち際に歩を運んだ。
 秋の深まりつつある海は、冷え冷えと彼の身を引き締めた。もやもやがふきとんで消えた。彼の意識はしっかり覚醒した。