雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

耳毛が伸びること

2012年02月13日 | ポエム


 耳毛が伸びること

 歳を重ねて来て現れる様々な老化現象のうち、顔に関わる変化は、他人が一見してすぐに分かる。
 頭髪に現れている明らかな変化を見て「ああ、この人も老けてきたなあ」と思うことがよくある。
 そして自ら変化に気がつくのが、鼻毛、眉毛、耳毛だ。
 まず頭髪に関しては、何回か触れたように、このところ前部中心の薄毛化が激しい。頭髪の老化現象として白髪化があるが、私の場合、白髪はモミアゲ部分に顕著に見られる他は、全体的に言えば、苦労が足りないせいか年齢の割には少ない。男性ホルモンと毛髪の関係をうろ覚えで聞いているが、若くて現れるのは、若ハゲか、若白髪で、若ハゲで若白髪の人はあまり知らない。小学生の頃、私は床屋のおじさんから禿げると太鼓判を押された。父が若ハゲだったから、遺伝プラス髪の毛の専門家による太鼓判で、小学生の頃から将来禿げる覚悟は出来ていた。「結婚した時は禿げていた」と母が証言する父を身近に見て来たせいか、私の場合、父のように若くして一見してのハゲとまでは進まず、数年前までは薄毛程度の進行だったので、よくぞ今まで保ててくれたと感謝している。
 次に鼻毛は、処理しても処理しても伸び方が早くなっている。さらに黒くたくましい鼻毛も増えてきているような気がする。鼻毛には肺などの呼吸器を守るフィルターの役割があるという説がある。でも伸び方が早まることと鼻毛の太さや黒さが変わって来たことは、空気の環境悪化よりむしろ年齢的な要因が大きいような気がする。何より私はつい5、6年前まではチェーンスモーカーだったのだ。私自身を取り巻く空気の環境は、はるかによくなっているはずである。空気の環境と鼻毛の数や長さに関する因果関係の医学的な証明も無いそうだ。
 それから眉毛には、顔の表情を作ったり、汗が目に垂れることを防ぐ目的があると思われるが、ここ数年、眉毛の中の数本が突如として成長をし、長く伸びてしまう傾向がある。これはあきらかに老人に見られる現象だそうである。長ーい眉毛の代表は、かの村山富市元首相である。それなりに歳をとってしまえば、好々爺の印象を持たれていいかもしれないが、まだ少しでも若く見られたい私奴には大敵なのだ。散髪のときに女性の美容師さんが気にして、サービスで長く伸びた眉毛をハサミで整えてくれる。
 耳毛にいたっては、その存在意味がよく分からない。身体の奥に向かう穴から、何物かの侵入を防いでいるのだろうか。それにしても、耳の穴の中というより、耳たぶに近い位置からひょろひょろと黒い毛が生えてくるのは何なのだろう。これらの耳毛は、他の毛に較べて、自ら鏡を見ながらハサミで処理することが難しい。私の場合、鼻毛や眉毛より最も早く変化が現れたのが耳毛だった。我が家の長男が私の耳毛に関しては、何が面白いのか使命感を持ってハサミで処理をしてくれる。たまにカミさんに処理を頼むと、ハサミで切るのではなく、ニンマリ笑って毛抜きで抜いてしまおうとするので、なるべく長男に依頼している。
 私は私の全身の毛、特に鼻毛眉毛耳毛に言いたい。無駄に生えたり伸びたり太くなったり黒くなったりしないで、そのエネルギーをすべて私の頭髪中心部に集中しなさい、と。眉唾の説だが、歳をとると性的なエネルギーをあまり使わなくなるので、余った男性ホルモンが鼻毛や眉毛や耳毛となっているそうである。そのエネルギーもあげちゃっていいから頭髪中心部にすべて注ぎなさい。
 実は、ここでもう一つ、耳毛に関する自説を発表したい。
 鼻毛が汚れた空気を濾過しているように、耳毛は、耳の穴を通ってその奥にある鼓膜を振動させる聞きたくない音を遮断しようとしているのではないか。私の耳毛の発毛、発育にはあきらかに左右差がある。右の耳の毛が多いのである。その自説を友人夫婦との食事の際に披露したら、ダンナの耳毛は、私と逆の左が著しく発毛発育するという。私は右、友人は左側に聞きたくない音が発生しているのかもしれない。我が家の食卓に座る家族の定位置からすると、私の右側には、長男とカミさんがいる。友人夫婦の場合は、ダンナの左が奥さんの定位置なのだ。
 これはやはり‥‥。
 ぜひ一度、検証してください。
(2012.2.14)

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