姿を見せたオロンテスにイリオネスが声をかける。
『おう、オロンテス、どうした?何か用件があるのか?』
『航海計画と事情は、パリヌルスから聞きました。全く現地の事情が不明なるところを行くわけです。その地が我々に好意的であるか、否かが解らないわけです。そういった事情を考えて、現在、準備している焼いたパンの量を点検しました』
『どんな具合だ?どうしたいかを言ってくれ!』
『都合、二日分のパンを焼いておきたいと考えています。風がおさまり次第、作業にとりかかりたいと考えています』
『解った。やってくれ!浜頭の了解についてはこちらでやる。風のおさまりをみて作業を進めてくれ』
『それで燃料の件ですが、手持ちが少々ありますが、不足が考えられます。その件を含めて対処かたを頼みたいのですが』
『心得た!万事に手を尽くす』
イリオネスがパリヌルスを呼ぶ、オロンテスの用件と事情を話す。
『パリヌルス、そういうことだ。レガント浜頭に事情を話し対処してくれ』
『解りました』
パリヌルスは浜頭の許へ歩を運ぶ。
浜頭は快く了承してくれる、用件の対処を終える。
アエネアスとイリオネスの話し合いが、パンのことに及ぶ。
『軍団長、二日分のパンを焼くとオロンテスが言ったな。二日分と言うとどれくらいのパンの量だ?ちょっと計算してみてくれ』
『統領、口では簡単に二日分と言いますが、かなりの量です』
イリオネスが計算する。
船団の者らが食べる主食のパンの量は、一日当たり約1150個余り二日で2300個余りである。そのパンを10個余りのかまどで焼く。
その作業量は極めて大きい、オロンテスは、焼き上げ時間の短縮を工夫して作業をこなしている。
浜頭に対する謝礼用にスペッシャルパンも焼きあげる。
それを持参してアエネアスとイリオネスがパリヌルスを同伴して謝礼におもむく。
『レガント浜頭殿、あなたの島に停留して大変に世話になりました。風のおさまり待って滞在が3日にも及びました、その間、いただいた厚意に礼を言います。ありがとうございました』
『いえいえ、どういたしまして出来ることしたまでです』
『明ける明日は、いい旅立ちの日になりそうです。陽の出の刻に出航します。いついつまでも壮健でいられるように祈ります』
『これはこれは、アエネアス殿、丁寧に。あなた方の航海の無事を祈ります』
イリオネスがアエネアスに代わって口を開く。
『浜頭からいただいた紹介状、航海図でもってケルキラ島まで、無事なる航海をします。いろいろ世話になりました。ありがとうございました。これは浜頭の厚意に届きませんが、私どもからの礼品です。受け取ってください』
『そうですか。ありがたく頂戴します。あの旨いパンですな、ありがとう!』
浜頭がアエネアスに向けて手を差し出す、差し出された手をガシッと握るアエネアス、続いて、イリオネス、パリヌルスが浜頭と握手を交わす。
アエネアスらは、三日間の滞在の礼を述べて浜頭のもとを去る。
彼らが三日間停留した浜が、明日の好日を約束するように茜に染まっていた。
『おう、オロンテス、どうした?何か用件があるのか?』
『航海計画と事情は、パリヌルスから聞きました。全く現地の事情が不明なるところを行くわけです。その地が我々に好意的であるか、否かが解らないわけです。そういった事情を考えて、現在、準備している焼いたパンの量を点検しました』
『どんな具合だ?どうしたいかを言ってくれ!』
『都合、二日分のパンを焼いておきたいと考えています。風がおさまり次第、作業にとりかかりたいと考えています』
『解った。やってくれ!浜頭の了解についてはこちらでやる。風のおさまりをみて作業を進めてくれ』
『それで燃料の件ですが、手持ちが少々ありますが、不足が考えられます。その件を含めて対処かたを頼みたいのですが』
『心得た!万事に手を尽くす』
イリオネスがパリヌルスを呼ぶ、オロンテスの用件と事情を話す。
『パリヌルス、そういうことだ。レガント浜頭に事情を話し対処してくれ』
『解りました』
パリヌルスは浜頭の許へ歩を運ぶ。
浜頭は快く了承してくれる、用件の対処を終える。
アエネアスとイリオネスの話し合いが、パンのことに及ぶ。
『軍団長、二日分のパンを焼くとオロンテスが言ったな。二日分と言うとどれくらいのパンの量だ?ちょっと計算してみてくれ』
『統領、口では簡単に二日分と言いますが、かなりの量です』
イリオネスが計算する。
船団の者らが食べる主食のパンの量は、一日当たり約1150個余り二日で2300個余りである。そのパンを10個余りのかまどで焼く。
その作業量は極めて大きい、オロンテスは、焼き上げ時間の短縮を工夫して作業をこなしている。
浜頭に対する謝礼用にスペッシャルパンも焼きあげる。
それを持参してアエネアスとイリオネスがパリヌルスを同伴して謝礼におもむく。
『レガント浜頭殿、あなたの島に停留して大変に世話になりました。風のおさまり待って滞在が3日にも及びました、その間、いただいた厚意に礼を言います。ありがとうございました』
『いえいえ、どういたしまして出来ることしたまでです』
『明ける明日は、いい旅立ちの日になりそうです。陽の出の刻に出航します。いついつまでも壮健でいられるように祈ります』
『これはこれは、アエネアス殿、丁寧に。あなた方の航海の無事を祈ります』
イリオネスがアエネアスに代わって口を開く。
『浜頭からいただいた紹介状、航海図でもってケルキラ島まで、無事なる航海をします。いろいろ世話になりました。ありがとうございました。これは浜頭の厚意に届きませんが、私どもからの礼品です。受け取ってください』
『そうですか。ありがたく頂戴します。あの旨いパンですな、ありがとう!』
浜頭がアエネアスに向けて手を差し出す、差し出された手をガシッと握るアエネアス、続いて、イリオネス、パリヌルスが浜頭と握手を交わす。
アエネアスらは、三日間の滞在の礼を述べて浜頭のもとを去る。
彼らが三日間停留した浜が、明日の好日を約束するように茜に染まっていた。
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