続・トコモカリス無法地帯

うんざりするほど長文です。

お手並み拝見

2012-10-09 03:22:41 | 読書感想

基本的に私は意地の悪い性格で、他人の失敗を見て喜ぶというタチの悪い傾向があります。今日も地下鉄で耳にイヤホンかけたスカシた高校生のガキが、目の前でパスケースを落っことしたのを知らん顔して済ましました。聴覚遮断してるからそんなミスに気づかないんだよ、バーカ。改札機の前で慌てればいいよ、いい気味。とか思ってたら横にいた女が「落としましたよ」とか余計なお世話。つまんね。いらんことすんなや。

そんな根性の悪い私は本を読む態度もひん曲がっていて、難しい展開をどう捌くのか作者のお手並み拝見と上から目線で読むことが多いです。そこで、安直な進め方をすると「所詮その程度かよ」と切り捨てて処分箱行きになるわけです。超展開、後付け設定、伏線放り投げ、際限ない引き伸ばし、全部アウトです。緻密な計算で構成された高い完成度を求めるわけですが、みんながみんなそんな良い仕事出来るわけないです。

今現在、最も意地悪い視点で読んでいるのがラブコメジャンル。

「神のみぞ知るセカイ」
大変面白いと思うけれどあれはラブコメではないな。かといってバトル系でもない。開戦直前の情報戦なのだろうか。今の話は魔界の秘密結社が決起直前まで水面下で動いていて、それを最前線指揮官が水際でくい止めるために極秘に対抗し得るコマを並べているところですな。コマは攻略対象の女の子で敵も味方も全員ペテンにかけて戦況をひっくり返そうという孤軍奮闘の状態。状況的には圧倒的不利なのに、頼りになるのは主人公の分析力と行動力だけというすごい逆境。これどうするの?と心配になる難しい展開なのですが作者はかなり計算力の高い人らしく、今のところ見事な切り返しとまとめ上げで話を組み上げていっています。ヒロイン達の描き方も丁寧だし、視点が広くて感心します。1人イレギュラーな子がいるのです。上位ヒロイン枠からこぼれ落ちたとでも言いましょうか、残念な子。その子にもきちんと視点が向いてます。たくさん登場人物がいるけれど捨てキャラが居ない。これは良い出来の作品だと思います。

「やさしいセカイのつくりかた」
意図せず女子高教師になってしまった天才数学者の主人公と、彼をめぐる2人のヒロインという構図なのですが、これはマズイ、困る、後に行くほどつらくなると心配です。作者が。なぜかというとハッピーエンドに至るルートが見えないのです。主人公が特殊で恋愛に価値を置いていません。彼の目的は研究資金の捻出で、今の境遇は不本意な寄り道なのです。しかも設定年齢19歳。天才的な研究家ですが人間的には未発達。あまり教師として立派とは言えず、実際そんなに熱心な教師ではないし、生徒との関わりで情にほだされていく様子も無い。生徒に教えるのは通過点に過ぎず、彼の目標はもっと上を見ています。こんな男にどうやって一介の女子高生がアプローチすれば良いのか。作中でも尽くフラグをスルー・クラッシュされて玉砕する姿が描かれています。これは設定ミスじゃないの?だって主人公がこのヒロイン達から得られるものは何もありません。かといって主人公がヒロインにアプローチしていくほど彼は彼女らに関心持っていないし、ぶっちゃけ主人公側にメリットが見られない。最初に提示された、アメリカで研究を続けるという目的を捨ててまで拾いに行くほどのヒロイン達とは思えない。ヒロイン達は普通に良い子達ではあるけれど、それは他の普通の男が拾えばイイわけで、わりとキャラが立ってる主人公が日和ってくっつく展開は安直で不自然に感じます。主人公は天才で、高い志と目的があって、理解者もきちんと居て、家族の愛情も足りていて、付け入る隙がありません。対するヒロイン達は、ちょっと自分に嘘をついてる内向きな娘と、ギャルっぽいけどピュアな娘、どっちも力量が足りてません。先程出た最新刊の3巻でもちっともフラグが立ちません。片っ端からへし折れてます。これは彼女らだけの努力でどうにか出来る相手ではない気がします。かといって主人公がいきなり惚れてくる展開も不自然。仮に惚れても地位も目的も投げ捨てて得るほどの女じゃないよね。良くも悪くも所詮は女子高生、まだ人間レベル1くらい。かなりイベント仕込んでバランスを崩さないと無理目。正直なところ、私はこの漫画にはハッピーエンドはまったく求めていません。盛大な玉砕を期待していたりしますが、このタイトルではそれはないかな。

私が作者ならこんな既に先の無いヒロインズで引っ張る必要性を全然感じないので、さっさと捨てて次の話にとりかかりますが。


私はまた最近少々捻りが加わってきて逆転構図を好んで見ています。今まで散々漫画やゲームでヒロインを落とす展開を見てきたので、逆に女性側から男を落とす展開が見たいと思うわけです。もう一つの理由は私の中身がシステムダウンして性欲が無くなっちゃったので、ヒロインを追う主人公という構図が遠く感じるというのもあります。「めぞん一刻」を読み返した時に思ったのが、こんなに人を愛せないわーという呆れに近いもの。もう私も残り時間が多くないので、ツンがデレるまで待ってられないのよ。先述の「やさしいセカイのつかりかた」ではヒロインは1巻の中盤ですでにデレが入るのですが、私自身はもうコイツいらねえやとか思ってました。そのくらい今の私は切り捨てるのが早い。


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