いわき市議会2月定例会で3月2日の本会議で行った一般質問がまとまりましたので、お知らせします。
一般質問は、①小規模県立高校の存続、②公民館嘱託化の効果の検証と運営の充実、③小名浜港周辺の環境整備、④イオンモールのテナント募集、⑤投票率の向上に対する議員候補者の役割――の5点。
5回目は投票率の向上に対する議員候補者の役割に関する質問です。
なお質問ライブの録画中継が以下のアドレスで行われます。現時点では、まだ工事中ですが、まもなく掲載されると思いますので、こちらもお楽しみください。
5 投票率の向上に対する議員候補者の役割等について
(1)たすきの着用について
伊 藤
次の質問は、投票率の向上に対する議員候補者の役割等についてであります。
まず前議会でも質問されていましたが、日常の政治活動での「たすき」の禁止と明記した法令は何なのかうかがいます。
選挙管理委員会委員長
お答えいたします。
政治活動における公職の候補者等の氏名を表示した「たすき」など、いわゆる文書図画につきましては、公職選挙法第143条第16項の規定により、事務所に掲示する立札・看板の類、ベニヤ板などで裏打ちされてない政党の政治活動用のポスター、政治活動のために行う演説会・講演会・研修会の会場において使用するものを除いては掲示できないこととなっております。
したがいまして、街頭演説など日常の政治活動におきまして、公職の候補者等の氏名、または、氏名が類推される事項を表示した「たすき」の着用はできないこととなっております。
伊 藤
まっ、143条16項に規定されているという答弁であります。
ただこれは、運用する側の解釈で、どこをどう読んでも、政治活動での「たすき」はだめよ、このように明記した部分は見当たらないんですね。選管――これは国も一緒のようなんですが、その解釈で初めて分かる。こういう状況なんです。
元自治省で選挙部長をつとめた早稲田大学の片木淳教授はこんなことを言っています。
公職選挙法の規定内容自体があいまいで、本来萎縮する必要のないところでみんな萎縮して、「疑わしい行為は全てだめ」という、規制面に偏った拡大解釈をしがちだというのであります。
この「たすき」の例にもれず、現時点では司法で判断されたことがないので、選管の解釈が一般的な解釈となっているわけです。ですから、これには十分留意していかなければならないとは思います。
(2)戸別訪問について
伊 藤
この「たすき」も一つの規制ということになりますが、現在の公職選挙法は、様々な活動に規制をかけて政治活動や選挙を不自由なものにしているのが現実であります。
その一つが戸別訪問です。そこでまず、戸別訪問とはどのようなことをいうのか、おうかがいします。
選挙管理委員会委員長
戸別訪問とは、選挙人宅や会社・工場等を訪問し、投票を依頼したり、または、投票を得させないように依頼するような行為を言い、公職選挙法第138条の規定に禁止されております。
伊 藤
確認しますけれども、会社や工場への訪問も戸別訪問に当たるとのことでよろしいのでしょうか。
選挙管理委員会委員長
ただいま答弁申し上げましたように、会社や工場への訪問も戸別訪問にあたります。
伊 藤
ということなんですね。それでは何かの用事があって知人宅を訪問した際に、その訪問のついでに投票を頼んだり、演説会や候補者の氏名の宣伝をすることは戸別訪問にあたるのでしょうか。
選挙管理委員会委員長
他の用件で有権者宅を訪問した際、付随的に投票の依頼を行うことは戸別訪問にあたりませんが、連続して、このような機会を利用する目的で行われる場合は、戸別訪問にあたります。
伊 藤
えー、何かのついでの時はいいけど、次々いっちゃだめだよ、こういうふうなお話ですね。
今の答弁ですと、何かの用事があって知人の家に行って投票を依頼し、そのついでにお隣の家に立ち寄って候補者のパンフを見せたり、投票を頼んだり、あるいは候補者の氏名を宣伝する。こういう行為は戸別訪問となるということでよろしいですよね。
選挙管理委員会委員長
先の質問で答弁申し上げましたとおり、投票を依頼するなどの目的を持って選挙人宅を訪問することは、戸別訪問に当たりますので、お質しの場合につきましても、戸別訪問に当たります。
伊 藤
つまり、投票の依頼、あるいは演説会や候補者の氏名の宣伝の意図をもって訪問するかどうか。ここに戸別訪問を判断するポイントがあるということですね。
あらためて調べてみましたが、戸別訪問の禁止は1925年、大正14年の普通選挙法の制定時からのもので、その禁止の理由は、買収や利益誘導などの不正行為を招きやすいためと説明されております。
ただ、この普通選挙法と一緒に制定されたのが治安維持法だということなんですね。片木教授のお話を読んで、なるほどと合点がいきました。
この治安維持法は、政治でも軍事でも絶対的な権限を持たせた当時の天皇統治の社会統制を維持するための法律でありました。ここにミソがありそうです。
当時の天皇制に疑問を持ち、行動している人たちがいました。この人たちを選挙から閉め出そうという意図が、この普通選挙法に反映している恐れがあるのであります。
いずれにせよ、こんな時代の考えが反映された選挙制度によって、時代がはるかに変わった現代の選挙が運用されているわけであります。
1対1で話し合った方がいろんな趣旨が伝わりやすい。誰もがそう思うことだと思うんであります。それが戦前の時代背景を前提とした法律が生き続けて、時代にそぐわない規制をかけている。これが戸別訪問の規制の現状だというふうに思うんですね。
日本の規制だらけの選挙の異常さは、アメリカの大統領選挙で伝わる選挙の自由さ、また、その熱気と比べるとはっきりしていると思います。
でも、現実には戸別訪問は規制をされている。ある時にしんぶん赤旗の配達をしていたら、お隣のうちにきた人が、「隣にも寄っていったらいいでしょう」とすすめてくれたので訪ねてきましたと言って、顔写真と名前の入ったパンフレットを示して投票を依頼していったと教えてくれたことがあります。
明確な戸別訪問なんです。
私は、そもそも、今の公職選挙法が様々な規制をかけることで、候補者の人となり、政策あるいはその時々の政治の問題が有権者に伝わりにくい仕組みを作り上げている。この点にこそ、今の選挙、特に低投票率に関わる問題の根源がある。そういうふうに思っています。
ただルールに問題があるからと言って、それを破って好き勝手にやっていい。そういうふうに言っているわけではないので、念のためその点は申し添えておきます。
(3)期日前投票について
伊 藤
さて有権者に情報を伝えるという面で選挙をとらえた時に、期日前投票は妙な制度だと私は感じております。
そこでまず、期日前投票とはどのような制度なのか、おうかがいします。
選挙管理委員会委員長
投票は、公職選挙法第44条の規定により、選挙人は選挙の当日、自ら投票所に行き、投票しなければならないとされております。
期日前投票はその例外措置として、公職選挙法第48条の2の規定により、選挙の当日に仕事や用務で投票所に出向き投票することのできない選挙人が、選挙期日の告示日、または、告示日の翌日から選挙期日の前日までの間に、市選挙管理委員会が設置する期日前投票所で投票できる制度であります。
伊 藤
お答えのように、立候補届け出の翌日から投票ができる、そういう制度です。投票において有権者は何かの材料によって候補者を評価し投票先を選択していると、このように思っています。
この材料として、候補者の氏名や人と成り、政策等があると思います。これを伝えるツールに選挙公報があるわけでありますけれども、先の市議選においてこの選挙公報が発行できたのは、いつのことだったのかお答えください。
選挙管理委員会委員長
昨年9月11日執行の市議会議員一般選挙における選挙公報につきましては、告示日から3日後の9月7日に、全国紙5紙、地方紙3紙の合わせて8紙の朝刊に折り込み、各世帯に配布するとともに、市ホームページに掲載いたしました。
また、各支所・公民館などの公共施設の窓口や市内のスーパーマーケットのサービスカウンター、大学等で有権者に配布したところであります。
伊 藤
告示日の3日後ということでありましたけれども、市議選といえばだいたい今答弁のあったような時期に発行されるということなんでしょうかね。
選挙管理委員会委員長
市議会議員一般選挙の選挙公報につきましては、立候補届出受付の際に原稿を提出していただき、届出受付終了後に開催する選挙管理委員会において掲載順序を定めるくじを執行し、掲載順序を決定した後に印刷を開始します。
従いまして、印刷業者から選挙公報が納品される期日は翌日の午後となり、その後、新聞折り込み業者が折り込み作業を行うことから、最短でも告示日から3日後の朝刊の折り込みにならざるを得ない状況にあります。
なお、この工程をさらに短縮することは、現行の制度上困難であります。
伊 藤
まっ、ということになりますと、期日前投票が始まって3日後でありますから、1日、2日かな、この間というのは、選挙公報も有権者に届かないままに、期日前投票が行われて、投票が行われるということになっているわけですね。
つまり十分な情報が届かないもとでも、有権者は投票することができるという状況で、いま選挙が運用されているわけです。
では何をもって判断しているのか、ということが問題になると思います。
選管としては、告示日の翌日の投票において、有権者の投票先決定の判断材料はどのようなところにあるととらえていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
選挙管理委員会委員長
告示日の翌日に投票する有権者が、投票先を決定する際の判断材料について、候補者の日常の政治活動や議員活動、選挙運動用自動車や選挙運動用ポスター、街頭演説や個人演説会、候補者のホームページやSNS等のインターネット上の情報、新聞やテレビの報道等が考えられます。
伊 藤
まー、そいういうものが考えられると思うんです。
ただ候補者カー、この広いいわき市を1人の候補者が走り回るわけですから、実際問題としてはね、選挙で、外で使えるツールっていうのは、なかなか有権者の前には届かないままに投票が行われているっていうのが現状だと思うんですね。
この投票率を向上させるために、投票の機会を増やそうというのが期日前投票であります。でも、そのあり方は、選挙公報の実情も含めて考えると、選挙のあり方が合理的じゃない、ちぐはぐな選挙制度になっている。私はそのように思います。
しかしこのちぐはぐさが、あれもだめ、これもだめという規制だらけの選挙のあり方に、一石を投じることになっている。正そうと思えば、今の仕組みを変えるしかないということなんですね。私はそんな風に思います。
(4)投票率の向上と議員・候補者の役割への期待について
伊 藤
このちぐはぐな選挙制度の中で、選挙管理委員会も条文を読み解くために苦労していると思います。先の片木教授によりますと、当時の自治相のベテラン職員でさえ解釈に苦労していたと、このように証言しているんであります。
そんな中で公職選挙法の下で、投票率向上のために選管はどんな取り組みをするのか質問がされてまいりまいたが、私は選管の取り組みも大切なこと、もちろんそのように思っていますけど、議員や候補者も欠かせない役割を持っている、このようにも思っています。
そこでまず、「選挙」の意義とはどのようなものなのか、おうかがいします。
選挙管理委員会委員長
選挙は、間接民主主義を採用する我が国において、一定の方法により民意の代表者を選出し、自らの権力の行使を代表者に託すことで間接的に政治に参加し、自らの意志を反映させる手段であり、民主主義の根幹をなす重要な制度であると考えております。
伊 藤
お答えのように選挙は大切な意義を持っているもんだと思っています。その選挙に当たって情報発信のためのツールはどのようなものが認められるのでしょうか、おうかがいします。
選挙管理委員会委員長
選挙において使用できる情報発信のツールにつきましては、選挙の種類により違いがありますが、主なものといたしましては、選挙運動用自動車、選挙運動用ポスター、選挙運動用通常はがき、選挙公報、新聞広告、個人演説会、街頭演説、ホームページやSNS等のインターネット等があげられます。
伊 藤
そうしたツールをしっかりと使いながら、自分のひととなり、それから政策について伝えていくことを頑張らなければならないな、いうふうに思います。
次に、選挙活動と政治活動はどのように区分されるのか、おうかがいします。
選挙管理委員会委員長
選挙運動とは、特定の選挙において、特定の候補者の当選を得させようとして選挙人に働きかける行為とされております。
一方、政治活動とは、政治上の主義や政策を推進し、支持、もしくはこれに反対したり、公職の候補者を推薦し、支持し、もしくはこれに反対することを目的として行う一切の行為とされております。
従いまして、広い意味では選挙運動も政治活動の一部でありますが、公職選挙法では、選挙運動と政治活動を区別するため、政治上の目的を持って行われる一切の活動から、選挙運動に渡る行為を除いたものが政治活動とされています。
伊 藤
まっ、今の答弁の中にありましたけれども、広い政治活動の中から選挙活動だけを取り出して規制をかけるもんだから、変なことになっていくんだという指摘を、先程の片木教授はしてるんですよね。その通りだとおもうんです。
常日頃に議員等によって行われる政治活動では投票の依頼はできません。政治の課題や問題、そして改善の方向などを伝えることはできます。また、選挙では政策論戦の活発化や投票のお願いを通じて、政治や選挙に対する市民の関心を高め、投票率の向上につながっていく、そういう状況をつくることができると思いますの。いずれにしても大切な活動となります。
ましてや、有権者が選挙で代表者を選び出すためには、代表者を選択するための情報を国民に広く発信することが大切であります。選挙管理委員会としてはその情報発信に当たって候補者にどのような役割を期待しているのか、おうかがいします。
選挙管理委員会委員長
候補者が、日頃の政治活動や政策・政治信条等をより多くの国民に伝えることは、政治の課題や政策の違いなど、選挙における争点を明らかにするだけでなく、候補者に対する信頼の構築や、政治や選挙に対する関心を高めるなどの効果があるものと考えております。
このことは、有権者の投票行動を引き起こすとともに、選挙のさらなる周知にもつながることから、結果として投票率の向上に寄与するものと考えております。
選挙管理委員会といたしましては、候補者が発信する情報は、選挙において投票先を決定する際の重要な判断材料であると認識しており、国民にとって分かりやすい情報を積極的に発信していただくよう、候補者の役割として期待しているところであります。
伊 藤
選挙管理委員会のですね、期待に応えて、我々自身がんばっていかなければならないだろうなと考えております。
火事とケンカは江戸の華という言葉ありますが、候補者間の政策論戦は選挙の華と言えるのだと思います。
候補者間で政策をぶつけ合うことで、政治と選挙に対する関心と政策に関する共感を高めることができます。片木教授も「選挙運動を通して候補者や政党の政策や主張などを十分に知ることができなければなりません」と指摘しておりました。
そのために有権者に情報を提供するツールを拡大して政策論戦を活発にできるよう、選挙制度を全面的に見直していくことも、また一方では国の責任として必要だというふうに私は思っております。
一方、たとえ見直しがない中でも、候補者間でしっかりと政策論戦をたたかわせることに力を注いでいく。そうした役割を議員・候補者が果たしていくことが大切なのだろうと思っています。
政治に対する信頼も大切だと思います。有権者、国民にうそをつかないということであります。
以前、テレビの報道番組で、育児休暇の延長で手当てが増える分としての増税が議論されていたスウェーデンでの街頭インタビューが印象的でありました。国民が「政府はうそをつかないから、増税に賛成だ」。こう言っていたのであります。
消費税の導入と増税では、社会保障のためと言いながら負担が前提の介護保険制度が作られたり、年金も削減されている。これでは政治に対する信頼が生まれず、結果、選挙に対する関心を低下させる原因になっているのではないか、私はそう思います。
議員としても公約実現のためにがんばる。日常の政治活動において、市政と議会の活動についてしっかり有権者と市民に情報を届け、市政や政治に関心を高めていかなければならないという決意も含めてですね、のべまして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
ありがとうございました。
一般質問は、①小規模県立高校の存続、②公民館嘱託化の効果の検証と運営の充実、③小名浜港周辺の環境整備、④イオンモールのテナント募集、⑤投票率の向上に対する議員候補者の役割――の5点。
5回目は投票率の向上に対する議員候補者の役割に関する質問です。
なお質問ライブの録画中継が以下のアドレスで行われます。現時点では、まだ工事中ですが、まもなく掲載されると思いますので、こちらもお楽しみください。
5 投票率の向上に対する議員候補者の役割等について
(1)たすきの着用について
伊 藤
次の質問は、投票率の向上に対する議員候補者の役割等についてであります。
まず前議会でも質問されていましたが、日常の政治活動での「たすき」の禁止と明記した法令は何なのかうかがいます。
選挙管理委員会委員長
お答えいたします。
政治活動における公職の候補者等の氏名を表示した「たすき」など、いわゆる文書図画につきましては、公職選挙法第143条第16項の規定により、事務所に掲示する立札・看板の類、ベニヤ板などで裏打ちされてない政党の政治活動用のポスター、政治活動のために行う演説会・講演会・研修会の会場において使用するものを除いては掲示できないこととなっております。
したがいまして、街頭演説など日常の政治活動におきまして、公職の候補者等の氏名、または、氏名が類推される事項を表示した「たすき」の着用はできないこととなっております。
伊 藤
まっ、143条16項に規定されているという答弁であります。
ただこれは、運用する側の解釈で、どこをどう読んでも、政治活動での「たすき」はだめよ、このように明記した部分は見当たらないんですね。選管――これは国も一緒のようなんですが、その解釈で初めて分かる。こういう状況なんです。
元自治省で選挙部長をつとめた早稲田大学の片木淳教授はこんなことを言っています。
公職選挙法の規定内容自体があいまいで、本来萎縮する必要のないところでみんな萎縮して、「疑わしい行為は全てだめ」という、規制面に偏った拡大解釈をしがちだというのであります。
この「たすき」の例にもれず、現時点では司法で判断されたことがないので、選管の解釈が一般的な解釈となっているわけです。ですから、これには十分留意していかなければならないとは思います。
(2)戸別訪問について
伊 藤
この「たすき」も一つの規制ということになりますが、現在の公職選挙法は、様々な活動に規制をかけて政治活動や選挙を不自由なものにしているのが現実であります。
その一つが戸別訪問です。そこでまず、戸別訪問とはどのようなことをいうのか、おうかがいします。
選挙管理委員会委員長
戸別訪問とは、選挙人宅や会社・工場等を訪問し、投票を依頼したり、または、投票を得させないように依頼するような行為を言い、公職選挙法第138条の規定に禁止されております。
伊 藤
確認しますけれども、会社や工場への訪問も戸別訪問に当たるとのことでよろしいのでしょうか。
選挙管理委員会委員長
ただいま答弁申し上げましたように、会社や工場への訪問も戸別訪問にあたります。
伊 藤
ということなんですね。それでは何かの用事があって知人宅を訪問した際に、その訪問のついでに投票を頼んだり、演説会や候補者の氏名の宣伝をすることは戸別訪問にあたるのでしょうか。
選挙管理委員会委員長
他の用件で有権者宅を訪問した際、付随的に投票の依頼を行うことは戸別訪問にあたりませんが、連続して、このような機会を利用する目的で行われる場合は、戸別訪問にあたります。
伊 藤
えー、何かのついでの時はいいけど、次々いっちゃだめだよ、こういうふうなお話ですね。
今の答弁ですと、何かの用事があって知人の家に行って投票を依頼し、そのついでにお隣の家に立ち寄って候補者のパンフを見せたり、投票を頼んだり、あるいは候補者の氏名を宣伝する。こういう行為は戸別訪問となるということでよろしいですよね。
選挙管理委員会委員長
先の質問で答弁申し上げましたとおり、投票を依頼するなどの目的を持って選挙人宅を訪問することは、戸別訪問に当たりますので、お質しの場合につきましても、戸別訪問に当たります。
伊 藤
つまり、投票の依頼、あるいは演説会や候補者の氏名の宣伝の意図をもって訪問するかどうか。ここに戸別訪問を判断するポイントがあるということですね。
あらためて調べてみましたが、戸別訪問の禁止は1925年、大正14年の普通選挙法の制定時からのもので、その禁止の理由は、買収や利益誘導などの不正行為を招きやすいためと説明されております。
ただ、この普通選挙法と一緒に制定されたのが治安維持法だということなんですね。片木教授のお話を読んで、なるほどと合点がいきました。
この治安維持法は、政治でも軍事でも絶対的な権限を持たせた当時の天皇統治の社会統制を維持するための法律でありました。ここにミソがありそうです。
当時の天皇制に疑問を持ち、行動している人たちがいました。この人たちを選挙から閉め出そうという意図が、この普通選挙法に反映している恐れがあるのであります。
いずれにせよ、こんな時代の考えが反映された選挙制度によって、時代がはるかに変わった現代の選挙が運用されているわけであります。
1対1で話し合った方がいろんな趣旨が伝わりやすい。誰もがそう思うことだと思うんであります。それが戦前の時代背景を前提とした法律が生き続けて、時代にそぐわない規制をかけている。これが戸別訪問の規制の現状だというふうに思うんですね。
日本の規制だらけの選挙の異常さは、アメリカの大統領選挙で伝わる選挙の自由さ、また、その熱気と比べるとはっきりしていると思います。
でも、現実には戸別訪問は規制をされている。ある時にしんぶん赤旗の配達をしていたら、お隣のうちにきた人が、「隣にも寄っていったらいいでしょう」とすすめてくれたので訪ねてきましたと言って、顔写真と名前の入ったパンフレットを示して投票を依頼していったと教えてくれたことがあります。
明確な戸別訪問なんです。
私は、そもそも、今の公職選挙法が様々な規制をかけることで、候補者の人となり、政策あるいはその時々の政治の問題が有権者に伝わりにくい仕組みを作り上げている。この点にこそ、今の選挙、特に低投票率に関わる問題の根源がある。そういうふうに思っています。
ただルールに問題があるからと言って、それを破って好き勝手にやっていい。そういうふうに言っているわけではないので、念のためその点は申し添えておきます。
(3)期日前投票について
伊 藤
さて有権者に情報を伝えるという面で選挙をとらえた時に、期日前投票は妙な制度だと私は感じております。
そこでまず、期日前投票とはどのような制度なのか、おうかがいします。
選挙管理委員会委員長
投票は、公職選挙法第44条の規定により、選挙人は選挙の当日、自ら投票所に行き、投票しなければならないとされております。
期日前投票はその例外措置として、公職選挙法第48条の2の規定により、選挙の当日に仕事や用務で投票所に出向き投票することのできない選挙人が、選挙期日の告示日、または、告示日の翌日から選挙期日の前日までの間に、市選挙管理委員会が設置する期日前投票所で投票できる制度であります。
伊 藤
お答えのように、立候補届け出の翌日から投票ができる、そういう制度です。投票において有権者は何かの材料によって候補者を評価し投票先を選択していると、このように思っています。
この材料として、候補者の氏名や人と成り、政策等があると思います。これを伝えるツールに選挙公報があるわけでありますけれども、先の市議選においてこの選挙公報が発行できたのは、いつのことだったのかお答えください。
選挙管理委員会委員長
昨年9月11日執行の市議会議員一般選挙における選挙公報につきましては、告示日から3日後の9月7日に、全国紙5紙、地方紙3紙の合わせて8紙の朝刊に折り込み、各世帯に配布するとともに、市ホームページに掲載いたしました。
また、各支所・公民館などの公共施設の窓口や市内のスーパーマーケットのサービスカウンター、大学等で有権者に配布したところであります。
伊 藤
告示日の3日後ということでありましたけれども、市議選といえばだいたい今答弁のあったような時期に発行されるということなんでしょうかね。
選挙管理委員会委員長
市議会議員一般選挙の選挙公報につきましては、立候補届出受付の際に原稿を提出していただき、届出受付終了後に開催する選挙管理委員会において掲載順序を定めるくじを執行し、掲載順序を決定した後に印刷を開始します。
従いまして、印刷業者から選挙公報が納品される期日は翌日の午後となり、その後、新聞折り込み業者が折り込み作業を行うことから、最短でも告示日から3日後の朝刊の折り込みにならざるを得ない状況にあります。
なお、この工程をさらに短縮することは、現行の制度上困難であります。
伊 藤
まっ、ということになりますと、期日前投票が始まって3日後でありますから、1日、2日かな、この間というのは、選挙公報も有権者に届かないままに、期日前投票が行われて、投票が行われるということになっているわけですね。
つまり十分な情報が届かないもとでも、有権者は投票することができるという状況で、いま選挙が運用されているわけです。
では何をもって判断しているのか、ということが問題になると思います。
選管としては、告示日の翌日の投票において、有権者の投票先決定の判断材料はどのようなところにあるととらえていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
選挙管理委員会委員長
告示日の翌日に投票する有権者が、投票先を決定する際の判断材料について、候補者の日常の政治活動や議員活動、選挙運動用自動車や選挙運動用ポスター、街頭演説や個人演説会、候補者のホームページやSNS等のインターネット上の情報、新聞やテレビの報道等が考えられます。
伊 藤
まー、そいういうものが考えられると思うんです。
ただ候補者カー、この広いいわき市を1人の候補者が走り回るわけですから、実際問題としてはね、選挙で、外で使えるツールっていうのは、なかなか有権者の前には届かないままに投票が行われているっていうのが現状だと思うんですね。
この投票率を向上させるために、投票の機会を増やそうというのが期日前投票であります。でも、そのあり方は、選挙公報の実情も含めて考えると、選挙のあり方が合理的じゃない、ちぐはぐな選挙制度になっている。私はそのように思います。
しかしこのちぐはぐさが、あれもだめ、これもだめという規制だらけの選挙のあり方に、一石を投じることになっている。正そうと思えば、今の仕組みを変えるしかないということなんですね。私はそんな風に思います。
(4)投票率の向上と議員・候補者の役割への期待について
伊 藤
このちぐはぐな選挙制度の中で、選挙管理委員会も条文を読み解くために苦労していると思います。先の片木教授によりますと、当時の自治相のベテラン職員でさえ解釈に苦労していたと、このように証言しているんであります。
そんな中で公職選挙法の下で、投票率向上のために選管はどんな取り組みをするのか質問がされてまいりまいたが、私は選管の取り組みも大切なこと、もちろんそのように思っていますけど、議員や候補者も欠かせない役割を持っている、このようにも思っています。
そこでまず、「選挙」の意義とはどのようなものなのか、おうかがいします。
選挙管理委員会委員長
選挙は、間接民主主義を採用する我が国において、一定の方法により民意の代表者を選出し、自らの権力の行使を代表者に託すことで間接的に政治に参加し、自らの意志を反映させる手段であり、民主主義の根幹をなす重要な制度であると考えております。
伊 藤
お答えのように選挙は大切な意義を持っているもんだと思っています。その選挙に当たって情報発信のためのツールはどのようなものが認められるのでしょうか、おうかがいします。
選挙管理委員会委員長
選挙において使用できる情報発信のツールにつきましては、選挙の種類により違いがありますが、主なものといたしましては、選挙運動用自動車、選挙運動用ポスター、選挙運動用通常はがき、選挙公報、新聞広告、個人演説会、街頭演説、ホームページやSNS等のインターネット等があげられます。
伊 藤
そうしたツールをしっかりと使いながら、自分のひととなり、それから政策について伝えていくことを頑張らなければならないな、いうふうに思います。
次に、選挙活動と政治活動はどのように区分されるのか、おうかがいします。
選挙管理委員会委員長
選挙運動とは、特定の選挙において、特定の候補者の当選を得させようとして選挙人に働きかける行為とされております。
一方、政治活動とは、政治上の主義や政策を推進し、支持、もしくはこれに反対したり、公職の候補者を推薦し、支持し、もしくはこれに反対することを目的として行う一切の行為とされております。
従いまして、広い意味では選挙運動も政治活動の一部でありますが、公職選挙法では、選挙運動と政治活動を区別するため、政治上の目的を持って行われる一切の活動から、選挙運動に渡る行為を除いたものが政治活動とされています。
伊 藤
まっ、今の答弁の中にありましたけれども、広い政治活動の中から選挙活動だけを取り出して規制をかけるもんだから、変なことになっていくんだという指摘を、先程の片木教授はしてるんですよね。その通りだとおもうんです。
常日頃に議員等によって行われる政治活動では投票の依頼はできません。政治の課題や問題、そして改善の方向などを伝えることはできます。また、選挙では政策論戦の活発化や投票のお願いを通じて、政治や選挙に対する市民の関心を高め、投票率の向上につながっていく、そういう状況をつくることができると思いますの。いずれにしても大切な活動となります。
ましてや、有権者が選挙で代表者を選び出すためには、代表者を選択するための情報を国民に広く発信することが大切であります。選挙管理委員会としてはその情報発信に当たって候補者にどのような役割を期待しているのか、おうかがいします。
選挙管理委員会委員長
候補者が、日頃の政治活動や政策・政治信条等をより多くの国民に伝えることは、政治の課題や政策の違いなど、選挙における争点を明らかにするだけでなく、候補者に対する信頼の構築や、政治や選挙に対する関心を高めるなどの効果があるものと考えております。
このことは、有権者の投票行動を引き起こすとともに、選挙のさらなる周知にもつながることから、結果として投票率の向上に寄与するものと考えております。
選挙管理委員会といたしましては、候補者が発信する情報は、選挙において投票先を決定する際の重要な判断材料であると認識しており、国民にとって分かりやすい情報を積極的に発信していただくよう、候補者の役割として期待しているところであります。
伊 藤
選挙管理委員会のですね、期待に応えて、我々自身がんばっていかなければならないだろうなと考えております。
火事とケンカは江戸の華という言葉ありますが、候補者間の政策論戦は選挙の華と言えるのだと思います。
候補者間で政策をぶつけ合うことで、政治と選挙に対する関心と政策に関する共感を高めることができます。片木教授も「選挙運動を通して候補者や政党の政策や主張などを十分に知ることができなければなりません」と指摘しておりました。
そのために有権者に情報を提供するツールを拡大して政策論戦を活発にできるよう、選挙制度を全面的に見直していくことも、また一方では国の責任として必要だというふうに私は思っております。
一方、たとえ見直しがない中でも、候補者間でしっかりと政策論戦をたたかわせることに力を注いでいく。そうした役割を議員・候補者が果たしていくことが大切なのだろうと思っています。
政治に対する信頼も大切だと思います。有権者、国民にうそをつかないということであります。
以前、テレビの報道番組で、育児休暇の延長で手当てが増える分としての増税が議論されていたスウェーデンでの街頭インタビューが印象的でありました。国民が「政府はうそをつかないから、増税に賛成だ」。こう言っていたのであります。
消費税の導入と増税では、社会保障のためと言いながら負担が前提の介護保険制度が作られたり、年金も削減されている。これでは政治に対する信頼が生まれず、結果、選挙に対する関心を低下させる原因になっているのではないか、私はそう思います。
議員としても公約実現のためにがんばる。日常の政治活動において、市政と議会の活動についてしっかり有権者と市民に情報を届け、市政や政治に関心を高めていかなければならないという決意も含めてですね、のべまして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
ありがとうございました。
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