第１２章 攻略 ３

　エペイオスは、オデッセウスから今度の作戦計画を聞いて、鳥肌をたてて緊張した。
　『これをやるからには、必ずうまく造ってみせる。オデッセウス。安心して見ていてくれ！』
　『判った、頼むぞ！成否の鍵は、お前の造る馬だ。』
　作戦準備は始まった。この大作戦を前にして、オデッセウスは、のんびりと何くわぬ顔をしている。作戦実行を控えての緊迫感は感じられなかった。
　連合軍の将兵たちも戦野に陣を敷いて、トロイ軍と小競り合いを繰り返している。ネオプトレモス、ピロクテテスの軍団は、三日に一度は手を変えて城壁を攻めている、進展はなかった。戦いの合間には、いつもながらの食糧調達の軍を仕立てて、近隣の村や町に出かけていた。
　そうした日の午後、エペイオスは、木馬製作の打ち合わせに、オデッセウスの陣営を訪れた。オデッセウスは、エペイオスを伴い、アガメムノンの幕舎で他の将も
呼び寄せ、こと細かに、その詳細、日程等を打ち合わせた。検討項目の中で木馬の大きさの決定に意見が交錯した。