『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY     第6章  クレタ  55

2013-03-18 09:29:34 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『オロンテス、それにしても我々が行っていく事業は大変だな。俺も考えてはいるが気のつかない点が多々ある。これからも頼むぞ。そこで最後の二人だけの話というのは、何だ』
 『それは、私たち二人以外に聞かれてはいけない用件です。二人だけで話せる場に行きましょう』
 『おう、判った』
 二人は浜辺に出た。人気のない場所に移った。
 『オロンテス、いいだろう。ここなら他人の耳を気にすることはない』
 宵闇の浜である、人の気配はない、ざわついているのは波の音であった。
 『いいでしょう。軍団長』オロンテスは話し始めた。
 『軍団長、財務の事です。私の預かってい食糧に関する支出分ですが、主食の小麦の件を別にして、春まで充分にまかなえると考えられます。冬に向かうこの時期であり、そのうえ新しい土地でもあります。そのようなわけで収穫するものがないわけです。そう言った事情なので調達手段によって賄わなければなりません。この部分は、私の裁量で決済していってもかまいませんね。。軍団長のご意見はいかがなものでしょうか』
 『その件は、一切お前の判断でよろしい』
 『ところで、これからのち、来年の収穫時期まで我々の収入は途絶えるわけですが、我々の大事の実行を控えてそのあたりの財務の計画は万全でしょうか。少々ではなく、大変気にかけています。財務の一翼の責任を担っている私として大変心配しています』