つれづれなるままに弁護士(ネクスト法律事務所)

それは、普段なかなか聞けない、弁護士の本音の独り言

終戦のエンペラー

2013-08-08 15:57:12 | 映画

2013年8月2日(金)

監督 ピーター・ウェーバー

出演 マシュー・フォックス、トミー・リー・ジョーンズ、初音映莉子、西田敏行

 

忙しくて先週観た映画のレビューをようやくアップです。

面白かったです。

レイトショーで観たのですが、客席はほぼ満員でした。

途中までは

「マシュー・フォックスと初音映莉子のラブストーリーはいらないんじゃね?」

とか思って観てましたが、最終的にはこの2人のラブストーリーが「昭和天皇の戦争責任」を考えるための重要な布石になっていくわけで、そのあたりの話の流れのうまさは脚本の勝利かと。

 

昭和天皇の戦争責任は法的責任と道義的責任がごっちゃになって論じられてたりしてますが、私個人的には「法的責任否定説」、「道義的責任は否定できず」という立場です(そういえば卒業論文も「天皇制」がテーマでしたが、戦争責任については法的責任は問い得ず、という結論にした記憶があります。ずっと昔の話ですが。)。

映画の中では

「戦争続行を主張する軍部に抗して終戦の決断をした」

ことや

「自らの処分をマッカーサーに委ねた」

こと、

「天皇は神と崇められていたが、政治的には何一つ実権を有していなかった」

こと等を通じて、「道義的責任を追及するのは憚られる」という流れになっていますが(少なくとも私はそう感じました)、終戦決断があと半月早ければ広島・長崎の犠牲は避けられたはずですし、もっと早ければ東京大空襲をはじめとする本土大都市の空襲被害も沖縄の方々の悲惨な被害も避けられたはずです。

その意味で、私としては「昭和天皇の戦争に関する道義的責任は否定できず」という意見なのです。

ただ、昭和天皇がお亡くなりになるまでのその活動の軌跡を見る限り、ご自身の道義的責任を意識して、その贖罪に身を捧げ続けておられたのですから(少なくとも私にはそう思われます)、もはや昭和天皇の道義的責任を追及する」ということは無意味なのではないかと思います(そもそも「道義的責任の追及」ってどういう形で行うんだ? 何をすれば道義的責任を果たしたことになるんだ? という議論が抜け落ちた状態で「道義的責任論の有無」を論じることの意味があるのか、と言う問題もあります。)。

ちなみに、トミー・リー・ジョーンズの「ちゃんとした映画での演技」を私は初めて観たのですが、存在感のあるとてもイイ役者さんだと思いました。

80点。

 

 

 


硬派れ

2013-08-06 10:19:17 | 日記

戸井十月氏の著作を紹介したら、何人かの方から

「人の言うことを聞かない(←でっけぇお世話!)平岩先生の人生を変えるとは、どんな本ですか?」

とお問い合わせを頂きました。

前回の「戸井十月氏の早逝を悼む」でも書きましたが、既に絶版です。

かんき出版さんから昭和54年に出版されたもので、正式なタイトルは

「硬派れ <落ちこぼれ>が天下をとる!」

 

私の手元には1冊だけあります。

Amazonで探してみたら中古で1387円~6980円で出品されていました。

発売時の価格は650円だったので、2倍~10倍の値が付いているようです。

最後のページにこんな一節があります。

「お前らはお前らの場所でやる。それしかない。いつかどこかで出会ったら、何かを一緒にやろう。笑いながら、バカなヤツらを吹き飛ばそうぜ。(中略)自信をもて。仲間はたくさんいる。」

私は多分、この言葉に支えられて、ここまで来ました。

だから、この言葉を、今まで私が出会ったすべての非行少年と、これから私が出会うすべての非行少年に贈っておきます。

 

この本を読んだ中学生の私は、その後ずっと、

「いつか戸井さんと出会って、何かをやろう!」

と思い続けてきたのだと思います。

「私の場所」はその時々で、新聞奨学生だったり、居酒屋の兄ちゃんだったり、コピーライターだったり、シナリオライターだったり、演劇プロデュサーだったりしましたが、今は弁護士業です。

 

残念です。

戸井さんと、世界を笑い飛ばしながら、何かを一緒にやりたかったなぁ。

 

 


名古屋市守山区の介護付き老人ホーム

2013-08-02 16:18:30 | 日記

母は名古屋市守山区にある介護付き老人ホームに入居しています。

入居当時の社長さん兼ホーム長の岡野さんはこちらが恐縮するくらい一生懸命入居者のことを気遣ってくれる人でしたが、その後、ホームを経営している会社内のいざこざがあり、代表者・ホーム長が交代するたびにホームの対応がひどくなってきました。

今は劣悪。

月々の請求書は全く送られてきません。

(母はもう、目もよく見えませんし、字も書けないので)母宛の郵便物はすべて私に転送してくれるようお願いしているのですが、これも2年以上、放置されたまま。

たまに会いに行くと母は、

「目薬を買って欲しいと頼んでも買ってくれない。肌が痒いので医者に連れて行って欲しいと頼んでも無視される。」

と不満たらたら。

あまりにひどいので、何度か社長兼ホーム長のK女史に面談を申し込んだり、連絡をくれるようにお願いしましたが電話一本かかってきません。

スタッフさんへの給料も支払いが遅れているそうで、何人かのスタッフさんからは「辞めたいけど、今、自分たちが辞めたら入居者の方々のお世話をする者がいなくなってしまう。入居者の方に罪はないのだから迷惑はかけられない」と告白されています。

母は人工透析を長く続けていて、今年で80歳になるので、引っ越しに伴うストレス等を考えると別のホームに転居させることもできません。

監督官庁の名古屋市介護指導課には通報しましたが、その後どうなっているのやら。

 

介護の世界の闇に頭を抱える毎日です。