一行は神殿の前に起った。神殿は周囲の建物を圧倒して巨大であり図抜けていた。彼らの心身には神に対する敬虔な気が充ちて高まってくる。神域とはかようなものであるかということが感じられた。
アエネアスは凛として対峙の気構えであるらしい、アンキセスは二度目のことでもあり、何かを思い起こそうとしていた。それでいて頭をたれ気味の姿勢は敬虔と己の謙虚をあらわしていた。
神殿の中から二人の巫女が近づいてくる。一行は対応するよう身構えた。その二人は麗々しく笑みをたたえた風情は、その美しさで一同をかたまらせた。一行の風体と言えば、一団の海賊を率いている猛者の雰囲気であった。
巫女が声を発した。抑制の効いた声音は静かに、彼らの堅く閉じた心の扉を融かすように貫いて深奥に届いてきた。
『よくぞおいでなされました。神官は、只今、先に来駕の方に神託の告示を行っています。こちらでお待ちなさいますよう』
彼女たちは案内するようにきびすを返した。彼らは、その挙措にえもいわれぬ感情の波立ちを覚えた。
巫女は一同を神殿のうちに招じ入れた。その場は大きな静謐な空間であった。冷ややかな空気が身に触れてきた。待席に着いたアエネアスはギアスに言葉短く指示をした。
『ギアス、持参した品々を、これへ』
ギアスは荷解きのうえ形を整え、巫女に手渡した。
『アポロン神への奉献の品です。お受け取りの上、アポロン神へお届けいただきたい』
『確かに受納いたしました。アポロン神へお届けいたします』
こうして、最初の一事を終えた。
アエネアスは凛として対峙の気構えであるらしい、アンキセスは二度目のことでもあり、何かを思い起こそうとしていた。それでいて頭をたれ気味の姿勢は敬虔と己の謙虚をあらわしていた。
神殿の中から二人の巫女が近づいてくる。一行は対応するよう身構えた。その二人は麗々しく笑みをたたえた風情は、その美しさで一同をかたまらせた。一行の風体と言えば、一団の海賊を率いている猛者の雰囲気であった。
巫女が声を発した。抑制の効いた声音は静かに、彼らの堅く閉じた心の扉を融かすように貫いて深奥に届いてきた。
『よくぞおいでなされました。神官は、只今、先に来駕の方に神託の告示を行っています。こちらでお待ちなさいますよう』
彼女たちは案内するようにきびすを返した。彼らは、その挙措にえもいわれぬ感情の波立ちを覚えた。
巫女は一同を神殿のうちに招じ入れた。その場は大きな静謐な空間であった。冷ややかな空気が身に触れてきた。待席に着いたアエネアスはギアスに言葉短く指示をした。
『ギアス、持参した品々を、これへ』
ギアスは荷解きのうえ形を整え、巫女に手渡した。
『アポロン神への奉献の品です。お受け取りの上、アポロン神へお届けいただきたい』
『確かに受納いたしました。アポロン神へお届けいたします』
こうして、最初の一事を終えた。
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