伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

地方創生に批判相次いだ議長会研究フォーラム

2015年11月18日 | 政治
 福島市の福島県文化センターで開かれた全国市議会議長会研究フォーラムin福島に出席し、講演とパネルディスカッションを聞きました。

 基調講演は熊本県立大学理事長の五百旗頭真氏で、「大震災からの復興と備え」がテーマ。



 各地の震災被害と復興の取り組みを紹介しながら、今回の震災を受けて、次の災害に備える動きが出たのが対策の特徴だとしました。

 震災の復興では、壊滅的被害を受けた自治他に対しては、阪神淡路大震災で始まった個人のボランティアにとどまらず、自治体間の広域支援が行われたとし、また、被害が免れた地域がある自治体では、「減災」という考えから、防潮堤と防波堤、その内側に土を盛りグリーンベルトとして到達する災害をできるだけ抑える多重防護のまちづくり(いわき市も同様ですね)がすすめられているなどと、復旧。復興の取り組みの現状を分類して紹介しました。

 また、被災した際、まずは自分あるいは家族で救援する自助で対応し、次に隣近所の人たちと助け合う共助で対応することになるとし、阪神淡路大震災では祭など地域コミュニティーの取り組みがある地域での共助による救援が多かったとして、地域コミュニティー作りに普段から取り組むことが大切だと指摘していました。

 続くパネルディスカッションでは、NHK福岡放送局局長の橋本勝氏をコーディネーターに、
大滝精一氏(東北大学大学院経済学研究科教授)、
役重眞喜子氏(花巻市コミュニティーアドバイザー)、
山下祐介氏(首都大学東京准教授)、
金井利之氏(東京大学公共政策大学院教授)、
高木克尚氏(福島市議会議長)、
がパネリストとなり意見交換がすすみました。

 全体としては、産業の復興は外からの導入ではかるのではなく、地元にもともとあった産業を基盤にその発展をはかる方法をとることの大切さや、「地方創生」の危うさを指摘する意見が相次ぎ、少し驚きながら聞いていました。

 もともと地方振興には各自治体が取り組んでおり、それを創生させるなんていうことはおこがましいという意見、国が「地方創生」を叫び、地域振興や復旧・復興に寄せられた人々の関心を「上書更新」して忘れさせようとしている、などと辛らつに批判する声が相次いだのです。

 それらの意見を総合すると、地方自治体は「地方創生」に踊らされずに、これまでの取り組みにがっぷり四つに組んで取り組んでいくことが大切で、総合戦略も目新しいものを探すより、これまでの取り組みをぶれずに位置づけることが大切で、国の地方創生の中でそれぞれの地方にとって活かせる部分があれば、その部分だけつまみ食い的に利用すれば良い、という内容だったように思います。

 地方議会も、この視点から自治体の作る総合戦略を見ていけば良いと、視座を与えられたように思います。

 それにしても、各先生方からは「日本の民主主義は揺らいでいる」などの意見を拝聴することができました。こうした声を受けながら福島市議会議長が「国に物申す議会をめざしていきたい」と発言を結んだ、その心意気に大いに拍手を送りたいと思います。

 終了後、泊まりは穴原温泉の摺上亭大鳥。長時間浸かっていられる程度のぬるめのお湯、雨樋から落ちる雨の音を聞きながら浸かる露天風呂に身も心も休まる感じ。明日の講演もしっかり学ばなくては・・。


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