山のこと

若い頃はよく山に出かけた。
低い山も高い山もよく出かけた。

金が無くて
三人用のテントに4人で寝た。
眠れなかった。
値切って４０ｍのザイルを月賦で買った。

湿気を含んだビニロンのテントを背負った。
夜、木々を渡る風に心が安らいだ。
谷川岳の壁面のすごさに畏怖を持った。

友達は中国の氷河で亡くなっている。
30年前の事だ。
その後奥さんがどういう生活をしているのか知らない。

彼は私の席の後ろに居た。
私が山をやろうと言ったのだ。
アルバイトも同じ所でやった。
卒業のときに山岳会に入ろうと彼が誘った。
断わったのです。
時々その事が頭を過ぎるのです。


怖いもの知らずは若者の特権である。
怖さを知っているのは年寄りの経験です。
多くの人たちのいろいろな経験の上に生きていると思う事が時々あります。