伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

2月定例会一般質問  1/4 /公害防止協定の強化

2016年03月19日 | 市議会
 市議会の一般質問を活字にしようとしていましたが、議会中はなかなか忙しくできませんでした。

 やっとできましたので、順次掲載します。

 今回は、常磐共同火力と公害防止協定にかかわる部分です。

 なお、この質問については、市議会中継でご覧いただけます。下にリンクをはりますので、興味のある方はご覧ください。





一般質問



1 常磐共同火力勿来発電所のデータの虚偽報告について
(1)公害防止協定について



伊 藤
 10番、日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。

 きょうは3月3日、女の子が健やかな成長を願う桃の節句であります。
もともとは季節の節目の邪気祓い行事として、老若男女を問わずみんなの幸福を願って行われていた行事でありまして、桃の開花の時期に合わせて行われるようになったのは、桃の木が邪気を払う神聖な木と考えられていたからだといいます。

せっかくの節句の機会での質問となりましたので、まずはみなさまに幸多き春となることを心からお祈りしたいと思います。

さて、報道では、昨日、首相が在任期間中に憲法改正を成し遂げたいと発言したと伝えられておりました。自民党が優先項目とする緊急事態条項を念頭に置いたものだという観測が流されておりますが、いよいよ改憲の本丸に攻め込もうとしている。そんな印象を持って報道を読みました。

 それに先立って私たちが戦争法と呼んでいる安保法制がすでに作られています。そして、この戦争法と一体の法制度となる秘密保護法が一昨年12月に作られております。

 国民から国家の情報を隠し、国家権力の暴走を招き、人々の幸福を奪いかねず、同様に大きな問題があるといわざるをえない法制度です。

 軍事行動は国家機密がつきものです。

太平洋戦争では、住民の暮らしに影響の大きい天気予報も秘密にされました。1941年12月8日から45年8月21日まで3年半以上、一般への公表が中止されていたのです。この間、台風で2,000人以上が犠牲になったといいます。もし天気予報があったら被害も小さかったはずだと指摘をされています。
 
情報は扱いようによって人に不幸をもたらしかねないということとがここから分かります。

 本市でも情報を正しく発信せず、本市市民に不安を与える問題が発生しました。昨年12月16日に発覚した株式会社常磐共同火力勿来発電所の排出ガス量のデータ改ざんの問題であります。

 この発電所の6号機から9号機で行われていたデータ改ざんは、同社に対する市民の信頼を失墜させ、同時に現在、本市で行われている公害防止の取り組みに疑いを抱かせる事態を招きました。

 これまで同社は、第三者の検証も含めて社内調査と対応策をまとめ公表したところですが、会社自身の信頼回復に向けた取り組みと同時に、市民の安全を確保し、安心して暮らしていけるようにするために、本市も公害防止行政の信頼性を高める取り組みが必要だと思います。

 そこで伺ってまいりたいと思います。
まず、公害防止協定についてうかがいます。

 本市はこれまでに32社と公害防止協定を結んでいますが、公害防止協定を締結する目的はどのようなものでしょうか。

生活環境部長
 公害防止協定につきましては、公害を未然に防止し、地域住民の健康を保護するとともに、生活環境の保全を図ることを目的として、いわき市公害防止条例第12条の規定に基づき、事業者と締結しているものであります。
 具体的には、法令の規制基準より厳しい基準、いわゆる協定値を設定するとともに、その遵守状況の定期的な市への報告を義務付けているところであります。

伊 藤 それでは、公害防止協定に反するような事態が発生した場合には、市として事業者にどのような対応をすることになっているのか。おうかがいします

生活環境部長
 公害防止協定におきましては、自主測定の結果、協定値を超えた場合や、不測の事態が発生した場合に、市への報告義務が課せられております。

 市といたしましては、その報告にもとづき、事業者への立入検査の実施や関係書類を精査した上で、事業者に対し、このような事態への改善措置を指示することとなっております。

(2)常磐共同火力発電におけるデータ改ざんを受けた対応等について

伊 藤
 今回のデータ改ざんの事例では、こうした公害防止協定にもられた事項が、企業側の不正を十分抑止する効果を持っていないことが明らかになったのだと思います。

 常磐共同火力は、昨年12月8日の定例の経営ミーティングで、排出ガスのデータに疑問が生じ、調査した結果、改ざんしたデータで虚偽報告をしていたことが分かって、12月16日の記者会見による発表をしました。

 この間、現場担当以外、誰もこうした問題に気づくことなく、明確に判明しただけで15年、実際にはおそらくそれ以前から、長期間にわたって虚偽報告が続いていたということが考えられます。

 こうした事態を受けながら、常磐共同火力はデータ改ざんに関する調査と対応策をまとめました。この調査と対応策を市はどのように受け止めていますか。

生活環境部長
 今般の虚偽報告につきましては、本年1月22日、常磐共同火力株式会社から市に対して、虚偽報告の原因究明にかかる調査結果、並びに、当該調査結果にもとづく再発防止対策が報告されたところであります。

 その内容につきましては、虚偽報告に至った原因や詳細な整理・分析がなされたうえで、実効性のある再発防止対策が示されているほか、事実関係を調査するために設置した第三者検証委員会の検証結果も示されており、社内調査結果と第三者検証委員会の調査結果との間に齟齬はなく、再発防止対策についても適切かつ妥当と判断されております。

 その後、市が実施した大気汚染防止法に基づく立ち入り検査等においても、報告内容に誤りや不備は確認されず、また、事業者提案の再発防止対策についても、虚偽報告に至った原因を踏まえた内容になっていると考えております。

伊 藤
 常磐共同火力がまとめた「調査結果」をあらためて読んでみました。そうするとこの調査結果だけでも、虚偽報告の実態を把握するチャンスが、この15年間に何度かあったということが分かってきます。

 一回目のチャンスは、2012年、平成14年頃には、排出ガス量が届出値より多い問題で、担当が上位職に相談したことがあった時です。

 二回目のチャンスは、同社が企業倫理の徹底をはかるために毎年1回実施している企業倫理モニタリングの2013(平成25)年度の調査で、全社員のアンケート調査をした際、「データの改ざんがある」との回答があった時です。

 そして三回目が、昨年1月末に、現場担当が排出ガス量が届出値を超えていると懸念を示したことから、本社企画部門と情報を共有した時でした。

 しかし、いずれも本格的な調査がなされることはなかったようです。

 そして、これらとは別に第三者検証委員会報告には、こんな記述があります。

 「平成27(2015)年5月頃、当時の取締役発電所長に、実測の排ガス量が『届出値』を超過している旨の相談があった。当時の取締役発電所長は、原因究明等を支持するにとどまり、その段階では、経営トップを含めた取締役に対して報告せず、虚偽報告の取りやめを指示することもなかった」

 この表記からは、当時の発電所長は虚偽報告を知っていたと読み取ることができますけれども、そこは会社の方に確かめていないので、定かでないので置いときますが、虚偽報告について認識しながら昇任して取締役等の上位職になった者がいると同社の調査報告書に記載されていますので、少なくとも、役員の中にはこの事実を知りながら、何の手も打たなかったという問題、会社全体の経営体質の問題が浮き上がってくるように思います。

 最近、東京電力が原発事故をおこした際、メルトダウンを判断するマニアルを持ちながらこれを活用せず、判断を遅らせたことが明らかになりました。

 マニアルにもとづくならば、事故の3日後にはメルトダウンの判断をできたというのであります。

 東電はマニアルの存在に気が付かなかったという、信じられない言い訳をしていますが、本当にそうだったのでしょうか。

 メルトダウンを認めれば、後の経営に重大な打撃になるという、経営上の思い込みはなかったのか、その点が問われているように思います。

 常磐共同火力の場合、現場がデータ改ざんに手を染めたのは、電気事業法に基づく排出ガス量は絶対のものとして、抑制策が効果を発揮しない事から、これを超えないためにはデータ改ざん以外にないと思い込んだためとされています。しかし、ここには発電を止めれば会社の利益を阻害すると考えて発電継続のみにとらわれる利益至上主義の重圧が、現場担当職員にかかっていたのではないか、という見方も生じうると思います。

 会社組織を経営するためには、一定の利益を追求するのは当たり前ですが、その前提として倫理観が大切だと思います。

 企業倫理という言葉を調べてみれば、「企業の行動は投資家、消費者に大きな影響を与え、あるいは社会や環境に深刻な被害を与えるものであるから、企業の行動は常に高い倫理性をもって行われなければならない」と解説されています。一般にいう倫理観より高い物が求められているようですが、今回のデータ改ざんなどは、こうした点で道を大きく踏み外していると思います。

 再発防止策として、「企業倫理・法令順守の徹底を図る」ための対策を打ち出していますが、あらためて同社には猛省と、その猛省の上に立った高い倫理観を構築していただきたいと思います。

 とはいえ、先ほどもふれましたように、今回のデータ改ざんでは、公害防止協定にもとづく報告書の信頼性に疑問をいだかせる合理的な根拠を生じさせてしまったと思います。

 この影響は、常磐共同火力だけでなく、本市と公害防止協定を結んでいる他の企業にも及びます。

 このような事態になったもとで、公害防止協定を結んである事業者に対して、どのような対応策をとってきたのか、うかがいます。

生活環境部長
 市といたしましては、昨年12月15日に、常磐共同火力株式会社から今般のデータ改ざんの報告を受け、昨年12月22日に同社を除く公害防止協定の締結事業者に対して、社内管理体制の強化などによる協定順守の徹底を注意喚起するとともに、虚偽報告などの協定違反が判明した場合には、速やかに市へ報告のうえ、公表などの措置を講ずるよう通知したところであります。

 また、本年2月17日には、常磐共同火力株式会社を除く公害防止協定を締結している31社のうち、自社でばい煙量等の測定を実施している2事業者に対しまして、測定結果に、より客観性を持たせるため、年数回実施している測定のうち、年1回程度、計量証明事業者に測定を委託するよう要請するとともに、テレメータシステムに接続している大規模事業者に対しましては、情報公開を図るため、公害防止協定もとづき測定した、ばい煙量等の結果を当該事業者のホームページに掲載するよう要請したところであります。

伊 藤
 同時にこれからの対応策を考える上で、今回の事例に何を学ぶかが大切です。公害防止協定の今後のあり方について、常磐共同火力発電のデータ改ざんの事例からどのような教訓をくみ取るのか、おうかがいします。

生活環境部長
 公害防止協定につきましては、これまでは事業者との信頼関係のもとで、運用してきたところであります。

 しかしながら、今般の事案を受け、市といたしましては、今後、このような事案が発生しないような環境整備が必要であると考え、そのためには、測定結果に客観性を持たせるとともに、自主測定結果の情報公開を図っていくことが重要であるものと認識したところであります。


(3)公害防止協定の実効性を高める今後の対応について

伊 藤
 それでは、今後の対応についてうかがっていきます。

 2月23日のことだと思いましたが、本市が常磐共同火力を大気汚染防止法にもとづき調査したところ、新たに法違反にあたる事実を確認したとして、行政指導をしていますが、その法違反の内容とはどのようなものでしょうか。

生活環境部長
 常磐共同火力株式会社勿来発電所におきましては、2カ月に1回以上、ばい煙量等を測定し、その結果を記録し保存していたものの、その記録のうち、排出ガス量について、電気事業法にもとづく届出値以内におさめることを目的に、測定値を改ざんし、また、硫黄酸化物量については、改ざんした排出ガス量をもとに、算出した値を記録していたことが事業者からの報告を受け、市が実施した立ち入り検査等で確認されました。

 このことは、測定結果の虚偽記載であり、2カ月に1回以上、ばい煙発生施設にかかるばい煙量等及びばい煙濃度を測定し、その結果を記録し、これを保存することを義務付けている大気汚染防止法第16条に違反する行為であると判断したものであります。

伊 藤
 あらためて同社の調査報告書を読んでみると、いま答弁がされた点についての記載がありました。

 そこでは、詳細な説明は省きますが、大気汚染防止法によって測定した煤塵等を排出ガス量も含めて記録し、3年間の保管を義務付けている。この記録上は、虚偽の排出ガス量が記載されていたため、虚偽の発覚以降は、速やかに排出ガス量について実測定ガス量に置き換えて保存している。このような記載でありました。

 つまり、今回市が大気汚染防止法違反にあたる事実と指摘した部分の記載なわけで、ただこの法違反については、議会の各派代表者会議に説明した際には全く触れられておりませんでした。

 これも今回の問題での重大な事実の一つでありますが、それが説明されていないという事実は、法令の不理解とも結びついているように思います。

 こうした問題も含めて、企業の側にはしっかり取り組んでいただかなければならないと思います。

 合わせて本市には、公害防止協定にもとづく公害防止の取り組みの信頼性を高めるために、今後どのような対策を講じていくのか、という点が課題として浮かんできているように思います。

 そこで、公害防止協定の信頼性を高めるために、本市として今後どのようにとりくんでいくのか、この点について伺いたいと思います。

生活環境部長
 先ほど申し上げましたとおり、自社でばい煙量等の測定を行っている2事業者に対し、計量証明事業者に測定を委託するよう要請するとともに、テレメータシステムに接続している大規模事業者に対しては、ばい煙量等の測定結果を当該事業者のホームページに掲載するよう要請したところであります。

 今後におきましては、要請に対する事業者の対応状況を踏まえたうえで、立ち入り検査等も併用しながら、公害防止協定の遵守状況の把握に努めてまいりたいと考えております。

伊 藤
 市としてもしっかりしたとりくみをすすめながら、市民の安全・安心を守っていただきたいと思います。


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