山形のホリデイマタギ日記

山菜とキノコと魚を採って遊ぶ年寄りの冷や水日記

王様のコラボ、タケノコワラビ丼

2023年06月15日 | 山菜料理

 今回のタケノコは、滅多にない高品質。そうして、その3日前に採ってきたワラビも、稀有なる高品質なんです。これだけの素材が揃うことって、めったにないことです。

 なんとか、この2つの素材の旨さを楽しめる料理ができないかと考えてみました。

 多分、一番簡単なのが、汁物です。みそ汁の具材にしたり、蕎麦のつゆに入れたりすれば、かなり美味しく戴けるんじゃないかな。

 だったら、これもありじゃないかい? 思いついた料理が、≪山菜丼≫

 トロッとした汁(中華丼のイメージです)に、それぞれの山菜の旨さを閉じ込めて、ご飯と一緒に戴く。きっと美味しいに違いありません。さっそく作ってみましょう。

 下ごしらえ・調理の部

 ワラビのアク抜きも、タケノコの下茹でも済んでいるので、速攻で取り掛かることが出来ました。

       ワラビ200gほどを使いましょう

 ・寸切りにしてみましたが、結構柔らかいので、加熱に関しては要注意かな

 ・豚コマ(220g)には摺り下ろしショウガと酒と塩コショウで下味

 ・タケノコは、これだけでも

       意外とたっぷりあります

 ・薄切りにしました

 ・脇を固めるタマネギ1本,ニンジン1本(それぞれ小ぶりのもの)

 ・サラダ油を敷いた中華鍋でショウガひとかけを炒め、肉も炒めます

 ・タマネギとニンジンも加えて

 ・油がまわったら

 ・タケノコ、最後にワラビを入れて

 ・調味料を投入(酒醤油オイスターソース各大さじ1、砂糖小さじ2、水2カップ)

 ・蓋をして一度煮込んだら、一旦消火

 ・盛り付けの直前に水溶き片栗粉(大匙2ずつ)

 ・沸騰させ、とろみが出たらごま油を回しかけて

       出来ましたよお!

       そのまま食べても

       ご飯に乗せても

 とても美味しいです。

 この料理画像は、朝食のものです。考えてみると、朝食にしては、かなり贅沢な料理なんですが、本日は夜勤なのでこうなってしまいました。この山菜たちも、冷蔵庫で保存しているので、そんなに長くもつとは思えません。山の恵みを、美味しいうちに戴く。これって、鉄則ですよね。おかげさまで、それぞれの山菜の旨さをたっぷり味わうことが出来ました。

 何はともあれ、本日も、ご馳走様でした。これで夜勤も頑張れそうです。

 Y川とN沢の山の神様、ありがとうございました。


今宵はご褒美タケノコ尽くし

2023年06月14日 | 山菜料理

本日、山の神様からの戴き物。

       全部で5㎏だけ(今日の山の様子だと仕方ないでしょう)

されど、

       貫禄!

 こういうタケノコは、N沢でないと採れません。

 「これって、ササダケなの?」

という妻の発言に、ほくそ笑むマタギ。

 さて、どうやって戴くか。

       本日の夕食の分

主に右側がタケノコご飯と汁、左側を天ぷらに使います。

タケノコ汁は、短めのものをそのまま使って、タケノコご飯用には、長めの物を薄切り中心にしてみました。

       こんな感じ

 米4合に対して、タケノコ300g、鶏もも肉250gと油揚げを2枚使いました。で、

       この特に短いものは

 天ぷらにしてみようかな。

 ・皮を剥いて、根元の汚れを落としたら、水気を拭きとって

 ・薄力粉をまぶします

 

 ・いつもの衣(卵黄+冷水=200gに、薄力粉200mlと片栗粉50mlをあっさり混ぜたもの)に潜らせて

 ・170度の揚げ油に入れると

       いい感じに揚がりました

「タケノコご飯にタケノコ汁があったら、もう何もいらないわ。」

という妻の声は、ごもっとも。それだけで十二分に美味しいもんね。

 でもね、本日は、一年間の山遊びのうちで最も厳しい修行を終えて、無事に帰還することが出来た、めでたい日なのだよ。だからお祝いです。

       タケノコの天ぷらに焼きタケノコも加わって

タケノコ尽くしで参りましょう!

 正直な心境を言うと、今年も無事にN沢を登りつめることが出来て嬉しくて仕方がないのですよ。『今年も』というところがポイントです。これは、『今年の自分でもまだいける!』ということ。

 やっぱりお祝いですよ。N沢に、そして、自分自身に乾杯!


月山筍採りは山伏修行

2023年06月13日 | 山菜採り

 S川での山菜採りに一区切りがつき、Y川のワラビも本格的に出始めた。こうなると、長かった春の山菜採りもフィナーレが迫っていることを実感させられる。

 Y川の山菜採り場は、海抜5~600m。普通の年だと、次が700m台のH沢なのだが、諸般の事情により今年はお休み。年によっては、山の養生も必要なんです。

 さて、そうなると次に目指すのは、ラスボスN沢ということになります。

 何をもってラスボスと言うかって、そんなの決まってます。全てにおいてラスボスなんです。

 例年、A氏と同行することの多いN沢なのだが、今年の第一回は日程が合わず単独行となった。

 N沢は、山伏修行の地、湯殿山の山域にあって、好き勝手に入ることは許されない、入山料を払うタイプの公共の山菜採り場だ。山の入り口に関所があり、そこで入林採取券なるものを受け取り、山に入ることを許される。真夜中でも番人のお方が待っているので車を止める。

「今日は、どうですか?」

「全然入ってないのお。タケノコ採り放題だ!」

「それはいいっスね。ありがとうございます。」

「気いつけてのお。」

「はい。」

そこから林道を2kmあまり進んで車止めへ。

       ずらっと並ぶ車

数えてみると12台並んでいる。それでも、管理人のおっちゃんにとってみれば、本日の車の数は『全然』多くないのだろう(多い日には百台を越えるらしい)。

 まだ、午前3時前だ。ヘッドランプを付け、身支度を整えて山道に入る。

       牛休め

 約30分後、最初の給水所になる『牛休め』に着く。ペースとしては、今の自分の身の丈に合った、ちょうどいい塩梅だろう。

 ここから15分ほど歩くとS沢渡渉点に着く。

       雪渓の渡渉点

ここから対岸に渡ると、最初の急坂が待ち構えている。「マイペース、マイペース。」と自分に言い聞かせながら、登りきる。

 ここから沢に入るか山に入るかで違ってくるのだが、今回は、沢に入る予定だから急坂は暫くないのでほっとする。

       第2の給水所、『小屋跡』に着く

 ここまで1時間ほど。無理なくいいペースだと思う。

 渓に降りて上流を目指す。

       沢よりもスノーブリッジの方が多くなってくる

 早朝なので、崩れることは、まずないが、それでも、雪の薄い場所には近づかない。踏み抜いてしまったら取り返しのつかないことになる。

       ショウジョウバカマに癒される

 午前5時前、目的の竹林に着いた。

 ここから悪戦苦闘が始まるのですが、写真を撮る余裕がほとんどありませんでした。

       かろうじて残っている画像

 竹藪の斜面をひたすら上って、タケノコ畑に出逢えるまでに体力を使い果たした感じ。具体的に言うと、去年の採り場の標高までは、何も出ていなくて、そこから更に数十m上ると、ようやく生えていたんです。で、竹藪をかき分けて進む山登りは超くたびれるんですよ。例えば、自分の横2mの場所にタケノコを見つけても、竹の枝に邪魔されて手が届かない。さすがはラスボス。たかが山菜採りなのに、こんな苦労を強いられるとは。ただし、

       今回連れ帰った宝物たち 美しいでしょ!

       谷底にも朝日が差し始めました

収穫量は多くないけど、この斜面に今年も辿り着いて、美しい景色とタケノコに出逢えただけで満足です。帰りましょう。

       途中ですれ違ったグループ これから登るとのこと

「おはようございます。」

「早いなあ。もう帰んのか。」

「歳だから、無理しません。」

「それでも採れたんならいいべ。」

「そうですね。お気をつけて。」

       咲き始めのミズバショウ湿原

       標高を下げるにしたがって出会える花たち

       S川ではとっくに散ってしまったムラサキヤシオが花盛り

思い起こしてみると、今年ショウジョウバカマに出逢った最初は4月の初め。それから2か月過ぎて、また出会えるってすごいことだよね。山形には、長い時間をかけて春の喜びが訪れてくれるってことだ。

 こうして、季節の喜びを何度も味わえること、そうして、それが、まだできる自分であることに感謝しながら山を下る。

       今年もこの景色を見られることに感謝

 この山での山菜採りは、自分自身に課せる修行みたいなものですね。こうして、自分の体力の現在地を確かめながら遊ぶ。これからも続けていきたい修行です。

 ラスボスN沢の山の神様、本日はありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。


こわい おに(さんぽうた190)

2023年06月12日 | いきもの

  こわい おに   にほんざる ははこ

 

ねえ、なにかきたよ

 

ああ

あれは おにだよ

 

なんだか こわい

 

しんぱい いらない

おにはね

いっぴきだけなら

やさしい いきものさ

 

そうなの?

 

でもね

あつまると とんでもない わるさをする

この ちきゅうさえ

だめにしちゃうかもしれない

 

こわいよ

 

ああ、こわいね

だから わたしたちも

そうならないように

いきていこうね

 

 

       『シスレーの小径』を歩いていたら

 誰かいます。

       逃げ出す者もいるけど

動こうとしない者もいます。

 おや?

       よく見ると、お腹に何かくっついています

       背中に乗ってみたり

 降りたりしています。

 マタギが近づいていくと、

       のんびりと

山の中に入っていきました。

 その時、聞こえてきたのが、この会話です。

 そうかもしれないなあ。

 何も考えずに世の中の流れに乗ってしまっているうちに、他の生き物たちに迷惑をかけてしまっている。それどころか、自分自身の首さえも絞めつつある。

 本当の鬼になるなよ。

 そんなことを言われたような気がしたひと時でした。


ワラビ料理の匙加減

2023年06月11日 | 山菜料理

 本日いただいてきた山の恵み。

       高品質ワラビです(後ろの割り箸と比べてみて)

       シオデとオオナルコユリちょっとだけ

 こちらの二つは、『女王』と呼ばれる気品と、甘い味わいを備えた山菜。かなり太いんだけど、相応に茹でれば美味しく戴くことが出来ます(今回は5分間茹でて美味しく戴きました)。

 問題は、ワラビの方。

 これまで、いろいろな山菜を紹介してきましたけど、このお方も『王様』の一つと言って間違いないでしょう。だって、美味しいんだもの。

 しかしですね、こちらの料理も奥が深いんですよ。実際、マタギは、ここ数年、かなり苦戦を強いられています。その一番が、≪アク抜き≫

 そんなの簡単じゃんと、思うかもしれないけど、この『ワラビの花園』から採るようになってから、苦戦続きなんですよ。

 具体的に言うと、

 1,他の地区のワラビと同じ割合で重曹を入れると、アクが抜けずに苦みが残る

 2,苦みを消したくて重曹を多くすると、ワラビが崩れて溶けてしまう

 3,それならと、重曹を少なめにして加熱時間を少し長くしてみても、苦みは抜けず本体は溶けてしまう

どうしたらいいんじゃ!

という状況が続いているんです。

 まあ、一言で言えば、暗中模索中なんですね。この現実、見方を変えれば、せっかくのお宝なのに、上手に調理し切れない、豚に真珠状態ということもできます。

 この暗中さん豚さん状態から脱出したいわけなんですよ。

 で、今回は、

 ・ワラビを熱湯に入れた後、高温になるための再沸騰には、あまりこだわらないこと

 ・代わりに、そもそものお湯の量をたっぷりにして、冷めるのを遅らせること

 ・重曹は、ワラビ2kgに対して大さじ1と多めにしてみること

この3つを決めて調理してみることにしてみます。

 ・たっぷりのお湯にワラビを浸して重曹を回しかけたら、裏返して

 ・裏返したら、完全に再沸騰する前に蓋をしてベンチタイムに入ることにしました

 翌朝、蓋を開けてみると、これまでになく真っ黒な煮汁。これは、たっぷりのアクが出た証拠だと思います。

       2回ほど水を替えてみたけど

崩れてきません。

 ちょっと試食用に、

       普通のおひたしと

       一本漬けに

 試食してみると、美味しいじゃないの!

 ここが、すごく難しかったんだけど、改めて振り返ってみると、次のようにまとまりそうです。

 ワラビが極めて太いものだからアク抜きのためには、重曹を多めにする。

 一方で、すごく柔らかいものだから、ワラビを入れたらグツグツ煮立てない

 更に、アク抜きのために十分な時間をかけて温度が下がるのを待つためには、お湯の量も多くすること。

 この辺が、今回のアク抜きで学んだ点です。

 もう一つの学習。

 ≪ワラビの一本漬け≫は、出汁醤油の味や南蛮の辛味を染み込ませて食べる料理だから、こういう太いワラビ(水分が多い)の場合、もしかしたら濃い目のつゆが合うのかもと考えて、出汁醤油を薄めずに原液のまま使ってみたんです。

 そして夕方、仕事から帰ると、一本漬けがほとんど残っていません。どうしたのか聞いたら、

「だって、美味しかったんだもの。」

だそうです。

 これは、大成功ですね。夕食の分を追加で作りましょう!

       第2弾です

 南蛮粉を多めにしてみましたが、美味しかったです。ただ、水にさらしておいたワラビをそのまま使ったので、少し水っぽかったかも。ちょっと醤油を足して戴きました。

 それにしても、ワラビは美味しい。特に、『花園』のワラビは、やっぱりスペシャルだということを再確認できました。

 で、すごく勉強になったのが、『匙加減』。アク抜きにしろ、一本漬けにしろ、ちょっとの匙加減を変えるだけで、美味しさが倍増したり損なわれたりすることがよく分かりました。

 Y川の山の神様、ありがとうございました。これからも、美味しく戴けるように研究していきたいと思います。

 

 一応、記録なので、他のワラビをどうしたのか画像を残しておきたいと思います。

       アク抜きをしたもうひと鍋分は乾燥させています

       丸一日干して、ここまで。さすが手強い(太いんです)

 ※ゼンマイみたいに揉んで丸めることはしません。

 茹で切れなかった分は、

       桶で塩漬け

       重しをしたら、蓋が閉まらなくなって焦ったんだけど

 2日目には落ち着いてくれました(これ以上漬けるのは無理)。

 それぞれ、時差を付けて楽しませてもらおうと思います。