『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  39

2013-06-18 06:52:00 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『諸君!喊声で答えてくれてありがとう』
 アヱネアスは、沸きあがった喊声の礼を言った。彼は、両の手を広げて喊声を静めた。
 『軍団長、打ち合わせを始めてくれ』
 『はい、判りました』
 イリオネスは、出席している者たちと鋭い目線を合わせて、彼らの意志を確かめた。目線があう、スパークする、スパークのあとの安堵感が互いの意欲を強調した。彼らの心をいやがうえにも燃えあがらせた。
 『明日、昼めしを終えたら、この地を撤収して築砦予定地に移る。築砦予定地はキドニアの街の西の浜である。2船団を編成して、この浜をはなれる。船団の編成については、、パリヌルス隊長、オキテス隊長が担当している。各々は、この二隊長の指示命令に従って移動する。諸事に細心の注意を払って行動すること。移動は、明日の日没をもって終了する。以上だ。命令指揮は、第一船団は、パリヌルス隊長。第二船団は、オキテス隊長である』
 イリオネスの訓示、指示、通達が終わった。彼の心のうちは、この指示通達を終えたことによって、すでに事は成ったと確信した。信頼にスタンスした事の成り行きと成就が風景として瞼の裏に浮かんだ。移動に関する諸事の実行がパリヌルスとオキテスに託された。
 二人は、船団について説明するとともに、船長及び副長を任命した。
 パリヌルスは、クリテスの末の弟に依頼した案件を気にかけていた。