いわき市議会9月定例会
全議案を可決し閉会
耐震改修追加補正予算に賛成し討論
いわき市議会9月定例会は9月30日、市長提出の54議案のうち35議案を可決、前年度決算関連議案19件を継続審議とし、市議会提出の意見書案5件を採択し閉会しました。議案の討論に伊藤浩之議員が立ち、意見書のうち「地方財政の充実及び強化を求める意見書」の提案者に、坂本康一議員がなりました。決算案は閉会中審査となります。
耐震改修補正予算、
賛成21、反対15
今議会で採決に付された議案は、現在の嘱託職員や日々雇用職員等を来年度から会計年度任用職員として採用し、一定、待遇改善を図るための条例改正案など35議案です。
このうち、工事が続いている市役所本庁舎耐震改修工事で、新たに必要となった工事について、市の負担分を補正する一般会計補正予算案の賛否が分かれ、討論が行われました。
耐震改修工事は2017年6月から工事が継続しており、新たに必要になった工事について、昨年11月定例会で1度目の補正予算が議決され、今回で2度目の追加工事による補正予算の提案になっていました。
提案された補正額は、今回の工事で工期が14ヶ月延長することにともない、今年度予算と継続費に計上され、2年分の工事費として5億4859万2000円となっていました。
この補正予算に対して、志帥会(議長と当日の欠席者除き9名)と創世会(6名)が反対し、それぞれ討論に立ちました。
賛成は、自民党一誠会(7人)、共産党・市民共同(4人)、公明党(4人)、つつじの会(3人)と1人会派の3会派。私の討論の趣旨は次の通りです。
■市民に説明できるようになってきた
本案で、いま、行われているような契約の内容、金額の妥当性などの議論は、本来契約議案の時に行われるべきでした。市民のみな様に不安をもたらすことになったことには、心からのお詫びを申し上げます。
工事が一定進んだ状況で、追加工事が認められず中断し、最終的に中止ということになれば、損害賠償の争いになる可能性があります。
従って、契約に著しく反する請負事業者の行為がない以上、契約に即して一つ一つの事項を判断していくことが求められるし、この間の議論で明らかになってきた点で、市民に説明し、ご理解いただくことができる状況になっていると考えています。
■市の考えも反映し負担分担
まず、本庁舎の耐震改修工事は公募型プロポーザルにより、2事業者の提案を審査し、最優秀となった事業者と正式に契約を結んできたという点です。
契約には、追加工事等の、リスク分担表に基づく負担の決定も含まれています。
追加工事等の負担の分担は、リスク分担表の対象になった10項目の工事等のうち、事業者は9項目を市の負担とし、工事監理者はこの9項目のうち5項目を事業者、4項目を市の負担としました。市は4項目のうち1項目は、工事を施工する上で必要になった追加工事で請負者負担という考えで話し合い、合意され、最終的に7項目が事業者、3項目が市の負担とされました。
リスク分担によらず市の負担となった4項目についても、基礎杭の高止まりは、異なった状況を示す2つの図書の食い違いを現場で確認することにしたという市の説明は納得のできるものでした。
また、市が分担する工事の事業者見積もりに対して約1億2830万円縮減した内容の補正予算には、適正な負担となるよう検討をすすめた経過を見ることができます。
■様々な手法提案可能な公募
耐震改修の手法は、基本構想で「最も有力」とされた「免震改修」ありきだったのではないかという指摘があります。
しかし、今回の公募型プロポーザルに応募した2者のうち1者は、地下の掘削を伴わない別の手法で提案しており、どのような手法でも応募できる状況にあったと考えられます。
■建て替えは負担大
建て替えた方が良かったという指摘もありますが、事業費で約53億円、財源も加えて考えると約80億円も市の負担が増加することに加え、建設場所等で市民合意に時間がかかり、その間、問題のある庁舎を使用し続けることを考えると、耐震化工事を想定した基本構想が妥当性を欠くとは言い難いと考えます。
■事業者選定の理由も明確に
請負事業者の選定についても、一つに、免震改修では震災を受けた基礎杭の状況を直接確認できること二つに別の手法の提案には、工事の進捗に伴って執務室の移動等が生じるデメリットがあるなど、請負事業者となった大成建設株式会社東北支店の提案の優位性が説明されました。
本来は、2つの提案にとどまらず、さらに多くの提案の中からより良い手法を選定することが期待されたと思います。しかし、結果として2者の応募となったことから、大成建設の選定にはふさわしい理由があったと考えられます。
■賃金等の適正化に適切な事業費必要
繰り返される追加工事についても、一つには建物の地下での工事は、予測が困難な事態が想定されること、二つには、東分庁舎の地震補強など設計変更で補正予算を計上した事例がたびたびあること、三つ目に、その背景には、末端の労働者まで賃金等の適切な待遇を確保するために、適切な事業費を支払うことが必要で、そのための設計変更を国が推奨していることがあると説明されています。このような措置は欠かすことができないと考えます。
■説明責任果たして
しかしながら、工事が進んだ段階で契約行為が問題になる背景には、プロポーザルによる契約内容や事業者の選定理由等が十分に説明されてこなかったことがあり、着工後の情報共有のあり方にも問題がありました。
執行部は契約内容等の説明責任をしっかり果たすことを要望し、市民のサービス拠点であり、災害時の対応拠点となる本庁舎の耐震工事を進めるために、本案を可決すべきと考えます。
文=伊藤浩之
意見書案
トリチウム水関連案に修正求め保留に
――「適切な処理」を「適切な対応」に
意見書案等の結果は表の通りです。(画像参照)
トリチウム水に関する意見書案には、「トリチウム水の適切な処理」の文章がありました。「処理」の意味は「物事を取りさばいて始末をつけること」で、「始末」つまり最終処分=海洋投棄のニュアンスが強くなります。住民には、陸上保管など中間処分的な意見もあることから、「処理」を「周囲の状況」を踏まえる意味を含む「対応」とすることを求めましたが、合意を見ていないため同案は保留としました。
文=伊藤浩之
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