『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  987

2017-03-14 08:35:01 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『パリヌルス殿、それには及びません。今夜、こちらに厄介になりますので』
 パリヌルスとスダヌス、二人が挨拶を交わしている間にオロンテスは、建造の場に足を運び、統領と軍団長、オキテスの三人を連れて二人のところへ姿を見せた。
 『あ~、統領殿に軍団長殿、そして、オキテス殿。とびっきりの朗報を耳にして飛んできました。このたびの快挙おめでとうございます。謹んでお祝いいたします。これはとびっきりうまい酒です。この肉をほおばって飲みましょう』
 『スダヌス浜頭、これは逆です。私たちこそ貴方にお礼の接待をしなければならないのに』
 『統領殿のいられるところで新艇完売の快挙をお祝いする。それが私の何よりの喜びです』
 『わかりますた。浜頭の言葉をいただいて、今宵は、美酒、うまい肴を楽しみましょうや』
 イリオネスは応える、夕食会の場つくりの指示をする。
 『軍団長、場所はどこにしましょうか』
 『そうだな。打ち合わせも夕食会の場も統領の宿舎の前庭にする。そして、スダヌス浜頭の今夜の宿舎の件も頼む』
 『解りました』
 彼ら五人がスダヌス浜頭を囲んで行う新艇納入航海の打ち合わせの段取りをした。
 一同が統領の宿舎の前庭に集まる、イリオネスが打ち合わせ開始の辞を述べる、パリヌルスが新艇納入航海計画について、計画表を提示して説明する、スダヌスが感動に震えながらうなずいている。
 『いや、よく解りました。そのように計画されているのであれば、クレタ土着の案内人として二つの航海に参加させていただければ幸いです。私の申し入れを受けてください』
 この言葉を聞いて五人は驚いた。
 レテムノン行きについては、双方が承諾済みである。テムパキオ行きについては未承諾である。パリヌルスは、イリオネスに耳打ちをした。
 『軍団長、この両航海は、オキテスの責任担当です。軍団長がオキテスの意向を聞いて、決めていただければ、それでよしです』
 『解った』
 イリオネスはオキテスと二言三言、言葉を交わす、イリオネスがスダヌスと向き合う。
 『スダヌス浜頭、解りました。浜頭の厚意を喜んで受けます。両航海ともオキテスが責任担当しています。詳しいことはオキテスと話してください』
 『おう、ありがとう!快諾いただいて、この上なくうれしい!私はうれしい、オキテス殿よろしく頼みます』
 『はい、私もうれしい!スダヌス浜頭は、私にとって頼れる相談役です。こちらこそよろしく願います』


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