『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY            第5章  クレタ島  96

2012-08-09 05:06:19 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おうっ、これが市場か。何でもあるじゃないか。先ず『ぶどう』を買いつけろ!次に副菜の物色だ』
 彼らは見て廻った。手当たり次第に味見をしながら物色した。選んだのは、塩漬け肉を軽く火を通して乾燥させた古代のジャーキーを買いつけた。
 彼ら一行700人分というと、考えた量を絶していた。あらためて70人くらいの者たちを呼び寄せて運ばせた。
 オロンテスの買いつけは、駆け引きの仕方がなかなか巧妙であり一同は舌を巻いた。彼らの思いをこえた安さであった。
 市場からの道中でパリヌルスは、オロンテスに話しかけた。
 『おっ、オロンテス。お前たちは先立ちだ。昼めしを終えたら、すぐに出航してくれ。パロスからクレタまで、2日の航程で航海日程を組んでいる。途中天候待ちの余裕を一日として、3日分、それにパロス停泊一日分、都合4日分に相当するパンを焼いてほしいのだ。たいへんな量だ。やれるか?』
 『それだけの量ですとまる一日かかりますね。パロスの停泊に1日をみておいてください』
 『判った。よろしく頼む』
 『判りました』
 オロンテスは引き受けの答えを返し、話している間に浜に着いた。
 彼らは買いつけてきた物品を分配して、舟艇に積み込んだ。
 『オロンテス、この船には、酒をどれくらい積んでいる?』
 『はい、20樽くらいですが』
 『そのうちの4樽、舟艇に積んでほしい。それからオキテスのところと、俺のところの分のアーモンドも積んでくれ。頼んだぞ!』
 太陽は中天に位置し昼時を示していた。