<株式日記と経済展望より転載>
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世界が今、注目する次世代原子炉がある。東芝が開発する「4S」と呼ばれる
超小型高速炉だ。燃料交換なしで10~30年間の連続運転が可能。
2013年10月5日 土曜日
◆安全を極める(1)超小型高速炉 「燃料交換30年不要」に注目 4月9日 産経新聞
トルコの首都アンカラから北へ約350キロ。黒海沿岸の港湾都市シノップで計画されている原子力発電所建設で、三菱重工業-仏アレバ連合の受注が確実になった。中国、韓国、カナダと受注を争った総事業費2兆円超の一大プロジェクト。建設する原発は4基で、1号機は平成35年までの稼働を目指す。
東京電力福島第1原発事故後、日本の原発への信頼は低下した。だが、「トルコに加え、リトアニアの原発建設も事実上受注しており、日本の原発技術は今も世界最高の水準」(電力関係者)にある。
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世界が今、注目する次世代原子炉がある。東芝が開発する「4S」と呼ばれる超小型高速炉だ。発電出力100万キロワット級が標準の既存原発に比べ、4Sは1万~5万キロワットと低いが、燃料交換なしで10~30年間の連続運転が可能。燃料交換が不要になれば原子炉を収納する容器の密閉性は向上し、放射性物質の封じ込めに効果が期待できる。
福島の事故では冷却水の枯渇で原子炉の燃料が冷やせず、建屋の一部が吹き飛んだ。4Sは「低出力なので熱出力も低く、非常時の冷却や安全制御の確実性が高い」と東芝電力システム社の尾崎章・原子力事業部技監は強調する。
関西電力が採用している加圧水型軽水炉など既存炉は、核燃料全体が連鎖反応して熱を出し続ける状態をつくり、そのコントロールは反応を抑える制御棒の出し入れで行う。
これに対し、4Sで燃料の反応をコントロールするのは「反射体」という鋼鉄の筒。その中心を燃料が通っており、筒に覆われた部分の燃料だけが燃え、覆われていない部分は反応しない。反射体を外せば、燃料は反応しなくなるため、非常時の冷却を確実に行うことができる。
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安全の追求とともに、使用済み燃料の処理が原発の重要課題だ。4Sでも使用済み燃料は発生するが、同炉を発案した元電力中央研究所理事の服部禎男氏は「既存炉の核燃料は3、4年で使用済みになるのに対し、4Sは30年近く使えるため、その時間を活用することができる」と話す。
4Sの導入が抜本解決につながるわけではないものの、時間的猶予をつくり出すだけでも有効な次世代炉だ。しかも、同じ設計で生産することが前提のため、「大量生産できれば、建設費用は一気に下がる」(関係者)という。
三菱重工も次世代炉の開発を急ぐ。最大のテーマは大きな事故の際に人間の操作を省くことだ。
燃料が高温になり、冷却水が蒸発などで無くなった場合、通常は反応を抑えるホウ酸水を流し込む。既存の原発はホウ酸水のプールを格納容器の外に設け、複雑な配管とポンプで中に引き込む設備が必要だった。
次世代炉は格納容器内にプールを取り込み、ポンプや配管を省略。「これによって人的な操作ミスは格段に減る」(加藤顕彦・安全高度化対策推進室長)
国内の不信感を払拭できない一方、日本の原発に対する海外の評価は揺らいでいない。「安全向上に終わりはない」。電力会社、原発プラントメーカーの技術者の決意は3・11の前も後も変わらない。
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政府の原子力規制委員会が月内にも公表し、7月に法制化する原発の新規制基準案は、安全確保を過度に重視し、「再稼働させないことを狙ったような必要以上に厳しい内容」との批判がある。日本の原発はそれほど危険なのか。現実的な視点で「安全」を極めようとする最前線を取材した。
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【用語解説】4S
東芝が電力中央研究所と共同開発している高速ナトリウム炉で、発電出力1万~5万キロワット。炉心の直径0・68メートル、高さ2メートルとコンパクトで、理論上は燃料交換なしで30年間使用できる(1万キロワットタイプ)。熱出力が低く制御しやすいほか、船舶で輸送して設置できるのが特徴。
(私のコメント)
「株式日記」は原発に関しては条件付き賛成派であり、現在の軽水炉型の原発は、まだ新しいのは稼働させて古いものは廃炉にしていくべきだろう。しかし残された核燃料棒などの問題があり、これらを活用して新型原子炉に使っていくべきだろう。そうしなければ格納する場所にも困るからだ。
新型原子炉にもいろいろありますが、一番実用レベルに達しているのは高温ガス炉ですが、産経新聞に記事になっている原子炉は「東芝が開発する「4S」と呼ばれる超小型高速炉だ。発電出力100万キロワット級が標準の既存原発に比べ、4Sは1万~5万キロワットと低いが、燃料交換なしで10~30年間の連続運転が可能。燃料交換が不要になれば原子炉を収納する容器の密閉性は向上し、放射性物質の封じ込めに効果が期待できる。」という事です。
軽水炉型の原発は、火力発電所をそのまま核分裂で沸騰させるタイプであり、火力と違って事故が起きた場合の対応が難しいのは福島で経験したとおりだ。高温ガス炉や4S炉なら事故が起きても自然消化ができて爆発事故を起こすことがない。高温ガス炉や4S炉は非常に小さくて冷却も水を使わないので地下深くにでも出来る。
現在ある軽水炉は、核燃料棒の取り扱いが厄介であり、炉が停止していても常に冷やし続ける必要があり大量の水を必要とする。取り出した燃料棒の保管場所もなく、最初から問題があった。私自身は原子力発電の専門家ではないが、50年も前の技術の軽水炉型原発を使い続ける事の方がおかしい。
最近では、ようやく原子力発電は民間会社では無理だという意見が多くなりましたが、民間では利益優先で安全は後回しにされてしまう。「もんじゅ」なども古い発想であり技術的な目途すら立っていないのに計画は続行されていますが、それだけの金があれば新型炉の開発に向けたほうがいいだろう。
当面の課題は福島の原発の廃炉作業であり、全国の原子力発電所もいずれは全部廃炉にしなければなりません。しかし廃炉解体する技術もなく何十年かかるかわからぬ状況であり、軽水炉型原子力発電は明らかに欠陥があった。日本政府は軽水炉を世界に輸出する計画を立てているようですが狂気の沙汰だ。
4S炉は非常に小型であり、自動車のように完成した形で船で運ぶことができる。だから国内で製造して海外に輸出して、廃炉になったら日本に持ち帰って解体ができる。現在の軽水炉は非常の大型であり構造も複雑で運転操作も難しい。だから新興国などに輸出しても誤操作などで事故になる危険性がある。
日本人は、戦前と戦後ではがらりと変わってしまったように、軍国主義から平和主義へと極端から極端に走る。エネルギー政策でも原発推進か反原発かで180度意見が違いますが、正解は0%と100%の中間にある。防衛政策でも軍拡と軍隊廃止と極端にぶれましたが、日本は防衛に徹していれば朝鮮半島に進出する必要はなかった。
エネルギー政策にしても防衛政策にしても国家戦略の根幹ですが、原子力が一つのカギになる。核兵器の拡散は防ぎようも無くなってきており、北朝鮮の核開発を中国もアメリカも止められなかった。だから日本もいずれは核兵器の開発が避けられなくなり、中国と対峙することがアメリカから求められるだろう。相手国の核攻撃を防ぐにはこちらも核兵器で反撃能力がなければなりません。
原子力潜水艦なども超小型原子炉が出来れば搭載されて30年間燃料補給なしで航行ができる潜水艦ができるだろう。原子力船の「むつ」は失敗に終わりましたが、4S炉を転用すれば船の原動力にもなるだろう。