巨大なアポロン神の立像の頭部が高い天井まであり、その前にかしまずく三人を睥睨していた。
アポロン神は、父のゼウス神とは、異質であり、片や、天秤を用いて運命をはかり決断を送るが、もう一方は、組する者に医の方術を用いて癒し、己の意思にそぐわぬ者に殺を施す。しかし、アポロン神の子孫であるアスクレピオスは医神として人間に対して普遍的に接したらしいといわれている。ちょっと余談でした。
アポロンの神前には、貢ぎの全てが奉献されていた。神官の声が殿内に響きわたる。
『ご両人、アポロン神に対する願い事を祈り、奏上してください』
二人は頭をたれ床の一点を見つめて、声には出すことなく胸に秘めている一事についてのみ、祈りあげた。アエネアスは口中で絶叫に及んだ。いかに今日まで想いに耐えてきたか、声なき声でわめいた。でありながら冷静さを保っていた。彼の激情は、場に不思議さを起発させた。不思議と言いたいスピリチュアル感に打たれた。彼の座している清澄な空域に存在しているイメージが身体を巡って通り過ぎていった。彼は薄目を開けて傍らの父の姿をつかの間であったが視野に入れた。まさに静そのものであった。彼の姿は語っていた。
『息子アエネアスよ。民はお前の者であり、お前の時代だ。心して起つのだ。建国せよ!国を興すのだ!』
『ビッ!バシッ!』
父の想いが火花を散らしてのスパークである。火柱が背骨を突き抜ける、炎の嵐が身体を巡って、その二つが空中に昇華する、計り知れないエネルギー塊である。灼熱の火の核となるや。時を待たず、巨大に膨大するや、大爆発に及んだ。
この風景は、誰のものでもなくアエネアス一人のものであった。彼が感じた瞬時の現象であった。
神官と父の姿は場と静かに融和していた。
神官は、向きを変え、アエネアスと父アンキセスに対峙して、おもむろに口を開いた。
アポロン神は、父のゼウス神とは、異質であり、片や、天秤を用いて運命をはかり決断を送るが、もう一方は、組する者に医の方術を用いて癒し、己の意思にそぐわぬ者に殺を施す。しかし、アポロン神の子孫であるアスクレピオスは医神として人間に対して普遍的に接したらしいといわれている。ちょっと余談でした。
アポロンの神前には、貢ぎの全てが奉献されていた。神官の声が殿内に響きわたる。
『ご両人、アポロン神に対する願い事を祈り、奏上してください』
二人は頭をたれ床の一点を見つめて、声には出すことなく胸に秘めている一事についてのみ、祈りあげた。アエネアスは口中で絶叫に及んだ。いかに今日まで想いに耐えてきたか、声なき声でわめいた。でありながら冷静さを保っていた。彼の激情は、場に不思議さを起発させた。不思議と言いたいスピリチュアル感に打たれた。彼の座している清澄な空域に存在しているイメージが身体を巡って通り過ぎていった。彼は薄目を開けて傍らの父の姿をつかの間であったが視野に入れた。まさに静そのものであった。彼の姿は語っていた。
『息子アエネアスよ。民はお前の者であり、お前の時代だ。心して起つのだ。建国せよ!国を興すのだ!』
『ビッ!バシッ!』
父の想いが火花を散らしてのスパークである。火柱が背骨を突き抜ける、炎の嵐が身体を巡って、その二つが空中に昇華する、計り知れないエネルギー塊である。灼熱の火の核となるや。時を待たず、巨大に膨大するや、大爆発に及んだ。
この風景は、誰のものでもなくアエネアス一人のものであった。彼が感じた瞬時の現象であった。
神官と父の姿は場と静かに融和していた。
神官は、向きを変え、アエネアスと父アンキセスに対峙して、おもむろに口を開いた。
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