浜松駅から静岡駅に戻ると16:30頃。飲屋街をぶらぶら歩きながらどこに行こうか考える(最近お気に入りの テレビ番組「ケンコバのほろ酔いビジホ泊 全国版」みたいなイメージである)。そして過去一度行ったことのある居酒屋「K」へ。
まずはパーフェクト黒ラベルのグラスビールで喉を潤す。なにしろ暑い中を歩いてきたので、途方もなく美味い。そしてこの店の通しは冷やし茶碗蒸しだった。早速食べると出汁の香りよく、しかもその中に微かな柑橘系の香りがするのである。これ幾らの値段で出しているのか分からなかったが、名店の通しはかくあるべしという出来栄えである。
まずは昨日も美味かった、海つぼをもう一度食べよう。
この海つぼ、実はつぶ貝と似たところもあるのだが、肝がしっかりしていて抜群に美味い。昨日食べた店では3個中1個しかちゃんと肝が端まで取れなかったのだが、それが鶏レバーの良いものに匹敵するような味だったのだ。
さて、今回はと。貝を回しながら身を取ると良いというのは知っているのだが、それにしても上手く取れんな。結局、3個中1.5個くらいの肝を食べることができたのだが、ちょっと不本意だ。誰か地元の海つぼ名人と席を共にしたいものである。いや、店の人に「私、観光で来たので取り方が分からなくて…」と甘えるのが良いのかな(若い女子ならともかく、オッサンが甘えてもな…)。
そして、一人なので刺身は3点盛りでもよかったかもしれないがそんなに値段が違わないのでえいやと5点盛りを注文。内容はカツオ、イカ、アジ、タコ、ヒラメという布陣(小葱が別添えなのも嬉しい)。
この中で縁側付きのヒラメ、吸盤と足を取り合わせたタコも良かったが、カツオ刺身がすごかった。カツオは少し身割れがしやすく乾燥しがちな魚だが、今日はとにかく完璧になめらかなのだ。最初に少し生姜を使ったが、その薬味が不要なくらい新鮮だ。間違いなく私のこれまでの人生最高のカツオ刺身であるだろう。そしてもう一つ驚くべきが鯵の刺身である。脂がのっているが嫌味がない。その弾力はまさしく取れたばかりの切れ味であろう。
ちょっと昼飯をしっかり食べていたので、そこまで食欲がないなと思ってきたのだが、ここの料理がそれを忘れさせる。燗酒を頼んで「本日のおすすめ」から、旬のねぎぬたというのを注文する(この品名を見て頼まないでおられようか)。
ねぎぬたという名前ながら結構魚介類が入れられており、見ればホッキ、マグロ、タコ足、カツオたたきの端っこなど、とにかく美味い、楽しい品である。これが450円なのだから、お金がなくて魚介を楽しみたい人は全員これを注文すべきであろう。
そして今回の静岡シリーズ、魚介のうまい店でも焼き鳥を頼んでみるぜということで来ているのだが、ここでもねぎ間を注文してみよう。おおっと、これは予想外の豚肉+ネギだ。どう考えてもメニューの並びから見て鶏肉+ネギだったよな。
と言いつつこの豚串、香りがとにかく良いのだ。食べてみると脂分が強くはあるが、カラシや残しておいたワサビをつけるとさっぱり食べられる。そしてその脂を吸収したのか、葱がやたらに美味い。なかなかよろしい焼き鳥、いや正しくは「ヤキトリ」か…、に満足である。
というところで、素晴らしい店と料理に感心した。ここもまた超名店の一つだな。いつかまた来よう。