昨日の報道で、福島県教育委員会が県立高校の具体的な再編計画をまとめたことを知った。
報道では、休校を含んで74校ある県立高校のうち25校を13校に再編するのだという。
県教委はこれまで、高校教育で「社会の変化に的確に対応できる生き抜く力を育む」県立高校の適正規模として望ましい学校規模を、1学年4学級以上
で1学年8学級規模の学校では学級減が必要とする福島県学校教育審議会の答申を受けて、県立高校のあり方の検討をすすめてきた。昨年5月には「県立高等学校改革基本計画(2019年度~2028年度)」を策定。この中で、「学ぶ意欲を引き出す望ましい学校規模」を「1学年4~6学級」とし、「1学年3学級以下の高等学校については、学校の魅力化を図りながら都市部も含めて統合を推進」するとしていた。
2月8日に発表されたのは、この基本計画の具体化を図る「県立高等学校改革前期実施計画」で2019年度~2023年度までの具体的な再編計画を示している。この中で本市の関連では、1学年3学級以下で、再編の対象となると住民等から危惧されていた遠野高校、勿来高校、小名浜高校、好間高校、四倉高校のうち、遠野高校と湯本高校を統合し、統合後の学校は「ICT機器等を活用した探究的な学び。遠野地区や湯本地区の伝統文化の継承。スポーツや文化などの分野に触れる学び」を特色として検討するとしている。校舎は現在の湯本高校を利用し、1学年は普通科6学級とし、2022年に開校する考え。
また、小名浜高校といわき海星高校を統合し、統合後は普通科1学級・商業科1学級・水産科3学級の5学級で「小名浜地区ならではの水産科・商業・普通科の学科間連携。地域との連携による新たな地域の魅力を創出する取組み」を学校の特色として検討していく考えが示されている。校舎は現小名浜高校を使い、実習は海星高校を使用し、2021年に開校する考えだ。
この方針を読んだ時に、小名浜高校・海星高校の統合と湯本高校・遠野高校の統合とは違ったニュアンスがあることに気が付いた。小名浜高校と海星高校は、もともと小名浜地区に存在し学校も近接している。学科構成も、来年度の募集定員を見ると小名浜高校が普通科40人・商業科40人で、海星高校が海洋40人・食品システム40人・情報通信40人・海洋工学40人となっている。つまり、普通科1学級、商業科1学級、水産関係学科が4学級ということで、統合後1学級が減ずるということになっているが、高校がこの地域からなくなることはない。
一方、湯本高校・遠野高校の場合、一方は常磐地区、一方は遠野地区と地区をまたいでおり(距離にして12㎞程)、統合することによって、遠野地区の高校はなくなってしまうという点で、小名浜地区の2高校統合とは地区に対する影響の点で大きな違いがあるのだ。
遠野高校は、1948(昭和23)年4月15日 県立磐城農業高等学校定時制課程として設置認可がおり、同年5月4日に県立磐城農業高等学校上遠野分校として開設され、‘63(昭和38)年4月1日に福島県立遠野高等学校として独立しました。遠野地区で70年余にわたり高等教育を提供し、また若者の集う場の一つとして遠野地区の活性化の一翼を担ってきた歴史を持っった学校だ。その高校が地域から無くなってしまうことは、今後の地域づくりを考える時、この変化の影響は計り知れない。
同時に、生徒個々人に対する教育の問題も気になる。
同校は、募集人員が2学級で、今年度の入学者はそこまでに至らなかったという記憶がある。いずれにしても少人数教育がされている。卒業生が丁寧な指導があったと感謝しているように、少人数教育を活かした指導で卒業生全ての進路を決定して送り出しているという成果を上げ続けてきた実績をあげている。湯本高校との統合では、こうした役割の発揮を統合校に引き継ぐことができるのだろうか。率直に言って難しいのだろう。規模が大きくなることが一つ、もう一つは、高校が偏差値によって順列化されている中で、統合後の高校ではなく他の高校を選ぶようになり、現在の遠野高校の受け皿になりえないのではないか、そんなふうに思えるのだ。
また、同校は近年、地域とタイアップした教育プログラムを取り入れている。地域行事に、高校の合唱部が参加しているのもその一つ。また、同校の卒業証書は遠野和紙を利用しているが、昨年から同校生徒が和紙事業に取り組む「地域おこし協力隊」の指導のもと自ら和紙を漉く、そんな取り組みが行われている。さらに、同校でコウゾを植樹するなど、和紙作りを通じた地域とのタイアップも強めるような取り組みも進んでいると聞く。こうした地域とのかかわりは広い世代のコミュニケーション教育の実践となり、将来、生徒たちが社会に出た際に役立つことは間違いないと思う。
これらのことを考えた時に、統合後の学校の特色とされる「遠野地区や湯本地区の伝統文化の継承」という役割を、遠野地区に所在しない学校が果たすことができるのか。はなはだ疑問は残るところでもある。
子どもたちの教育ということを考えた時、遠野高校と湯本高校の統合という方針はそれでいいのか。あらためて考えてみたいと思う。
高校統合について過去に書いたブログは以下のようなものがあります。
活動日誌 No.192 / 高校統廃合いいの:2017年02月14日
小規模県立高校の存続求めて / いわき市議会2月定例会一般質問 Vol.1:2017年03月10日
学校の周年行事に招かれて:2017年11月04日
報道では、休校を含んで74校ある県立高校のうち25校を13校に再編するのだという。
県教委はこれまで、高校教育で「社会の変化に的確に対応できる生き抜く力を育む」県立高校の適正規模として望ましい学校規模を、1学年4学級以上
で1学年8学級規模の学校では学級減が必要とする福島県学校教育審議会の答申を受けて、県立高校のあり方の検討をすすめてきた。昨年5月には「県立高等学校改革基本計画(2019年度~2028年度)」を策定。この中で、「学ぶ意欲を引き出す望ましい学校規模」を「1学年4~6学級」とし、「1学年3学級以下の高等学校については、学校の魅力化を図りながら都市部も含めて統合を推進」するとしていた。
2月8日に発表されたのは、この基本計画の具体化を図る「県立高等学校改革前期実施計画」で2019年度~2023年度までの具体的な再編計画を示している。この中で本市の関連では、1学年3学級以下で、再編の対象となると住民等から危惧されていた遠野高校、勿来高校、小名浜高校、好間高校、四倉高校のうち、遠野高校と湯本高校を統合し、統合後の学校は「ICT機器等を活用した探究的な学び。遠野地区や湯本地区の伝統文化の継承。スポーツや文化などの分野に触れる学び」を特色として検討するとしている。校舎は現在の湯本高校を利用し、1学年は普通科6学級とし、2022年に開校する考え。
また、小名浜高校といわき海星高校を統合し、統合後は普通科1学級・商業科1学級・水産科3学級の5学級で「小名浜地区ならではの水産科・商業・普通科の学科間連携。地域との連携による新たな地域の魅力を創出する取組み」を学校の特色として検討していく考えが示されている。校舎は現小名浜高校を使い、実習は海星高校を使用し、2021年に開校する考えだ。
この方針を読んだ時に、小名浜高校・海星高校の統合と湯本高校・遠野高校の統合とは違ったニュアンスがあることに気が付いた。小名浜高校と海星高校は、もともと小名浜地区に存在し学校も近接している。学科構成も、来年度の募集定員を見ると小名浜高校が普通科40人・商業科40人で、海星高校が海洋40人・食品システム40人・情報通信40人・海洋工学40人となっている。つまり、普通科1学級、商業科1学級、水産関係学科が4学級ということで、統合後1学級が減ずるということになっているが、高校がこの地域からなくなることはない。
一方、湯本高校・遠野高校の場合、一方は常磐地区、一方は遠野地区と地区をまたいでおり(距離にして12㎞程)、統合することによって、遠野地区の高校はなくなってしまうという点で、小名浜地区の2高校統合とは地区に対する影響の点で大きな違いがあるのだ。
遠野高校は、1948(昭和23)年4月15日 県立磐城農業高等学校定時制課程として設置認可がおり、同年5月4日に県立磐城農業高等学校上遠野分校として開設され、‘63(昭和38)年4月1日に福島県立遠野高等学校として独立しました。遠野地区で70年余にわたり高等教育を提供し、また若者の集う場の一つとして遠野地区の活性化の一翼を担ってきた歴史を持っった学校だ。その高校が地域から無くなってしまうことは、今後の地域づくりを考える時、この変化の影響は計り知れない。
同時に、生徒個々人に対する教育の問題も気になる。
同校は、募集人員が2学級で、今年度の入学者はそこまでに至らなかったという記憶がある。いずれにしても少人数教育がされている。卒業生が丁寧な指導があったと感謝しているように、少人数教育を活かした指導で卒業生全ての進路を決定して送り出しているという成果を上げ続けてきた実績をあげている。湯本高校との統合では、こうした役割の発揮を統合校に引き継ぐことができるのだろうか。率直に言って難しいのだろう。規模が大きくなることが一つ、もう一つは、高校が偏差値によって順列化されている中で、統合後の高校ではなく他の高校を選ぶようになり、現在の遠野高校の受け皿になりえないのではないか、そんなふうに思えるのだ。
また、同校は近年、地域とタイアップした教育プログラムを取り入れている。地域行事に、高校の合唱部が参加しているのもその一つ。また、同校の卒業証書は遠野和紙を利用しているが、昨年から同校生徒が和紙事業に取り組む「地域おこし協力隊」の指導のもと自ら和紙を漉く、そんな取り組みが行われている。さらに、同校でコウゾを植樹するなど、和紙作りを通じた地域とのタイアップも強めるような取り組みも進んでいると聞く。こうした地域とのかかわりは広い世代のコミュニケーション教育の実践となり、将来、生徒たちが社会に出た際に役立つことは間違いないと思う。
これらのことを考えた時に、統合後の学校の特色とされる「遠野地区や湯本地区の伝統文化の継承」という役割を、遠野地区に所在しない学校が果たすことができるのか。はなはだ疑問は残るところでもある。
子どもたちの教育ということを考えた時、遠野高校と湯本高校の統合という方針はそれでいいのか。あらためて考えてみたいと思う。
高校統合について過去に書いたブログは以下のようなものがあります。
活動日誌 No.192 / 高校統廃合いいの:2017年02月14日
小規模県立高校の存続求めて / いわき市議会2月定例会一般質問 Vol.1:2017年03月10日
学校の周年行事に招かれて:2017年11月04日
なお、好間は内高の分校の為いわき総合と統合で○。
そうなると問題なのは四倉。
いわき市最北端の高校の為、一番近い位置にある高校は平商業くらい。
平商業と統合して普通科を設置すれば、平地区で中レベルの普通科高校が出来るかもしれない。
でも、現在、それぞれの高校が果たしている役割を考えると、それでいいのかな、という思いがあります。
遠野、田人などの子ども達の受け皿となることを期待されて設立された遠野高校は、現在は、その役割を全く異にしています。市内の義務教育課程で得た子ども達の学習の到達点の上に、社会に巣立つための力をさらに伸ばすための丁寧な指導を施し、現実に社会に送り出す役割を果たしています。
その条件を作っているのが、事実上の少人数教育にあると思われます。
義務教育課程は、生きる力を身につける課程です。しかし、今の社会では、義務教育だけでその力を十分に養うことは難しく、高校教育もその一端をになうようになっていると思います。
その条件を担う教育の環境をどう構築していくのか、そのことが、今回の高校統廃合で検討されなければならないと思います。
ところが、県の方針を見ても、そうした観点を含んだ十分な検討がされているとは思えません。
次の時代の本市の担い手の多くは、こうした高校から排出されるものと思います。だからこそ、こうした生徒達の教育条件を十分厚くする高校のあり方が検討されることを心から願っています。