近づくヘリコプターは、雲の中、下辺の辺りを飛んでいるようだでL霞んで見えていた。
大型の輸送ヘリ。米軍ではないだろうから、自衛隊だろう。
以前にも何度か見ているし、そうそう、原発事故があった後、この機が数機で編隊を組んで福島第一原発方向に飛んでいったのを記憶している。
ヘリコプターだから航空自衛隊だろうと考えていた。機体はCH-47Jだと分かった。しかし、このこの機種は、陸上自衛隊と航空自衛隊が運用していることが分かった。陸自は隊員や装備品の輸送用、空自はレーダーサイトなどに機材を運搬するため等に運用しているという。
さて、今日、飛んだのはどちらの機体か。
見比べていると、陸自と空自は塗装が違う。陸自は明度を落としたダーク・オリーブ・グリーンとタンの2色による迷彩柄。空自は、同じく明度を落としたダーク・シー・グリーンとオールド・レース、そしてインディアン・レッドの3色による迷彩柄。飛んできたCH-47Jは赤系の塗装が見えている。空自の機体に違いない。
北東から飛来して南西の雲の中に消えていった。百里基地をめざしているのだろうか。
そうそう、原発事故の後に見た機体は2色の迷彩塗装によるCH-47J だった。陸自の機体が、空中から事故炉に冷却水を投入する任務を負って飛んでいったのだろうと思う。最大3機を同時に見た記憶がある。
自衛隊は災害時の救援活動もするし、この面で国民の信頼も強い。一方、安倍政権のもとで安保法制を強行し、世界のどこでも米軍との共同作戦を担えるようにされた上、最近、オーストラリア軍とも共同作戦を実施できるように検討が開始され、世界での集団的自衛権行使の幅を広めようとしている。その自衛隊員達が他国での戦闘に巻き込まれないかと心配する国民も多いことだろう。
自民党政権下で、自衛のための実力組織として出発した自衛隊の自衛範囲は、今や自国周辺から世界に広げられている。
「空母いぶき」という漫画がある。映画化された時、首相役を務めた佐藤浩市さんのビックコミックにおける発言に作家の百田尚樹氏がツイッターで噛みついた。
佐藤さんのコメントは
「最初は絶対やりたくないと思いました(笑)。いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね」
「彼(首相)はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです。だからトイレのシーンでは個室から出てきます」
と言うもので、自分の役者としての立ち位置を説明し、困難な決断をする役柄の精神的厳しさを表すための工夫をのべたものに過ぎなかったと思うのだが、これに百田氏が噛みついたわけだ。
そんなこともあり、どんな漫画なのか気になって読み始めたわけだが、なるほどそんな考えもあるかという感想とともに、現代の軍事技術に感心することしきりになった。
作品は、尖閣諸島を軍事的に占領しようとする中国軍の一部が暴走したことに対し、護衛艦いずもの空母回収がモデルと思われるが、垂直離着陸型のF-35Bを搭載した「空母いぶき」を含む自衛隊の艦隊が、自衛隊法等の遵守に努めながら戦闘し撃退するという内容だ。
空母を含む艦隊と潜水艦も行動を共にし、作戦中の艦隊の周辺はヘリコプターを出動させ情報収集を継続する、魚雷攻撃を防ぐため囮となるデコイという武器がある等々、艦隊の運用はこのようなものなのかということが分かった。最も驚いたのは護衛艦の主砲から発射される弾丸は、発射後に軌道が調整される・・弾丸の軌道は主砲の角度と装填する火薬量で決まり、発射後には放物線の軌道を取るものと思っていたが、そうではないというのだ。自分の知識のなさ・・というか知識の古くささにめまいがするようだ。軍事技術はどんどん進んでいたのだ。
その「空母いぶき」の続編となる「空母いぶき GREAT GAME」がある。北極海に気候変動調査に自衛隊の護衛艦が出かけ、偶然近くに居合わせたため、ソナーらしきものを引き上げた他国の民間の調査船を正体不明の勢力の攻撃から守り救出する物語のようだ。気候変動調査に護衛艦が出かけるという妥当性は置いて、中国の次は北方領土問題を抱えるロシアが仮想敵という筋書きだ。
さて、この物語に次のようなセリフがある。
調査船責任者「そちらは日本自衛隊のデストロイヤー(駆逐艦)ですね!?」
自衛官艦長 「公式には汎用護衛艦と言いますが。」
調査船責任者「は・・・」
日本では、日本国憲法の制約で軍隊を持てないため、兵器を保有する実力組織を軍隊と呼ばず自衛隊と呼称し、戦車を特車とするなど、兵器も別の言葉に置き換えていた。最も、近年は戦車は「戦車」と呼称するなど、呼称の変更も行っているようだが、引き続き置き換えた呼称で呼ばれている場合があるようだ。
先のセリフもその一つで、空母を中心とする艦隊は、例えば米第7艦隊の「第5空母打撃群」の場合、空母とイージス巡洋艦(より攻防力にすぐれ長期間航続が可能な戦艦)1隻とイージス駆逐艦(攻防力が優れた高速移動が可能な戦艦。一般に巡洋艦より小型)2隻、攻撃型原子力潜水艦1~2隻、補給艦1隻で構成されるという。空母、巡洋艦、駆逐艦、潜水艦、補給艦で1セットとされるのだ。これが一般的な姿だろう。
日本は、「いずも」続いて同型艦の「かが」を改修し、空母を保有することになる。これらの空母が艦隊を組む場合、巡洋艦や駆逐艦が必要になるが、海外派兵を予定しない自衛隊が、航続期間に優れた巡洋艦を保有する必要がない。従って駆逐艦、潜水艦、補給艦で艦隊を組むことになるのだろう。自衛隊の場合、同等の能力を持つ護衛艦が駆逐艦に代わり空母と艦隊を組むことになる。こうした事情があるから漫画での先のやりとりとなるわけだ。
調査船の責任者の言葉にあるように、自衛隊が装備をどんなに言い換えたとしても、国際的な見方は軍隊そのものだ。その自衛隊が、すぐれた兵器を装備し空母も保有する。駆逐艦は護衛艦と呼称しすでに保有している。
また、より機能の充実した垂直離着陸機オスプレイの暫定配備を進めた。航続距離が2,600kmで最高速度が毎時465kmのオスプレイの任務は、上陸作戦時に敵地深く兵員と武器を輸送することにあるというのが一般的なよう。つまり、敵軍を海岸の上陸部隊と敵軍の背後に展開した部隊で挟撃し、上陸作戦を有利に展開することにあるらしいのだ。
島嶼防衛を理由に水陸両用車の配備も進めるが、これだって上陸作戦に利用できる兵器となる。
安保法制で共同作戦をとることができるのは、同盟国、すなわち米国だけだ。しかし、オーストラリアとの共同作戦も検討が始まるようだ。国民の生命と財産、国土を自衛するための自衛隊には賛同できが、他国で軍事行動をとることはやめようようと言いたくなる。
頭上を飛ぶ自衛隊機。たびたび見ながら、そんなことを考える。
さて空にはきょうも民間の航空機が飛んだ。
エアーブリッジ・カーゴのモスクワ~成田便だ。
やはり貨物便。旅客機は少ない。新型コロナの影響は大きい。
大型の輸送ヘリ。米軍ではないだろうから、自衛隊だろう。
以前にも何度か見ているし、そうそう、原発事故があった後、この機が数機で編隊を組んで福島第一原発方向に飛んでいったのを記憶している。
ヘリコプターだから航空自衛隊だろうと考えていた。機体はCH-47Jだと分かった。しかし、このこの機種は、陸上自衛隊と航空自衛隊が運用していることが分かった。陸自は隊員や装備品の輸送用、空自はレーダーサイトなどに機材を運搬するため等に運用しているという。
さて、今日、飛んだのはどちらの機体か。
見比べていると、陸自と空自は塗装が違う。陸自は明度を落としたダーク・オリーブ・グリーンとタンの2色による迷彩柄。空自は、同じく明度を落としたダーク・シー・グリーンとオールド・レース、そしてインディアン・レッドの3色による迷彩柄。飛んできたCH-47Jは赤系の塗装が見えている。空自の機体に違いない。
航空自衛隊HPより
航空自衛隊HPより
北東から飛来して南西の雲の中に消えていった。百里基地をめざしているのだろうか。
そうそう、原発事故の後に見た機体は2色の迷彩塗装によるCH-47J だった。陸自の機体が、空中から事故炉に冷却水を投入する任務を負って飛んでいったのだろうと思う。最大3機を同時に見た記憶がある。
自衛隊は災害時の救援活動もするし、この面で国民の信頼も強い。一方、安倍政権のもとで安保法制を強行し、世界のどこでも米軍との共同作戦を担えるようにされた上、最近、オーストラリア軍とも共同作戦を実施できるように検討が開始され、世界での集団的自衛権行使の幅を広めようとしている。その自衛隊員達が他国での戦闘に巻き込まれないかと心配する国民も多いことだろう。
自民党政権下で、自衛のための実力組織として出発した自衛隊の自衛範囲は、今や自国周辺から世界に広げられている。
「空母いぶき」という漫画がある。映画化された時、首相役を務めた佐藤浩市さんのビックコミックにおける発言に作家の百田尚樹氏がツイッターで噛みついた。
佐藤さんのコメントは
「最初は絶対やりたくないと思いました(笑)。いわゆる体制側の立場を演じることに対する抵抗感が、まだ僕らの世代の役者には残ってるんですね」
「彼(首相)はストレスに弱くて、すぐにお腹を下してしまうっていう設定にしてもらったんです。だからトイレのシーンでは個室から出てきます」
と言うもので、自分の役者としての立ち位置を説明し、困難な決断をする役柄の精神的厳しさを表すための工夫をのべたものに過ぎなかったと思うのだが、これに百田氏が噛みついたわけだ。
そんなこともあり、どんな漫画なのか気になって読み始めたわけだが、なるほどそんな考えもあるかという感想とともに、現代の軍事技術に感心することしきりになった。
作品は、尖閣諸島を軍事的に占領しようとする中国軍の一部が暴走したことに対し、護衛艦いずもの空母回収がモデルと思われるが、垂直離着陸型のF-35Bを搭載した「空母いぶき」を含む自衛隊の艦隊が、自衛隊法等の遵守に努めながら戦闘し撃退するという内容だ。
空母を含む艦隊と潜水艦も行動を共にし、作戦中の艦隊の周辺はヘリコプターを出動させ情報収集を継続する、魚雷攻撃を防ぐため囮となるデコイという武器がある等々、艦隊の運用はこのようなものなのかということが分かった。最も驚いたのは護衛艦の主砲から発射される弾丸は、発射後に軌道が調整される・・弾丸の軌道は主砲の角度と装填する火薬量で決まり、発射後には放物線の軌道を取るものと思っていたが、そうではないというのだ。自分の知識のなさ・・というか知識の古くささにめまいがするようだ。軍事技術はどんどん進んでいたのだ。
その「空母いぶき」の続編となる「空母いぶき GREAT GAME」がある。北極海に気候変動調査に自衛隊の護衛艦が出かけ、偶然近くに居合わせたため、ソナーらしきものを引き上げた他国の民間の調査船を正体不明の勢力の攻撃から守り救出する物語のようだ。気候変動調査に護衛艦が出かけるという妥当性は置いて、中国の次は北方領土問題を抱えるロシアが仮想敵という筋書きだ。
さて、この物語に次のようなセリフがある。
調査船責任者「そちらは日本自衛隊のデストロイヤー(駆逐艦)ですね!?」
自衛官艦長 「公式には汎用護衛艦と言いますが。」
調査船責任者「は・・・」
日本では、日本国憲法の制約で軍隊を持てないため、兵器を保有する実力組織を軍隊と呼ばず自衛隊と呼称し、戦車を特車とするなど、兵器も別の言葉に置き換えていた。最も、近年は戦車は「戦車」と呼称するなど、呼称の変更も行っているようだが、引き続き置き換えた呼称で呼ばれている場合があるようだ。
先のセリフもその一つで、空母を中心とする艦隊は、例えば米第7艦隊の「第5空母打撃群」の場合、空母とイージス巡洋艦(より攻防力にすぐれ長期間航続が可能な戦艦)1隻とイージス駆逐艦(攻防力が優れた高速移動が可能な戦艦。一般に巡洋艦より小型)2隻、攻撃型原子力潜水艦1~2隻、補給艦1隻で構成されるという。空母、巡洋艦、駆逐艦、潜水艦、補給艦で1セットとされるのだ。これが一般的な姿だろう。
日本は、「いずも」続いて同型艦の「かが」を改修し、空母を保有することになる。これらの空母が艦隊を組む場合、巡洋艦や駆逐艦が必要になるが、海外派兵を予定しない自衛隊が、航続期間に優れた巡洋艦を保有する必要がない。従って駆逐艦、潜水艦、補給艦で艦隊を組むことになるのだろう。自衛隊の場合、同等の能力を持つ護衛艦が駆逐艦に代わり空母と艦隊を組むことになる。こうした事情があるから漫画での先のやりとりとなるわけだ。
調査船の責任者の言葉にあるように、自衛隊が装備をどんなに言い換えたとしても、国際的な見方は軍隊そのものだ。その自衛隊が、すぐれた兵器を装備し空母も保有する。駆逐艦は護衛艦と呼称しすでに保有している。
また、より機能の充実した垂直離着陸機オスプレイの暫定配備を進めた。航続距離が2,600kmで最高速度が毎時465kmのオスプレイの任務は、上陸作戦時に敵地深く兵員と武器を輸送することにあるというのが一般的なよう。つまり、敵軍を海岸の上陸部隊と敵軍の背後に展開した部隊で挟撃し、上陸作戦を有利に展開することにあるらしいのだ。
島嶼防衛を理由に水陸両用車の配備も進めるが、これだって上陸作戦に利用できる兵器となる。
安保法制で共同作戦をとることができるのは、同盟国、すなわち米国だけだ。しかし、オーストラリアとの共同作戦も検討が始まるようだ。国民の生命と財産、国土を自衛するための自衛隊には賛同できが、他国で軍事行動をとることはやめようようと言いたくなる。
頭上を飛ぶ自衛隊機。たびたび見ながら、そんなことを考える。
さて空にはきょうも民間の航空機が飛んだ。
エアーブリッジ・カーゴのモスクワ~成田便だ。
やはり貨物便。旅客機は少ない。新型コロナの影響は大きい。
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