『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  224

2010-06-02 06:33:30 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 イリオネスは会議の開始を宣した。
 『諸君!今日も大変ご苦労であった。では、これより会議を開く。統領を前にして、各部の担当責任者の諸君たちから工事の進捗にについての報告を受ける。明後日の午後、砦と宿舎の完成を皆で歓びあおうと思っている。では、そこの、君から報告を始めてもらおう。まず、始めに担当部署を告げ、進捗具合を説明してくれ。40名余りから報告を聞くのだ、だらだらとした報告はだめだ。いいな』
 報告が始まった。
 『私の担当は、東面の門です。明日、午前中に仕事が完了します。以上』
 『よし。了解。ご苦労。つぎ』 イリオネスが返事を返す。
 このように報告が繰り返されて、皆がたずさわった砦の建設工事の出来具合が各部署からの報告によって確認された。
 イリオネスは、この報告を受けて、明日の手配と段取りを決めた。
 報告によると北東の櫓と西門の工事の進み具合が遅れていた。彼は、アレテスにこの部署の明日の完工について手配することを命じた。完了部署の人員については最終点検の人員を残して、全員が砦の外周及び砦内の空き地の整地をするように指示した。責任者には、傷の癒えたアカテスとリナウスの二人をあてた。

第2章  トラキアへ  223

2010-06-01 07:46:58 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 トロイ人たちは、突貫姿勢で建設と畑地の耕作に当たった。秋の収穫をめがけて種を蒔く、すでに芽吹いた作物の世話と多忙を極めた。宿舎建設には、オロンテスの檄が飛んでいた。アエネアスはもっぱら砦の作業に皆に混じって精を出した。
 メッセージで伝えた蚊やりのいぶし草は効き目はそれなりだが皆から好評を得ていた。
 工事の進展はぐんぐん進んでいた。着工から2週間の時日がたっていた。にわか造りの砦だが入念に仕上げられていった。アエネアスは、工事の進み具合を櫓の上から丹念に見ていた。
 夕刻近くになって、イリオネスは会議を招集した。場所は完成した宿舎の一棟で開くことにした。会議の席には、幹部責任者及び各部署の担当責任者も顔をそろえた。
 アエネアスは従者に案内されて会議の場に現れた。出席者全員が拍手で彼を迎えた。