雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

海に‥‥

2012年07月17日 | ポエム
 海に‥‥

     1
僕はまた海に行かずにおれない
ほんとうにさみしい海と空の下に

僕の求めるすべては
大きな船と
そして船を進める一つの星です
舵をきる音と
風や白い帆がはためく歌です
海を漂う灰色の霧と
そして
静かな灰色の夜明けです


     2
僕はまた海に行かずにおれない
僕を呼ぶ流れる潮の叫びの
なんと荒々しく、はっきり聞こえてきて
僕はそれをことわることができないから‥‥

僕の求めるすべては
風の吹く日の
流れゆく白い雲です
飛び散る飛沫や砕ける泡
そして鳴き叫ぶカモメたちです


     3
僕はまた海に行かずにおれない
ひとりぼっちの放浪の旅に
カモメの道やクジラの道の
風はとがったナイフのようです

僕の求めるすべてのものは
流浪者が笑いながら話す
楽しい旅物語
そして長い夜の勤めを終えた後の
静かな眠りと楽しい夢と‥‥
(Sea Fever by John MASEFIELD/訳:1974~2012.7.17)

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