伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

公約撤回の政治姿勢をただしました 10月定例会一般質問

2013年10月31日 | 市議会
 いわき市議会10月定例会の一般質問を29日に行いました。
 質問では、9月に行われた市長選挙で、清潔・公正・市民本位のいわき市政をつくる会が実施した、市長選立候補予定者へのアンケートなどに触れながら清水敏夫新市長の公約の問題点などについて取り上げました。

 まず改憲についての考えです。
 市長は改憲についてアンケートでは「国の専管事項」との考えを示していました。一般質問への答弁でも「論評は差し控える」とするにとどめました。

 一方で本市の非核平和都市宣言が、「平和を願い求め、達成することは日本国憲法の基本原則として尊重すべきもので、宣言にも憲法の基本精神が反映されている」としてきたことについては、この立場を「尊重し、継承します」と述べましたそして、これまですすめてきた宣言文の庁舎等への掲示や記念講演会など「非核平和思想の普及啓発」に関する事業を、引き続き実施する考えを示しました。

 次に取り上げたのが原発事故。市長は、「国及び東電に一刻も早い廃炉の決定を、強く求めていきたい」とする一方、原子力エネルギー政策に関しては「国専管事項であり、国が責任を持って判断すべきと考えています」としました。

 私は、エネルギー政策に関して「被災地の長としてしっかり発言すべき。引き続きその立場をただしていきたい」と、この問題の市長の考えを継続的にただしていくことを表明しました。

 そして問題の、公約についてです。
 9月の市長選では、復興事業のスピード、共立病院の新病院建設などが議論の的になりました。清水市長は「復興のスピードアップ化」「新病院建設計画の見直し」を訴え当選しました。

 しかし現実を見ると、復興は国県の施策展開のスピードに左右され、市自身の責任を問うことは難しい問題です。
 市長は公約の進捗状況へのこれまでの評価を覆し、「着実に復興の歩みをすすめてきた」と評価する答弁をしました。一方で「復興の姿を市民のみなさんに実感していただけないことが閉塞感につながっている」としました。

 市長は、選挙前の立候補予定者公開討論会で「復興が70%ということを感じることができません」と発言していました。選挙前と今回の答弁への回答で、あまりにも大きな格差があります。この格差が生じた原因を市長は、「復興の状況をつぶさに発信できなかったことが要因」として、あくまでも市の情報発信不足を強調しました。

 次に新病院建設の問題です。
2015(平成27)年度までに使うことになる復興関連の予算から78億円の補助を受けることが決まっており、見直しで事業が遅れると補助金が活用できなくなるという問題が生じます。

 市長が見直すとしたのは、病床数や経営形態を含む計画全体です。
この公約にかかわり市長は、病床数を「基本計画の670床を基本」に「基本設計の中で決定したい」とし、また経営形態については「現行の公営企業法の全部適用を維持」と、事実上公約を翻しました。

 もともと新病院建設計画は、現場の意見等を含めて積み上げてきた計画です。

 また通常、自治体病院建設に国県などからの補助がない中で、渡辺敬夫前市長のもと補助金の創設決まっていました。病院建設にあたっての市民負担を軽減するもので、歓迎されるものです。

 この補助金は2015(平成27)年度が期限となっている復興関連予算が原資。このため計画の見直しで事業が遅れると、補助金の活用を困難にする恐れがありました。
日本共産党は、新病院建設計画見直しの公約には問題があると考えていました。こうしたことから事実上、計画の見直しを断念したことは歓迎されるのですが、一方で選挙の公約に対する市長の姿勢という問題は問われなければなりません。

 公約や発言とこの議会の答弁が違った事例は、職員給与の減額を検討するという市長のかつての発言にもありました。
 もともと給与減額は、国が国家公務員の給与を減額しことから、これに見合った地方公務員の給与減額を地方自治体に求め、減額分に見合った地方交付税の削減をセットにし、地方自治体に強制したものでした。

 職員の給与は、人事院勧告にもとづきマイナス改定がされ、人員削減が積みあがった結果、総人件費が抑制されています。さらに「給与は市独自に判断するもの」などの理由で、渡辺前市長が実施しないことを公表していました。

 一方、清水市長は選挙前から「他市も実施している」との理由で給与減額に言及していました。
 ところが、今議会の答弁では「熟慮した結果、現在は、給与引き下げを実施する状況はない」と、給与削減を否定したのです。

 日本共産党市議団としても給与削減はすべきではないと考えています。その点では妥当な判断ですが、一方で公約そのものに対する清水市長の姿勢は問われることになります。

 私は、「復興の進捗状況でも、新病院の建設計画でも、給与の問題でも、選挙の時期と、今議会の答弁であまりに言動の開きが大きい」として、この原因を市長がどう考えているかただしました。

 市長は、「就任後、的確な状況分析に基づき迅速な判断を行い執行することは、スビード感を表す源泉だ」と答え、議場には苦笑が漏れました。
 私は「発言には責任がついて回る。その点を心において市政運営に望んで欲しい」と指摘しましたが、質問後良く考えてみました。

 この答弁は世間一般の普通の言葉に翻訳すると「変わり身が早い」ということになりますし、選挙の時には「的確な状況」を知らないで公約を打ち出したということにもなりかねません。

 市長選の公約を述べた舌の根も乾かないうちに、10月定例会では公約撤回を言い出しました。
 市長は「公約は守るもの」と答弁していますが、現実には公約を撤回しています。あの市長選で市長に寄せられた一票は、簡単に反故にされてしまったわけです。

 これから4年間、市政を担う市長。その言動に注意を払い、しっかりチェックしていくことが議会の活動にとって、今まで以上に大切になっています。

 さらに質問ではイノシシの駆除における、まき狩りへの支援創設を求めました。
 執行部は、まき狩りには有害鳥獣の追い払い効果があるということを認めました。一方でまき狩りは複数人で狩猟隊を結成して実施するため、仮に獲物をしとめても、十分な見返りが見込めない状況になっています。

 駆除隊に対する支援策を新たに作るよう求めましたが、執行部は「これまでの支援策を続けていきたい」とするにとどめました。
 引き続き支援策の充実を求めていきたいと思います。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿