旅の夢
夢をよく見る。今朝はドイツを旅行している夢を見た。
夢の中で、古城を見下ろす美しい風景を写真に収めた。次の場面はケルンの駅前に立ち、ケルンの大聖堂を見上げていた。
ここ数日はなぜか旅の夢が続いている。出張旅行で国内のいろんな都市を訪ねているらしい夢もよく見る。
夢の世界は白黒だという話を聞いたことがあるが、私の場合は、夢の中で色を意識することがあり、天然色の夢を見ていることが多いようだ。今朝の夢の中でもドイツの古城の紅葉が美しいと思った。
旅は大好きである。それが仕事がらみの出張旅行であっても、列車や航空機を使っての移動や、旅館やホテルの宿泊、そして知らない町を訪ね、歩くことも楽しみである。そしてもちろん、食いしん坊の私は、土地の名物を食べることも旅の大きな大きな楽しみである。
しかし、残念ながら所帯を持って以来、そうそう行きたい所に行ける訳ではない。と、言うか出張旅行がほとんどで、私的な、それも自分自身のために旅行するということは、皆無である。特に海外へ行くことは、今のところ時間的にも金銭的にも考えられない。だから願望が強まり夢を見たのだろうか。
旅は非日常であることが大きな魅力だ。だから旅を出来ない私は、日常の中で、非日常を作り出す。
例えば、子ども達が小さい頃は、私が育った小部屋の多い家に住んでいた。一番広い6帖の座敷に押し入れから出した布団を並べて、家族4人並んで寝ていた。そしてときどき思いつきで、家の中で主のいない他のあちこちの小さな部屋に布団を敷いて寝ることがあった。同じ家の中でありながら、新鮮な非日常の気分を味わうことが出来た。さらに畳の上にテントを張り、キャンプ気分で寝たこともある。子ども達はそれだけで大興奮であった。
休みの日には、家族そろって朝早く近所の公園に出かけ、池のほとりで朝食をとったこともある。普通の朝ご飯が、そして見慣れた近所の公園が、違ったものに感じられるから不思議だ。
もう一つ、車で通う通勤路であるが、時間に余裕のある土曜日の帰りなどは、いつもと違う、通ったことの無い脇道にハンドルを切ることがある。初めて走る道は、ちょっとした旅気分を味わえる。
子ども達が小さい頃は、毎週のように休日は熊本県内のあちらこちらをドライブした。中でも大好きな阿蘇の方には、本当によく出かけた。そして、よく使う国道などを通るのに飽きて、何となくのカンと興味で、「こっちに行ってみようか」と、脇道に入ってしまうことがあった。今も私の車には装備していないが、カーナビなど無い時代の話である。
心配性の長女は、不安げに身を乗り出す様に、前方を注視する。
「お父さん、だいじょうぶ」
長女は無事に我が家に帰り着くか心配している。確かに、ときどき思わぬ方向に道が走って、迷ってしまうことや、すっかり遠回りになることもある。だが私の頭の中には、地図があって、こっちの方向に、どれ位走ったら、あの知っている道のあの辺りに出るはずなどと考え乍ら運転していて、そのカンは、ほとんど当たっている。
「どうかなあ」と、私はわざと娘の不安を煽る。
「お父さん、だいじょうぶ」
娘が何度か不安を口にすると、私は決まってこう答える。
「だいじょうぶ。海を渡らない限り、間違っても九州から出ないよ」と。
(2012.2.11)
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