2013年11月22日(金)
監督:三谷幸喜
主演:大泉洋、役所広司、佐藤浩市
私は愛知県名古屋市(の隣の市)の出身なので、こういう映画はもうストーリーだけで嬉しくなっちゃったりします。
「うんうん。結局、信長も秀吉も家康も愛知県だもんね。三英傑だもんね。どうだー、スゴイだろー。エライだろー。」
いうまでもなく、私自身は信長とも秀吉とも家康ともまったく血縁関係はありません。
もしかしたら、信長に殺された農民か、秀吉の生家の隣のボロ家に住んでいたルンペンか、家康軍に加わって最初の合戦でいきなり斬り殺された足軽が私の祖先だったのかもしれませんが、そんなこたどーでもいい。
これが「郷土愛」ってヤツかもしれません(中日ドラゴンズは好きじゃありませんが)。
役者さんも良かった。
佐藤浩市さんはホントにいい役者さんだと思います。今、一番脂が乗りきってる男優の一人だと思います。秋のサンマの塩焼きというか。シリアスな役も悪役もコメディも何を演らせても上手い。
大泉さんのコミカルな秀吉も秀逸でした。世評ではそのコミカルさが取り上げられているみたいですが、私としては秀吉が家康に切る啖呵にグッと来ましたね。善悪とかを超越して天下を目指してる男の凄味がじわっとスクリーンから伝わってきて。コミカルな演技の要所要所に「凄味」を織り交ぜてみせる大泉さんの演技は特筆モノだと思います。
役所広司さんの一本気で、ちょっと抜けてて、憎めない柴田勝家もよかった。
この映画はストーリーというより(ストーリー自体は特に唸らせられるような所はなかったです。三谷さん、すいません。)、これでもか、というくらいの役者さんたちの演技が評価のポイントだと思ってます。まぁ、ここまで豪華キャストを集められるのも「三谷幸喜」であるが故だろうと思いますが。
ただ、セットが、、、、、
ちゃちい。往年のNHK時代劇観てるみたい。平坦で、のっぺりしてて、奥行きも陰影もなくて。
セットの平坦さが役者さんたちの好演まで薄っぺらなものにしそうで、そこのところは観ていてハラハラしました。もう少しセットというか、映像にお金かけても良かったんじゃないかと思います。せっかくの「三谷幸喜」作品なんだから。
先般、三谷さんが連載している朝日新聞夕刊のコラムに、「映画に点数をつけて批評する」ことに対して苦言を呈しておられました。
三谷さんとは弁護士になる以前にお仕事でご一緒させて頂いたりしているので(「三谷幸喜」の名前を世に知らしめた「12人の優しい日本人」の初演は私がプロデュースしていた演劇フェスティバルだったんですよ。ウソみたいな話だけど)、このブログで映画に点数をつけている私としては三谷さんのコラムを読んで軽くグサッときましたが、今回も点数はつけます(ニヤリ)。
80点。
芸術家とか、エンターテイナーとか、作家とか、とにかく「作品を生み出す」ことを生業としている人は、順位であれ賞であれ点数であれ、自分が生み出した作品に対する評価を受け入れる勇気と覚悟を持つべきです。そして、自分の作品が、どれほど世間に酷評されようと、その作品を愛し続ける強さを持つべきです。
三谷さん。すっかり御無沙汰している間に三谷さんはビッグになられ、私はしがない弁護士になりましたが、今も変わらず応援しております。