実は・・の事態とは、原稿書きと作成で、心臓をつかまれるような緊張感にさいなまされながら、作業を進めたということだ。今日は30日、私が委員長を務める議会改革特別委員会が開かれることは認識していた。
ところが、昨日の段階で、明日が30日という認識がなかった。
昨日開かれた、会派打ち合わせを受けて、午後から始めた作業があったのだが、議員だよりの原稿は明日の午前中に書いて、紙面構成までできるだろうという想定で、その作業を優先して進めた。A4版8枚の文書を書き終え、その日の作業は終了となった。
さて今日を迎えた。あれ、30日・・委員会がある日じゃないか!!
目論見にずれが生じた。原稿書かなくちゃ、いやその前に委員長なんだから、改革委員会前に次第書等、資料を見て、会議の全体を把握しておかなくちゃ。とにかく8時30分前に議会棟に入り、委員会の関係資料に目を通し、昨日書いた8枚の文書の添削をして仕上げる作業を進めた。
これで、会議の準備開始時刻を迎えた。
会議は、アプリケーションソフト「ズーム」を使ってリモート会議で進めることになっていた。いわき市議会では、これまで経験がなく、議会改革を担う改革委員会が試行することが妥当との判断から、この会議に合わせて準備を進めてきたのだ。
PCをセットして、この日の議題の審議を開始し、無事議了することができた。会議そのものは何とかなるものだ。
リモート会議終了後は、初のこころみに関して、それぞれの委員から意見を聴いた。おおむね良好な意見であった。
他の委員に意見を話してもらいながら、委員長特権を利用して私が意見無しでも「狡いぞ」などと言われてしまう。2点ほど感想を述べた。
委員長なので、進行する立場になるのだが、リモート会議では空気感がつかみにくいという点が一つ。
ある委員が言っている意見に、他の委員がどんな感想を持っているのだろうか。一同そろった会議だと、表情も読みながら判断して進めることが容易いのだが、リモート会議だとこれがなかなか難しかった。慣れると大丈夫なのかもしれないが。
もう一点は、常任委員会等の導入が想定されるが、現在の委員会審議は、執行部に出席を求め、議案に対する質疑を踏まえて賛否を決める、委員(議員)対執行部の構図に重きが置かれた状態にある。本来委員会は、委員同士が意見を出し合い、合意点、あるいは論点を明らかにする議論がされ賛否が判断されていく場なのだが、伝統的に、こうした審議はごくわずかしか見られない。執行部との質疑も含めてリモート会議となると、出席人数も膨大になり、やりにくいだろうと考えられる。その点から、リモート会議の導入によって本来の委員間討議に重きを置いた運営にならざるを得ないと考えられ、リモート会議の導入には、議のあり方にもさらに踏み込んだ議論が必要と思われる。
そしてなおかつ、いわき市議会においては試行とは言え、初のリモート会議の開催になり、ある意味、歴史的な時間を委員のみな様と共有することができたことに感謝――こうした感想を述べておいた。ああ、歴史的な試行会議を苦労して準備してくれた事務局のみなさんへの感謝がなかった。それは本ブログでの感謝に変えたい。
それはともかく、この会議がだいたい11時に終わって、それからが原稿書きだ。1行も書いていない。とにかく、午後、できるだけ早い時間に印刷データを送信しなければならない。その思いを胸に原稿を書きだした。
今朝、郡山市議会のトリチウムに関する意見書を「反対」と紹介していたが、その内容を読んでみると、いわき市議会の意見書も「反対」の評価で良さそうなのだがと考えたことなども盛り込みながら、記事を書き始めた。
刻々と時間が過ぎていく。息苦しさが増す。1時間ほどかかって書いた原稿の量では片面におさまらない。短くまとめるは大変そうだ。一番、簡単なのは、さらに長い原稿にすること。そこで、少し展開を加えて、長い原稿を書いた。この行き詰る時間が苦しい。
午後1時半頃、やっと紙面構成が完了した。PDFファイルに変換して、メールで送信。終了だ。
終わって30分以上が経過したのだが、まだ心臓が締め付けらるようだ。よほどの緊張の時間を過ごしたに違いない。
ともかく、だいぶ、緊張をしながら書いた記事は、以下の通り。
6月定例会
トリチウム処理水請願・意見書採択
紆余曲折経て市議会の考えがまとまる
トリチウム処理水請願・意見書採択
紆余曲折経て市議会の考えがまとまる
前号に、6月定例会に採択された請願・意見書の内容について掲載し、新聞報道では、県内各議会の対応が取り上げられています。いわき市議会で、どのように請願・意見書が採択に至ったのか、その背景について報告します。
6月30日の報道で、郡山市議会が海洋放出に反対の意見書を可決(採択)したと報道されました。
報道された意見書は、「風評被害対策の拡充・強化、情報の公開、風評被害に苦しむ県民に対する丁寧な意見聴取と合意の要件を満たさない限り、処理水の海洋放出はしないことを求める」とされています。いわき市議会については「風評被害の拡充・強化を強く訴えている」との扱いになっていますが、報道された郡山市議会の意見書を読む限り、いわき市議会の採択した意見書とほぼ変わらない。いやむしろ、いわき市議会の意見書は、処分方法に関する政府案の公表と意見聴取や、風評に関して処理水の安全に関する国民への情報発信と関係者及び国民の理解・合意を前提としながら、それがなるまでの間は「陸上保管を継続」するよう求めていることを考えると、郡山市が採択した意見書の内容よりも、さらに難しい課題を政府に提示したのではないか。このように思われます。
いわき市議会の意見書には、原発と放射性物質への国民的誤解や知識不足が風評の根っこにあり、これを是正できなければ風評を抑え込むことができないという認識があると考えています。この認識を会派間で共有できたのです。
同時に、当会派としては、政府が稼働する原発から放射性物質が放出されるという事実等を明確に国民などに示すことで、原発を優先するエネルギー政策と国民の間に、新しい関係性が生じる。その結果、放射性物資を環境に放出しないエネルギー源を模索する動きがさらに強まるのではないか。そのような期待を持てる意見書が、仕上がったものと考えています。
処理水意見書の動き
このような意見書が採択されるまでは紆余曲折がありました。
2018年11月定例会には、当会派から提案した「海洋放出については慎重に決定することを求める意見書」が採択されていました。
この後、アルプス小委員会が、海洋放出等を視野に入れた検討を進めていることを受けて、志帥会が「トリチウム水の適切な処理と新たな風評が生じないよう徹底した対策を求める意見書」を提案。当会派から文案中の「処理」の文言が、海洋放出等を強くイメージさせることから、漁業関係者が反対していることを踏まえて、陸上保管など多様な手法を内包できる「対応」という文言に変更することを求めましたが、これが入れられず、結果、意見書は廃案になりました。
今年2月定例会に、志帥会から丁寧な意見聴取と風評対策の拡充・強化を示し、「国の責任による適切な対応」を求める意見書が提案され、会派としてはこの案に賛成しましたが、創世会の保留(注:原文の反対は誤り)で継続審議になっていました。
再提出案には賛成
4月になって資源エネルギー庁が、アルプス小委員会報告に関する意見聴取を開始、いわき市議会も文書により2回の質疑を行いました。
その結果、国としては、①意見聴取が終われば政府の対応方針を定めてしまい、これに対する意見聴取の機会を設ける考えはないこと、②放射性物質の安全性に関する情報公開は、県民向けが主で、国民向けの積極的な取り組みは進められていないことが確認されました。
このため、当会は、志帥会案の意見書に、この2つの問題点を盛り込み案文を補強するよう要望。創世会を除く全会派が、この修正意見書に賛同していました。
請願提出の動き
ところが、意見書が検討される6月定例会を前にして市民に動きがありました。
市内の女性中心の団体から、請願提出の紹介議員となっていただきたいと連絡があったのです。
女性団体が持ってきた請願は、「陸上保管」を継続することを求める案文で、合わせて市議会として同様の意見書の採択を求める陳情も示されました。
ただ、女性団体としては請願採択をめざし、そのためのアドバイスをいただきたいという要望も出されました。
そこで会派としては、「陸上保管」ありきでは紹介議員になれないこととともに、各会派間の検討の中で、志帥会が提出した意見書案が創世会を除く会派の賛同を得ており、当会派も賛成していることから、この意見書の要望事項をベースに、要望達成までの間は陸上保管を求める内容であるならば、紹介議員になれる旨のアドバイスを伝えました。
他に志帥会も女性団体に対し、請願趣旨の記述の正誤や請願項目に関する意見を伝えたと聞いており、その結果、請願項目は当会派から女性団体にアドバイスした内容と、ほぼ同様の内容として志帥会、当会派、創世会の3会派から3議員が紹介し、議会に提出されました。
ほぼ同じ・なのに態度が違うのはなぜ
並行して意見書の検討も進められました。6月定例会には志帥会提出の修正された意見書案の他、女性団体の陳情を受けて創世会から陸上保管を求める意見書案が提出されました。しかし、志帥会案には、2月定例会に続き、創世会が態度保留としたために、いわき市議会ルールで廃案。一方、陸上保管を求める意見書も廃案になりました。
不思議なのは、志帥会案と請願は、ほぼ同等の内容だったのに、創世会が志帥会案に反対し、請願の紹介議員になった点です。
この辺の事情は、よく分かりませんが、請願と意見書に若干の違いがあったとすれば、その修正を求め、市議会としての明確な態度を示すために努力することだったと考えますが、そのような経過を踏むことはありませんでした。
意見書再検討
請願は審査が付託された政策総務常任委員会で、全会一致で採択すべきの結論となりました。請願は本会議で採択されれば執行部に送付されることになります。そして、その内容は、丁寧な意見聴取と風評対策の拡充・強化を示して、関係者・国民の理解と合意を広げること、それまでの間は陸上保管を続けるよう、国に意見しなさいというものでした。
この請願採択の動きを受け、市議会としての姿勢も国に明確に示すべきという意見が出され、廃案となった意見書案とは別の形で意見書をまとめる会派間の協議がされることになりました。
ベースになったのは、採択される見通しが立った請願でした。この内容を意見書に取り入れて、全会派が賛同できる意見書を採択する方向で検討が進んだのです。
結果として冒頭に紹介したような項目を持つ意見書に各会派が合意し、意見書の採択をめざすことになりました。
本会議にかけられた請願案と意見書案は、ともに前回一致で採択されました。
議会改革の流れが生み出した意見書
いわき市議会で、当会派は議会改革検討委員会の委員長を務めています。
議会改革は、いわゆる「開かれた議会」をめざすもの。このためにこの間、市議会としての議会報告会の開催や市議会発の政策の発信、また、議会運営の改善として正副議長選における所信表明会の開催や、委員会運営上の議員間討議の活発化などが合意され、実行され、あるいは実行に移されつつあります。
その議会改革の一つの流れにあるものが、市議会として一つの意思を形成することです。先に議会案として提案され、採択された「いわき市魚食の推進に関する条例」はその一つの例です。
市議会は、政党や団体など、様々な背景をもった議員の集合体です。それぞれの議員の考えを押し通すだけでは、市議会という一つの集合体の意思を示すことはできません。
市議会は、選挙によって選出された議員の集合体として、市民の声を発信することが求められます。
しかし、それぞれの議員・会派の主張を通すばかりでは、大切な市民の声は闇の中に沈み込むことになります。
このため、議論を通して、各会派の考えを活かしながら一致できる点がどこにあるのか。こうした観点から考えをまとめていくことが求められています。
今回の意見書採択をめざした市議会内の動きは、この議会改革の成果を試す絶好の機会でもありました。
こうした議会としての活動を積み上げていくことに今後とも力を入れていきたいと考えます。
文=伊藤浩之
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