『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY     第6章  クレタ  53

2013-03-14 09:33:50 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アヱネアスの上陸地点から西側海岸線地帯の視察調査が終わった。
 浜ではオロンテスの帰りを待ちわびていたセレストスが彼を呼びに来る。ほかの者たちも担当部署に帰って行った。彼ら全員の夕めしは、日常の定番に戻っていた。
 オロンテスは、全員が過ごす日々、その日々の糧、小麦の現在保有量、副菜品等のありようについて考えていた。冬を過ごし、迎える春、、財務の事にも考えをお及ばせていた。それらについての見通しを砦建設に着手する前に主だった者に諮っておかねばならないと腹に決めた。また、それらに関する物資の調達方法を浜頭との打ち合わせ時に目途をつけたいと心に決めた。
 このようなことを考えると彼は夕めしの味も味あわず、ただただ空腹を満たすために腹におさめるといった食べかたであった。彼は思いたった、居ても立ってもいられない自分を感じた。
 『よしっ、今日のうちに軍団長に、このことの話だけでも通しておかねば、、、』と心に決めた。
 藍色の夜のとばりが浜を包んでいく、彼は軍団長の許を訪ねた。
 『軍団長、おいででしたか』
 『おう、オロンテスどうした。何か俺に話したいことでもあるのか』
 イリオネスは、オロンテスが何事かを真剣に考えている表情を見て察した。
 『あ~、軍団長。お察しがいい、判りますか。え~、ちょっと我々の大事が始まる前に、通しておきたい要件があります』