伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

遠野和紙ボランティアはトロロアオイの植え付け作業。話題は新型コロナワクチン

2021年06月01日 | 遠野町・地域
 作業は、仮植えされているコウゾの木の2畝の草取りも含めて、1時間程で終了しただろうか。ボランティアに今年4月から配置された地域おこし協力隊3名を含め、総勢10数人で作業。人数も多いので短時間で済んだ。

 作業で植え付けたのは、コウゾの苗と種。写真を撮っておけば良かったのだが、種は直径2~3mm程と小さい。これらをあわせて6本の畝に植え付けた。

 苗はボランティアの方が作り、種は前日からほぼ一昼夜水に浸けておいたものとなる。苗は15cm程の間隔、種は3cm程の間隔で植え込んでいく。

 普段、農作業などしたことがない私。なるほどと思うことがたくさんある。例えば苗。育苗箱は3cm四方程度の大きさで、たぶん150程に区切られたものが使われた。この区切られた部屋1つ1つから、土ごと苗を取り出して畝に植えていく。関心したのは植え付けに使われる道具。小さい区切りから指で取り出すのは大変な作業。そこで登場したのが、何と〝〟。箸を区切りに差し込んで、土ごと苗を取り出し植え付けていく。この道具の登場には関心した。

 種の植え付けは、1粒づつ指でつまんで、一直線に畝に埋め込んでいく。3個埋めておおよそ10cm、1m進むのに30数個の種を置き、土を被せ、ならしていく作業を繰り返す。これも農業未経験の私には、まだらっこしい。畝は15mはあるだろうか。もちろん、1人で1畝に植え付ける分けではないが、ちまちました作業の繰り返しで、ゴールがはるか先に見えてくるのだ。ある意味、精神的には厳しい時間が続く。

 現実は、数十分しか作業をしていないのだが、農業をするって大変だなーと実感する。

 我が家で預かった種は、すでに2日前に育苗箱に植え付けてある。数日で芽を出すそうだが、芽が出たら、次は、地植えの作業をしなければならない。

 ちなみに、トロロアオイは別名「花オクラという。黄色い直径10数センチの花を咲かせる。この花は食用になる。サラダなどにして食べるらしい。花がなったら食してみたいものだ。

 トロロアオイの作付けの狙いは、根を収穫することにある。和紙を漉く際に、コウゾの繊維を漉き舟と呼ばれる容器にはった水に溶かし込み、細かい簀の子を張った漉き枠を使ってすくい上げていく。すくい上げた繊維を均等な厚さにならし、乾かすと和紙になる。

 ところが、漉き舟の水がただの水では、溶かし込んだ繊維が沈み込んでしまい、上手にすくい上げることができなくなる。そこで重要な役割を担うのが、トロロアオイだ。

 トロロアオイの根は、木槌などで叩いて砕き(といっても縦に裂く感じ)、これを冷水につけて持ち上げる。すると、根から透明な粘性のある溶液が排出される。ノリのようなものだ。

 こうして取り出されたノリを、漉き舟の水に溶かして拡散する。すると、水が粘性を持つ。粘性をもった水は、繊維の沈み込みを阻害し、舟全体に、均等に浮遊する状態を作り出す。つまり、和紙製造において、良質の和紙を漉くために欠かせない材料になるのだ。

 トロロアオイのノリは、温度が18度以上になると粘性を失うという。つまりただの水になる。このため、かつての和紙の製造は、水温の低い冬場の作業として行われた。

 冷たく重い水をくみ上げて和紙にする作業はつらい作業だったに違いない。夏は農作業、冬は紙漉きで生計を立てていた農家は、かつてたくさんあった。しかし、たくさんあった紙漉き農家が廃れた背景には、この冬場のつらい作業が1つの原因と思われる。遠野地区の高齢者の中には、子ども頃紙漉きを手伝っていたという人もいる。この人たちが語るのは、その作業のつらさ。「やるもんじゃないと思った」という言葉だ。農業プラス他の方法で生計をたてることが当たり前にできる時代になると、つらい体験をした大人達は紙漉きから離れていったわけだ。

 和紙を漉くためには、原料の栽培、材料化、そして紙漉きまで、結構な工程を経なければならない。全面機械化も難しそうだ。このため、コスト面では工業的に製造される洋紙には太刀打ちできない。需要の確保が難しい点も、和紙製造から離れる原因とはなるけれど・・。

 遠野地区では、ボランティアと地域おこし協力隊という制度を利用して和紙の製造が継続されているが、まだまだ細々とした糸をたぐるようなもの。それでも之を絶やすことなく、継続することが大切と思う。

 そうそう、トロロアオイの紙漉きの役割を書き出したのは、植え付けたトロロアオイのこれからを書くためだった。

 株は15cm、種は3cm間隔では、いかにも密な状況だ。これをそのまま育てると根が育つスペースがない。今後、成育度合いをみながらより良い株だけを残す、間引き作業を行うことになるのだそうだ。そして、立派な根に育てる。

 また、トロロアオイは別名花オクラ。オクラの仲間なのだ。花は黄色く、直径10数cmはある。食べることができ、サラダなどにするという。根を育てるためには、むしろ花を摘んでしまった方が良い。花にいく栄養を、根に回してやるのだ。我が家でも栽培が成功したら、花をサラダにしてみようと思う。

 さて、ボランティア作業をしながら、話題に上るのは新型コロナワクチンだ。

 全体としてボランティアの年齢層は高く、ワクチン摂取の対象となっている方もいるし、次の対象になりそうな方も含めると大半が該当しそうだ。

 私もネットを利用してワクチン接種の予約をしたが、5月の個別接種予約で、電話にかじりつき、やっと40分程車を走らせる地区で予約をとれたなど、ワクチン接種までの大変さを語る方が多い。

 ある方は、すでに1回目の接種を終えたというので、聞いてみた。ワクチン接種による副反応は特に無かったという。ただ2回目がきつく出るという情報も溢れているの。「次回は注意しなければなりませんね」と会話が進む。

 ネット予約でも、あれれと思うことがあることを、自らの体験から5月20日に書いた。



 予約サイトに入ってみて、カレンダーの表示や、ホームページのめくり方など、不親切な構成になっている感が強く、当初、私も勘違いから予約をあきらめる状況があったのだ。こうした改善が必要だと思う。

 各地の予約の混乱を避けるための様々な方法を用いていることが報道されている。電話に1日かじりついていたなどの声を聞くと、本市も、今からでも予約のあり方を考え直すことが必要なのではないだろうか。

 ちなみにネットの扱いに不自由な方のために、その活用について公民館を会場に、住民を支援する施策を開始するという。支援者は、公民館までの移動はどうするのか・・現時点では基本高齢者が相手の施策となるだけに、どんな方法で支援をするのかが気にかかるところだ。

 また、公民館と言えば、ワクチン接種のお知らせの当初の段階で、遠野をはじめとした中山間地では、公民館を会場に「スポット型」の接種を実施すると周知されていた。



 公共の足の弱い本市の状況もあり、歓迎すべき施策だが、今のところ、具体的な知らせはない。市のホームページでも、今だに詳細未定となっている。住居に身近な「スポット型」接種を特に必要とするのは高齢者だろう。その高齢者の接種が進む中で、具体的な知らせがない。いったいどうなっているのだろう。

 謎だ・・?


最新の画像もっと見る

コメントを投稿