伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

コウゾとミツマタ

2020年12月09日 | 遠野町・地域
 コウゾの皮むき・・いやコウゾの繊維の材料づくりといった方が正しいかもしれない。この作業は、
コウゾの木の育成、
伸びた1年物の枝の刈り取り、
大きな釜による蒸し上げ、
皮むき、
乾燥、
黒皮をはいで白皮化、
水にさらしてのゴミ取り、
白皮を砕いて繊維化をしてやっと紙漉の工程にすすむ。紙漉まで、結構手がかかるのだ。しかも遠野はその作業を全て手作業で行う。他も同様かもしれないが、そこはよく知らない。

 今回、ボランティア作業に参加して、和紙について話す機会があった。洋紙の場合、塩素で漂白する過程で紙が酸性化し、時間の経過とともに変色・崩壊していくと聴いている。和紙はアルカリ性で丈夫で長持ち。絵画、彫刻など古い芸術作品の補修にも、薄い和紙が使われると以前に聞いた。歴史をつなぐ上でも和紙が重要な地位を占めていることが分かる。

 一方では、和紙の特別な役割での利用にとどまらず、利用範囲を拡大しなければ産業として後世に伝えることはできない。利用範囲を拡大するためにはコストを下げなければならない。値段は高くても高性能なので日常に使ってくださいといっても、現実にはそうはいかないだろう。他方、製造までに手がかかる和紙でコストを下げることは難しい。ここらが和紙を拡大する上でのネックなのだろうな。

 しかし、和紙の丈夫さは貴重だ。この丈夫さゆえに、何回も折りたたむなど結構厳しい使われ方が前提の日本のお札は和紙でできているという。そう、放送で聞いたこともあることを思い出す。

 19日にコウゾの刈り取りをした遠野町深山田の畑には、一株だけミツマタがあった。ミツマタもコウゾとともに和紙の原料に使われる。このミツマタは春一番に房状の花をつけ、春の到来を教えてくれるので、観賞用としても貴重な存在と思う。しかし、コウゾを目的に刈り取っている畑にミツマタがあると紛らわしい。しかし、今のところ遠野和紙の製造にミツマタは使っていない。どうしてここの畑にあるのだろうか。

 なぜミツマタを和紙作りに使わないのか、以前から気にかかっていた。作業をしながら聞くと、コウゾは刈り取り後1年で枝の採取が可能だが、ミツマタは3年間枝の採取ができないというのだ。効率が悪いのだ。しかし一方で、ミツマタで漉いた和紙はきめ細やかで、お札にも利用されているという。ミツマタの方が繊維が細く、きめ細やかな紙となるのだろう。

 当面、遠野地区では市内の卒業証書の用紙として和紙を活用する方向を考えている。しかし、まだまだ材料となるコウゾが不足しているという。課題はここらにありそうだ。

 さて、19日の朝は雲が多かった。



 コウゾの刈り取り作業は午前9時集合。しかし、その時間には作業はだいぶ進んでいる。みなさんとても早く集まり、作業に取りかかっているのだ。この時間には、多少雲が少なくなってきた。その時にハロが見えた。フロントページの写真はコウゾの刈り取り作業の背後に出現したハロだ。

 なかなか絵になる場面と思う。コウゾのボランティア作業を続ける人たちを空から見守って祝福しているようだ。

 さて、和紙の原料となるコウゾの採取量はまだまだ少ない。これを増やすために、8日には、古いコウゾの木がある入遠野地区の入定で、養生作業を行った。具体的には、放置されて伸び放題のコウゾの木を、根を残して伐採するのだ。伐採した幹や枝などは、皮が硬くなっており利用しない。来年、根から枝が伸び、材料とすることができるかもしれないという。

 コウゾの切り倒しと周辺の雑木等の除去作業。たっぷり時間がかかったが、雑木等の少ないすっきりした空間を作ることができたと思う。



 近くの畑には季節外れのホトケノザが咲いていた。



 オオイヌノフグリも開花している。現暖かい冬になっている証拠なのだろう。


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