『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  35

2013-06-12 07:20:15 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、パリヌルス。オロンテス、テカリオンも一緒か。俺もすぐ来る。ちょっと、アレテスに集合の指示をしてくる』
 『判った。待っている』
 オロンテスは、気にかけていた諸事についてテカリオンと話し合っていた。このクレタのキドニアの街での商慣習、商取引、また、来春以降の主食の小麦の件、そして、生鮮食料品の買い付け等について、あれこれと聞き取った。パリヌルスはもっぱら聞き役に徹していた。オキテスが姿を見せた。オロンテスの話し合いは終わろうとしていた。
 パリヌルスとオキテス、テカリオンとの話し合いは『これから、どうする』が話題である。
 『ところでだ、テカリオン。お前、どうだ。クレタのほうがエノスに比べて、来やすいのではないのか。取引もこちらのほうが活況だろう』
 『え~え。それはもう、言われる通りで。北部エーゲ海沿岸地域の比べると活況がありますな。何といっても物の動きが活発です』
 『そうか、そうであろう。取引の場も各所にある。その場その場で取引の物品も違ってくる。ここが売り場か、買い場かによって、取引の的もしぼられてくるいうものだ。テカリオン、お前も仕事がしやすかろう』
 『そりゃ~、そういうもんだろう。仕事をやっていくうえで無駄がない。俺が仕事の重きを置いているのは、売りであって、買いの仕事の割合は少ない』
 『テカリオン、聞くが。このあと、クレタに来るのは、いつ頃だ?』
 『そうだな、新しい年が明けて、来月の末になる』
 『よしっ、いいだろう。俺たちもそれまでには方向付けができるというものだ。そのときまでに『これから、どうする』の方針をまとめておく。それで、どうだ』
 『判った、それでいい。オキテス殿、それまでに例の新しいものを完成させておいてくださいよ』
 『俺にものを言うのに、殿つけか、まいったな』
 話は終わりに近づいていた。