神殿の女官は、深い眠りから目が覚めた。彼女は、老王の朝の礼拝の準備に取り掛かった。いつもの神殿の雰囲気と、少々感じが違う、おかしい、だが、異変は見当たらなかった。礼拝した老王も気がつかなかったようである。しかし、三日後にその異変が発覚した。城内に動揺が走った。その動揺が城市内に広まり市民は動揺した。彼等は神殿に集まり、事の重大さを認めるとともに、市民の心の中に抵抗しがたく広がっていく暗雲、そして、その暗雲は、彼等の身をも包みこんだ。そして、トロイ城市全体をも不安でくるみつつんだ。
プリアモス一家をも不安のどん底に沈めた。プリアモスは、トロイの安泰を、その神像に祈りあげていただけに衝撃は、彼を打ちのめした。しかし、一国の王としてくじけることは許されない。トロイ一国の未来に通じる道を、消えかかる松明の炎で照らしたかった。彼は、子息のデイポポスとトロイ守護の任にあるアエネアスを身近に呼んで、彼等に心のうちを話し、国に対しての思いを説き、トロイ一国の運命を託した。
このとき、トロイの運命、炎上消滅の日が、あと30日余りと迫っていたのである。
プリアモス一家をも不安のどん底に沈めた。プリアモスは、トロイの安泰を、その神像に祈りあげていただけに衝撃は、彼を打ちのめした。しかし、一国の王としてくじけることは許されない。トロイ一国の未来に通じる道を、消えかかる松明の炎で照らしたかった。彼は、子息のデイポポスとトロイ守護の任にあるアエネアスを身近に呼んで、彼等に心のうちを話し、国に対しての思いを説き、トロイ一国の運命を託した。
このとき、トロイの運命、炎上消滅の日が、あと30日余りと迫っていたのである。
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