三流読書人

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ドングリ小屋住人 

田中恭吉作品Ⅱ 悔恨

2004年12月29日 10時12分28秒 | 教育 
 竹久夢二に学び、ムンクに傾倒し、恩地幸四郎、藤森静雄と版画と詩の私輯『月映』を刊行し、注目された田中恭吉は、萩原朔太郎に詩集『月に吠える』の挿画を依頼される。この仕事に意欲的であったが、1915年8月結核のため病没。23歳。恩地幸四郎が跡を引き継ぎ完成するが、田中恭吉の作品は収録されている。
 萩原朔太郎は『月に吠える』の再版の中で田中恭吉に献辞を捧げている。以下その献辞の一部。
 「恭吉氏は自分の芸術を称して『傷める芽』といっていた。思うに恭吉氏の芸術は『傷める命』そのもののやるせない絶叫であった。実に氏の芸術は『語る』というのではなくして、殆ど『絶叫』に近いほど張りつめた生命の苦喚の声であった。」
 夭逝の芸術家たち、青木繁、中原中也、石川啄木、佐伯祐三などなど。老境に入って、今、これらの若者の残していったものが気になって仕方がないのである。

田中恭吉「悔恨」 (ペン・金彩)