山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

ワラビの花園

2023年06月10日 | 山菜採り

 今年の天候を考えると、既に海抜高度の高い湯殿山での月山筍採りに出かけても、それなりに収穫できそうな気がするのだが、その前にやっておきたいことがある。それが、毎年恒例の『広場』でのワラビ採りだ。

 ぶっちゃけ、ワラビはどこに行っても採れるのだが、ここのワラビは別格なのだ。それが欲しくて仕方がない。

 明日は夜勤だから朝仕事なら採りに出かけても問題ない。ただ、この場所の発見者であるA氏には、断りを入れておく必要があるだろう。電話をかけてみる。

「ああ、前回行ったとき出始めていた所が多かったから、明日行けば、かなり良いと思うよ。」

とのこと。で、朝仕事という前提なのだが同行することになった。心強い限りだ。

 そして翌日。

 1年中で一番日の出の早い時期になったので、山の夜明けも早い。午前4時には行動開始できそうな感じだ。

 実際には4時半頃に行動を開始したのだが、それでも、一頃よりは、遥かに早い。つまり、時間の余裕も遥かに大きいということだ。

 谷下に広がる『広場』(マタギはここを『ワラビの花園』とも呼んでいる)に降り立つと、これは素晴らしい!

       超高品質のワラビが

       食べ頃に育って

       前後左右に

 まるで、ワラビに包囲されている感じ。

 しかも、太いから10本も採ると持ちきれなくなります。更に、

「折り取ると、途中からまた折れてしまうね。」

これは、長すぎて柔らかすぎることの証明。

 あっという間にハケゴが満杯になって、リュックに詰め替えます。そして、

       嬉しいおまけも

       顔を出していました

 オオナルコユリとシオデです。こちらは、数は少ないけれど、やっぱり高品質です。いただきます。

 さて、1時間の作業でハケゴも2回満杯になってしまいました。まるで観光ワラビ園みたいに高密度なんですね。ワラビ園との違いは、多分、品質。やっぱり、『藪ワラビ』なので、太い・長い・柔らかいの3拍子が揃っています。

「土質がいいのかねえ。」

「そういうのもあるかもしれないね。」

などと話しますが、もう一つ大事なのが、『再発生したワラビには手を出さない』ということだと思う。ワラビの場合、採ってしばらくすると新たな芽を伸ばすんだけど、それをも採ってしまうと、徐々に株が細くなっていくのだ。

 その辺の配慮をきっちりとやっているから、こうして毎年、素晴らしいワラビを戴けるのだと思う。

「もう、満足だ。」

「じゃあ、戻るか。」

「うん。ありがと様。」

       早くも朝日が差し始めた踏み跡を辿る

       タニウツギが盛りを迎えようとしていました

 

       湯殿山も見える

 来週からは、そちらでお世話になることになるでしょう。よろしくお願いします。

 そして、Y川の山の神様、本日はありがとうございました。

 お陰様で、充実した朝仕事になりました。


雨だから焼売

2023年06月09日 | 日記とレシピ

 本日は休み。S川での山菜採りも一段落し、採り場も高度を上げて広がり始める時期です。だけど、先日来降り続いた雨で、県内の河川は増水しているはず。こういう日は、決して無理しません。自宅待機です。

 じゃあ、どうやって過ごすかっていうと、以前読んで面白かった本を再読するとか、自分の日記を読み返し、添削して、少しはましな文章にするとかでしょうか。

 でも、これで24時間過ごすのって、非常に退屈ですよね。なにやら、妻が

「ガスコンロがアラームを出して、点滅するようになったの。」

と言うから、出ているエラーコードに対応しそうな処置をしてみたら、あっさり収まってしまった。

 続いて、風呂のシャワーを使おうとしたら、水の出口の脇から溢れ出てくる。本体が劣化してひびが入ってますね。ちょっと触ったらポキンと折れてしまいました。はい、交換しましょう。ホームセンターで部品を買ってきて、修理完了。

 こういう突発的な事故処理も面白いです。でも、今回は、意外とあっさり片付いてしまった。さて、何か、有意義で時間のかかる楽しみはないかな。

 ・・・結局、辿り着くのは、クッキングですかね。

 普段手を出せない程手間がかかるけど、美味しい料理がいいなあ。考え始める。

 家にある食材で、早めに消費してしまいたいのが、タケノコとタマネギです。これを使って手の込んだ料理というと、

   ポクポクポクポク チ~ン

     ≪タケノコその他の焼売≫

 この冬、サンタさんからのプレゼントで届いたパスタマシンを使って焼売の皮を作りましょう!そこに、旬の食材を加えたら美味しいこと間違いなし! はい、それでは行ってみます。

 下ごしらえ・調理の部

 この料理の場合、一番の山場は、生地作りになるはずなので、先に餡とトッピングの方を準備しておきます。

 ・合挽肉(300g)を解凍して、タマネギ1個をみじん切りに

 ・合流させたら、片栗粉50mlを混ぜて

 ・砂糖大さじ3、オイスターソース大さじ2、摺り下ろししょうが小さじ1、鶏がらスープの素小さじ1強を加えてよく混ぜます

 ・ゴムベラで混ぜると、ほぼ手濡らさずでまとまります

 続いて、トッピングですけど、焼売と言ったらグリーンピースなのに、我が家では不人気。代わりに使おうと考えたのが、

       タケノコです

これに、ニンジンとかコーンとか、違う色の食材を並べたら、さぞカラフルになることでしょう。更に、カニカマも加わって、最強のトッピングが準備完了です(ニンジンは甘く煮ておきました)。

 そうして、最大の難関、生地作りです。

 なぜ難関かというと、焼売の生地って、私の知る中華生地の中で最も薄く仕上げる必要があるんです。そうしないと、ゴワゴワし過ぎて美味しくない。だから、気合と細心の注意を込めて薄く仕上げようとするんだけどうまくいかないんですね。

 ここで、パスタマシンの出番となるわけです。これを使うと、マタギの腕では作れないような薄皮の生地が出来てしまうのです。

 ・強力粉、薄力粉、ぬるま湯各100g(多すぎた)を混ぜてまとめていきます

 ・ここまでまとまったらラップで包んで30分寝かせます

 ・強力粉の打ち粉を敷いて、全体の1/4程を伸ばしてみましょう

 ・パスタマシンで徐々に薄くしていきます

 ・知る人ぞ知る工作マットで幅を揃えたら

 ・餡を包んで、底を平らにして、キッチンペーパーに並べていきます

 ・お好みのトッピングをして、蒸し器に入れたら、強火1分、弱火9分

        出来ましたよ!

       お好みで練り辛子を付けて

 戴きます! 

 みんな、喜んで食べていました。餡に下味が付いているので、醤油は使いませんでした。

       これを3回繰り返したら、餡がほぼなくなりました

 でも、生地は半分残っています。つまり、もう3回作れるということ。何やら、冷凍すれば、かなりの長期にわたって保存できるらしいから、今回は、そうしましょう。

 それにしても、恐るべきはパスタマシン

 マタギの腕では、とてもできないような薄皮が出来ちゃうものだから、数もたくさん作れてしまうんですね。

 毎度のことながら、山の神様、そして、パスタマシン様、ありがとうございました。改めまして、ご馳走様でした。

 雨の日のつれづれに、手間のかかる美味しい料理。自分にとっても家族にとってもいい時間になりました。返す返すもありがたいものです。


材料と遺恨は残さぬように

2023年06月08日 | 日記とレシピ

 そう言えば、生クリームを開封したままだ。

 気づいたのが、山菜の後始末でてんやわんやしているとき。

 前回、ヨーグルトムースを作った時に半分しか使っていなかったから、残り100mlある。

 どうするかって?これは、決まっています。前回のムースが思った通りの固さに仕上がらなかったのだから、改善を試みたいのです。

 残ってしまった材料と、残っている遺恨とを同時に処分してしまうときが、今なのだ。と言っても、山菜の下処理には、半端でなく時間がかかる。しかも、もう一つの材料があったことに気づいてしまったんですよ。その名も、バゲット。前回は、それなりに美味しくできたんですけど、途中で生地が固まらなくて苦労したんです。その辺を改善できないかと、再チャレンジしたのが3日前。

 ここでは、詳しいレシピは書きませんが、強力粉200gに対して、水130gだったのを、110gに変えたら、うまくまとまったんですよ。それで満足してしまって、食べるのを忘れてしまっていました(来客には一部を振舞ったけど)。

 こっちが先かな。何てったって、もうランチタイムが近い。

 作るのは、バゲットに乗せる ≪アボカドと鯖缶のディップ≫

これを作って、みんなでランチタイムを楽しみましょう。melontyさんのレシピを参考にさせてもらいました。

 下ごしらえ・調理の部

       材料準備(アボカドは、熟し気味の方がいいみたい)

 ・アボカドの皮を剥いて、粗いみじん切りに

 ・軽く塩コショウしたらレモン数滴をたらして、ポン酢15gを入れて

 ・スプーンで潰しながら混ぜたら

 ・タマネギのみじん切り大さじ1と

 ・鯖缶の半分とマヨネーズ大さじ3ほどを加えて

 ※melontyさんのレシピではツナ缶だったけど、なかったのでサバの味噌煮です

 ・よく混ぜたら出来上がり

       今回は、バゲットを薄造りにして(柳刃使用)

       ディップを乗せて戴きました

 これ、すごく美味しいです。そもそもは洋風の料理なんだけど、ポン酢とサバの味噌煮が入ったことで、和のテイストが加わり、非常になじみ深い味になった感じ。今回は、フランスパンを薄造りにしたことも食べやすさにつながったようです。

 3人分のランチに使ったんだけど、バゲットは完売。残ったディップは、melontyさんが勧めるように後ほどご飯に乗せて食べてみたら、これまた超美味しかったです。ありがとうございました。

 さて、長くなってしまったんだけど、もう少しだけ。

 ≪豆腐ヨーグルトムース≫

も作ったんですが、ごく簡単に。

 ・ヨーグルトが100gしかなかったので木綿豆腐(130g)を加えて混ぜました

 ※このピンク色は、かき氷で使うイチゴシロップです

 ・生クリーム100mlにグラニュー糖30gを混ぜて

 ・豆腐ヨーグルトと合流させたら、湯煎した粉ゼラチン6g分(前回の倍)も入れて器 ⇒ 冷蔵庫へ

 そして、1時間後、

       これよこれ!これを作りたかったんだよ

 今回は、ブルーベリーソースをかけて戴きました。

 誰も豆腐が入っていることに気づかず、喜んで食べていました。

 これで、残してしまった材料も、引っかかっていた料理への遺恨も、全て解消です。

 ああ~、スッキリした! そして、

 ご馳走様でした!


名残りのウド料理

2023年06月07日 | 山菜料理

 多分、今回がS川山菜採りの最終回。ミズの収穫は、まだまだこれから始まり続くはずだから、完全に終わりというわけではないけれど、タケノコとウドについては、最後の収穫と言ってよいだろう。加えて、コゴミにコシアブラ、タラノメにも、大変お世話になりました。

 そうして、

       本日のタケノコは

 伸び加減のものが多いけれど、美しい。

       全て茹でてしまいましょう

 

       大方を冷蔵庫で保存

       本日は、こちらを戴きます

 更に、ウドですけど、

       意外とたくさん採れました

 普通はそんなに採らないんだけど、品質が良かったことと、『今年最後』という思いがあったので、こうなったんです。

 これを食べ切るのは難しいので、使い道によって4種類に分けてみました。まずは、

       ドンコロ煮用のウド

 さっと、顛末を。

       あまりにも麗しい『白根』は、カルパッチョ用に外し

 ・500g程を切り分けて

 ・身欠きにしん2枚(結局、また買ってきた)とジャガイモ2個も食べやすく切って

 ・酒醤油みりん各50gに、砂糖20g、顆粒出汁で味付けします

 ・鍋がひたひたになるように水を足して加熱

 ・沸騰後、落し蓋で弱火20分

 ・蓋を外したら、ちょっと火を強めて煮詰め

       出来上がり

 これで、暫くは、ドンコロ煮を楽しめます。

 カルパッチョは、オリーブ油20,りんご酢15,レモン汁5と醤油10(g)で、ウドの白身を浸して、

 ・生ハムの上に乗せて

 ・生ハムを巻いて食べました

 普通のウドの刺し身とは、別物だけど、かなり旨いっス。

 明日、味噌をつけて刺身の予定だったんだけど、このソースと食べ比べてもいいかも。

 そして、ウド好きなYちゃんにあげる分を抜いたら、残りは、塩漬けにしましょう。

       前回までの分にウドを重ねて敷いて

       たっぷりと塩をまぶしたら重しをして明日まで待ちます

 水が上がってくるのを待とうと思います。

 そして、

       本日の夕食です

 このうち、タケノコご飯とみそ汁、しぐれ煮とウドのドンコロ煮にカルパッチョが、山菜料理。

 ちょっと地味に見えますが、どれも非常に美味しかったです。

 こうして山の幸を美味しく戴けることに感謝。

 返す返すも、S川の山の神様、今年もありがとうございました。


ありがとう、S川!

2023年06月06日 | 山菜採り

 「久しぶりに奥の二股、行ってみっだいやあ。」

確かに、S川上流の奥の二股は魅力的な山菜採り場だ。しかし、前回のパラダイスほどの感動を味わうことは難しいだろう。むしろ、心配なのが熊。

 「前によう、T氏と山菜採りに山に入ったのよ。」

 このエピソードは、M氏にも話しておいた方が良いだろう。

「俺の足元の竹林でガサガサやってるもんだから、「何が出ったかあ?」って声掛けたらよ、「なんだあ?」って頭の上から返事が返ってきてよ。ビックリして下の林見たら、黒い塊が猛スピードで山の奥に逃げてったのよ。」

黙って話を聞くM氏。

「そんで竹林に入ってみたら、タケノコ食い散らかした跡が残ってたんだ。熊もタケノコ好きみだいだがらな。あん時、声出さねがったらと思うとゾッとする。んだがら、鈴の音は絶やしちゃダメなんだ。向こうだって人間のこと怖いんだから。とにかく、出会い頭でパニックにさせないことな。」

「そうか。気を付けねんねな。」

これから行く二股は、それくらいの場所だということを意識してもらえたようだ。なんてったって、2年間、多分人が誰も入っていなくて、近くに熊がいることが明らかな場所なのだから。下手をすると、山菜じゃなくて熊のパラダイスだ。

「・・・あそこで熊にあったら、逃げ場ないな。」

M氏も、考え込んでいる。これは、山遊びをする仲間として、いいことだろう。とにかく、慎重であるに越したことはない。

 さて、それはそれとして、今回でS川探訪(春の部)が最終回となるだろう。なんだかんだ言っても、本命のタケノコのピークは間違いなく過ぎているのだろうから。

 しかし、この採り場の懐は、底なしに深い。我々山仲間が、『山菜のデパート』と呼ぶこの山域では、絶対に満足のいく収穫ができるのだ。さあ、今日の目玉商品は、なんでしょうか?

 例によって渓底に降りると、

       ムシカリかな?

真っ白い装飾花が森のあちこちに目立つようになってきた。

       ホウの花も見ごろかも

 されど、

       雪渓は、まだまだ健在

 谷底の北東向き斜面は、まだまだ冬、もしくは早春です。だから、雪が消えたところから、

       新しい春が始まっています

 そんでですね、『法華の太鼓』とでも言えばいいのでしょうか。ウドが遅くに出てくる場所は、落雪の溜まったあと。ここには、当然、崖の上から落ちた土砂も積もります。すると、

       白根ウドになります

 だから、この時期は、非常に上等なウドの季節になるんです。

 画像で分かるかな? 白い = 日に当てっていない ということなんです。この先端、もしくは『ウドガラ』(去年のウドの茎)を見つけて、掘り始めると、

       おおおっ、出てきた出てきた

 これが、ウド掘りの最大の楽しみと言っても過言ではないと思います。

       土に埋もれていたものだから、洗うと

真っ白な姿に。これをハケゴやリュックに入れて、今夜の晩酌を想像しながら先に進むのです。

 続いて、タケノコ林へ。

       コゴミのジャングルを行く

       だいぶ伸びてしまいました

       ちょうどいいものもあるけど

やはりピークは過ぎたようですね。

 一応、付け足しておくと、かなり伸びても、上の方は柔らかいので十分に美味しく食べられます。我々は、商売人ではないので、その辺にはこだわりません。

 ウドとタケノコとで、ズッシリ重たくなりました。

「どうする?二股まで行く?」

「いいびゃあ。これだけ採れたんだから。」

「んじゃ、戻るか。」

「あいよ!」

まあ、無難な選択でしょうか(熊の話が効いたかな?)。十分満足できたんだからね。

帰り道、

       池の上にモリアオガエルの卵

 この池でモリアオガエルの産卵が始まれば、春も終わりです。この森でも、春が過ぎ、初夏を迎えようとしているようですね。

 S川の山の神様、今年も、たくさんの恵みをありがとうございました。

 願わくば、この豊かな自然が末永く保たれますように。