『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  34

2013-06-11 08:41:45 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 スダヌスと浜衆、彼らは出船の準備を終えていた。彼等にも、頂き物の返礼にと焼きたてのパンが手渡された。スダヌスは大声をあげて礼を述べた。
 『やっややっや!これはこれは、ありがたいっ!喜んでいただきます。ありがとうございます。今朝は、クリテスの顔を見ていませんが、軍団長、存分に引き回してやってください』
 イリオネスは、その言葉にうなずいていた。
 スダヌスは、礼を述べて身を船上に運んだ。彼を乗せた大型の漁船は、海面を泡立たせて浜を離れた。海の朝凪の時であった。
 あわだたしさが一段落した。周りを見回すイリオネス。彼はオキテスを手で招いた。
 『オキテス、ご苦労。ところで、アレテスに指示して、主だった者たちを集めてくれ。明日の移動に関する打ち合わせ会議をやる。人選はお前に任せる、いいな。一同が集まったら連絡してくれ。俺はそれまで統領と一緒だ』
 『時間は、半刻くらいいただきますが、いいですか』
 『おう、いいだろう』
 『軍団長、ところで、小島の件です。時を見計らって軍を起こします。パリヌルスとは打ち合わせ済みです。これについては、会議の場で発言しないでください。含んでおいてください』
 『お前ら、そのようなことまで考えていたのか。判った。それから、セレストスとクリテスは、今朝、早朝に集落の現場見取り図の作成に出発させてある。午前中に帰ってくる予定になっている。以上だ』
 『軍団長、もう、そこまで。判りました。では、のちほど』
 パリヌルスとオロンテスは、テカリオンと話し合っていた。