なくしものがみつかる神社

僕は出雲大社のご祈祷を受けなかった。

1つの願いに5,000円というお金を出せなかった。
交通費と宿泊費で精一杯。

後は自分のお願いではなく
僕の周りの人たちへのお祈りをした。

お賽銭程度はさせてもらった。

それだけでいい。

神在月に大集合している神々に少しすれ違うだけで十分なのだ。

そーいう意味で最高な旅になる。

ただひとつだけ

僕は出雲大社に行く前
手帳が無くなった。

結構ショックで
2016年の1月1日から毎日、ほぼ毎日
書き込んで、色々なことを自由に。

少しずつ少しずつ
出来上がった僕の歴史絵巻を失った時は
顔面蒼白になったものだ。

「なくしものがみつかる神社」

それを出雲大社の近くに見つけた。

出雲大社のご祈祷を受けていた友人に
この旅唯一、自己主張して
僕が行きたい神社へ

歩いて15分くらい

そして探しに行く。

見つける。

地元のお母さんに聞いてやっと見つけた。
しかも、めちゃ小さな祠(ほこら)

「不思議と見つかるのよねぇ」

そう言って畑仕事に消えていったお母さんがやけに意味ありげにみえた。



そして見つけたことを
「聞かなわからんなぁ」
とか言いながら
「信じることちゃいますか」
となんとなくイイ気持ちになって帰った。

そして出雲の旅は終わり

ふと手帳のことが浮かんだ。
見つかるのかなぁ

駐車場で車の運転席の足元にものを落とした。
そして何気なく椅子の下を見ると

んっ！？

んんっ？

まさか？

革の端っこが見えた。

そして手を伸ばしてシートの下をまさぐる。

そして身震いした。

手帳っ

なくしていた手帳

見つかった。

呆気なく見つかった。

お祈りして数日

その効果たるや恐ろしい。

あのお母さん

「不思議と見つかるのよ」

その言葉が脳裏に焼きつく。