『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

[Aeneis's story] episode Ⅳ『建国の地へ』 To the funding of a nation 第1章 イピロスへ 13

2019-11-27 06:16:32 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 風が己の力を誇示して吹きまくる、アエネアスとイリオネスが船陰に風を避けて話し合っている。
 『なあ~軍団長、この荒れは、すざまじい!海の上ではこのような嵐には、会いたくない!』
 『同感です!統領。私もそのように思います。統領、我々がクレタを出てから今日が7日目です。ここらで暦を確かめておきたいと考えています。クレタを出航して、ただただひたすらに航海に明け暮れています。記録しておきたいと考えています』
 『そうだな、軍団長。書き留めてくれるか』
 『解りました。私が書き留めます』
 イリオネスがやや大きめの木板と木炭を準備する、記録を書き留める準備をする、アエネアスと話し合いながら木板に日々の経過を書き記していく。

    3月21日 クレタ島を出航 キューテラ島沿岸洋上に停泊
    3月22日 キューテラ島沿岸洋上を出航 ペロポネソス半島西南端のピユロスに着港
    3月23日 ピユロスにて1日を過ごす スダヌス紹介のトーバル浜頭と接遇
    3月24日 ピユロスを出航 ペロポネソス半島スピンツア沿岸洋上に停泊
    3月25日 スピンツア沿岸洋上を出航 サギントス島南岸の湾に着港 レガント浜頭に接遇
    3月26日 サギントス島にて1日を過ごす 夜半より風雨強まる
    3月27日 サギントス島にて風雨の収まりを待つ

 『書き終わりました。統領、目を通してください』
 『おう、今日がクレタを出航して7日目か。海旅の序の口だな。嵐がおさまれば海路の日和となるかな?』
 『保証はできませんな!私らの淡い期待です』
 『それにしてもだな、自然の力は偉大だな。人はちっぽけな存在でしかない。この風、この嵐に手も足も出せない、ちじこまっているだけだ!』
 『全くです』
 『ところで風だが、おさまりそうにないな。若し、航海の途上でこのような風に遭遇しらばだ、背筋が凍る。海の藻屑になって、魚のエサになって終わりだな』
 『統領、そのような悲観的な話はいけません!今の我々は、希望を抱いて未来に生きようと旅の途中なのです。希望のあふれる話題を話してください』
 『おう、そうだな、悪い悪い、許せ!』
 時は午前半ばである、風は一向に衰えない、パリヌルスが顔を見せる、話し方に明るさを含ませて話しかけてくる。
 『軍団長、風が一向に衰えませんな。しかし、希望です。西方の空を見てください、明るくなってきています。もう少しで風はおさまります』
 イリオネスが西の方角の空を見る、口を開く。
 『お前の言う通りだ。西の空が明るくなってきている。いい傾向だ!』
 『明日の海路の日和が期待できます。明日、早朝の出航の準備を整えます』
 『おう、そのように準備を整えてくれ』
 アエネアスとイリオネスが西の空を眺める、目を合わせる、目を輝かせる。
 オロンテスが用件を携えて姿を見せた。


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