伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

和紙ボランティアの他、和紙漉きの練習も

2022年02月04日 | 遠野町・地域
 ボランティアの活動内容は、先週に引き続き「しょしとり」だ。コウゾの皮から、黒皮と甘皮をはぎ落とし、白皮を取り出す。

 わらで編んだ台と包丁で皮を挟み込むようにして、皮を引っ張り出し、目的の黒皮と甘皮をはぎ落とすしていく。1度の引っ張りできれいにはならないので、数度は皮を引き、それでも残った甘皮の部分をこそぎ落とす。なかなか手がかかる作業だ。

 このやり方は、遠野地区の今に伝わる方法で、産地によって使う道具もやり方にも若干の違いがあるようだ。

 2日間でおおよそ30kgの皮を処理した。この結果出来上がった白皮は、だいたい10Kgから15Kgになると思う。半分以上が白い和紙の材料にはならないのだ。ほぼ10人で、2日間の作業時間はあわせて8時間程度になる。

 作業終了後、地域おこし協力隊員と菊判(だいだいB2版かな?)の和紙すきを練習した。
 流しすきという手法だ。

 和紙すきは、漉き舟と呼ばれる容器に入れた水にコウゾの繊維を溶かし、ネリ(トロロアオイの根から抽出した粘性がある水溶液)を加えて水の粘度を調整した紙料を、簀桁(すげた)にくみ取って水を切る作業を数度繰り返す。

 簀桁は手前で紙料をくむ。最初はくみ取った紙料を、簀の表面にザッと流し、向こう側から残った水を落とす。これを「化粧水」というらしいが、和紙の表面を作る作業となる。2回目以降は、くみ取った紙料を、桁の上で揺すり、紙料が全体に均等の厚さとなるように調整する。この作業は、コウゾの繊維を絡ませ、紙の強度を増すことにも役立つらしい。

 この作業を数回繰り返し、最後に、最初と同じように紙料を手前から奥にザッと流して、紙漉きは終了する。

 さて、今回の私の練習では、1日目は、1ヶ月前の練習の反省点を忘れていて、体を動かしながら少しずつ思い出して終了。5回ほどすいてみただろうか。1枚もきちんとした形にならなかった。

 2日目の水曜日の練習でも大失敗が続く。手前に乗せたコウゾの繊維がよって波状のシワができたり、奥の繊維でも同様の失敗が発生する。

 手前のシワの原因は分かっている。繊維がのった簀桁に、紙料の水をすくう際に、簀の裏側から水が入り込み簀上のコウゾの繊維が浮いてしまうためにおこる現象だ。これには対処できる。入水時に簀を水に押しつけるような入れ方をしなければ良い。例えば、簀桁をできるだけたてて垂直にに入れる、あるいはを手前に引きながら入れる等で防止ができる。

 問題は奥で寄るしわだ。この原因がはっきり分からない。現時点で考えられるのは、桁を揺する際に、横あるいは前後に平行に揺することができず、縦方向に揺すって繊維を浮かせている可能性だ。おそらく、そこに原因があるだろう。簀桁は、竹のバネを使ってつっている。これをうまく活用することができれば、縦揺すりは防止できるだろう。次回は、そこに注意しながら練習しようと思う。

 さて、大寒の最中のボランティア。乾燥させた黒皮を柔らかくするため前日から浸していた水桶は、表面が凍っていた。



 実際朝は寒い日が続いた。朝の散歩でも、池の表面に氷が浮くし、霜もがっちり降りていた(3日)。







 和紙工房「学舎」に着いた時には、青空に太陽が浮かぶが、その周りは薄い雲のようなものでにじんでいた。



 この雲の様なものは、おそらく空を舞う雪。寒気が入り込んでいるためなのだろう。

 しかし、太陽が照っているとだいぶ温かい。



 最近の通例通り、私の作業は、しょしとりと、大部分の時間は、白皮を洗濯用のハンガーに干す作業。白皮にカビ跡などの汚れがないか確認し、あればはさみで切り取り、数枚まとめて洗濯ばさみで挟んでいく。



 手がかかることもある上、1人から2人で実施するため、複数人がしているしょしとり作業に追いつけず、未処理の白皮がたまっていった。追われるように作業をこなした。

 干す作業なので、作業は戸外。太陽の温もりを感じながらの作業・・いや、うなじを太陽に向けて作業をしていると、じりじりと暑さを感じる程だ。

 ただし、日が陰ったり、山陰に沈んでしまうととたんに寒さが襲ってくる。寒暖差の激しさを感じてしまう。

 さて、最初の写真は、白皮を煮ている場面だ。「煮熟」というらしい。水で戻した白皮に炭酸ナトリウムを加えて煮て、汚れやアクを出し、コウゾの繊維を柔らかくしていく。育成からしょしとりまでは、和紙の原料づくりの段階。白皮を戻し煮熟する作業は、その原料を、和紙づくりの材料に仕上げていく作業の開始といえるだろう。

 煮熟する時間は約2時間。その間、沸騰を続けるため火を絶やさず、30分に1回ほどの割合で、釜の中の上部と下部の白皮を入れ替える作業を繰り返すという。





 大釜でおゆがぼこぼこと盛り上がる様子は、なかなか迫力に富む。この熱にもまれて皮が柔らかくなれば煮塾は終わる。そのまま釜の中で冷やし、次の段階で流水にさらして汚れを洗い流しちり取りの段階に入っていく。ここからは、さらに根気がいる作業になる。

 しかし、それらの段階を確実にやりきり、最後に和紙をすき上げることができれば、また、格別な達成感を得られるのだろう。

 さて、来週の火曜日、水曜日もボランティアの活動日となる。しょしとりが続行される。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿