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マーケティング研究 他社事例 360 「ビジネスの種の見つけ方1」 ~スコット・コミナーズに学ぶ~

2019-06-04 16:05:08 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 360 「ビジネスの種の見つけ方1」 ~スコット・コミナーズに学ぶ~


ハーバート経営大学校でMBAで教えている、スコット・コミナーズは市場の失敗の発見が起業につながると言います。

彼の持論を見ながら、ビジネスの種の見つけ方を考えて行きたいと思います。

「皆さんは金融市場、住宅市場などあらゆる取引市場に日々接しているだろう。だが一方で、日常的に接していながら、それを「市場」として認識していない市場もあるはずだ。例えば、結婚市場、デート市場も立派な市場である。経済学的な意味における「市場」とは、市場参加者が互いに反応し、何らかの動機をもって取引を模索している状況をすべて指す」

とコミナーズは言います。

市場が失敗せず、仕組みが有効に機能している間は、大きなビジネスチャンスが生まれにくいとも言えそうです。

「古典的な経済学では、例えば、金融市場では、参加者それぞれの思惑で株式を売買したり、借金をしたりといった取引をすることで、おのずと価値が創出されることになっている。売りたい参加者はできる限りそれが市場で一番良いように見せ、買いたい参加者は将来はさらに価値が上がると考えたものを買う。という動機で動く。結婚市場もこれで、市場参加者がより自分にふさわしい相手を探そうとする市場だ」

しかし、現実の市場は常々有効には機能しません。

その状況をコミナーズは「市場の失敗」と呼んでいるのです。

「市場に失敗は、何によって引き起こされるのだろうか。そこには多くの要因がある。まず、「摩擦」が市場取引を妨げる。「摩擦」のひとつが、不完全な情報だ。金融市場なら、投資したいがそもそも将来どの商品の価値が上がるかは分からない。結婚市場では、自分を格好良く見せようと相手が偽りの姿を見せているかもしれない。中古車を買いたいが、どれが高品質か見抜けない。現実社会ではこうした要因のために、価値を生み出せるはずの取引がなかなか成立しない。これが市場の失敗で、さらに広げて言えば、間違った取引が発生し、最適な結果につながらなかった時の事をも指す。経済学者は長い年月の間、市場の失敗について研究し、様々な種類に分類しながらその内容を判別してきた。そして近年は、市場の失敗を理論的に修正できないか、と考え始めている」

成熟市場における大きなビジネスチャンスは、こうした市場の失敗を修正することで生み出せるというのが、コミナーズの考えとなっています。

「例えば、ファーディング・アメリカという、アメリカ最大級のNPOがある。同組織は、会員のフードバンクと寄付された食料などをマッチングさせるため、組織の内部に取引市場がある」

生活困窮者に食品を配給している団体と、その志に賛同し食品や資金を寄付したい人々、本来であれば、放っておいても取引はいくらでも成立するはずです。

しかし現実にはそうならないといった事が起こります。

情報不足という「摩擦」で、寄付者はあちこちのフードバンクのうち、果たしてどこに寄付するのがベストなのか、見極められないからです。

「ファーディング・アメリカに寄付された食料をフードバンクに割り当てる時、会員のフードバンクは内部通貨で入札に似た取引をする。最高値で入札したフードバンクが食料を得られる。本来難しかった適正な取引を実現した典型的な事例だ。ウーバーテクノロジーズやエアビーアンドビーといった、IT(情報技術)基盤やアプリを活用した新興企業も「使われずにいる(価値ある)スペースの存在」という市場の失敗に注目し、それを解決した。自分の車に人を乗せたい人がいて、車で移動したい人がいる。経済学が仮定する理想的な世界なら両者は簡単に取引が出来ますが、これまでそうした取引は実現しづらかった」

コミナーズは新たな市場の仕組みをつくることを「マーケットデザイン」と呼んでいます。

「マーケットデザインの考え方は、既に多くの公共プロジェクトなどで活用されている。アメリカ・イギリス・日本における研修医のマッチングプログラム(医師の希望と研修先の希望をマッチさせる仕組み)、また世界中で利用されている、学生を各学校に振り分ける選択プログラムもその一つだ」

では、市場の失敗を引き起こす「摩擦」をどうすれば見つけられるのか?

とても気になる所だと思いますので、それについては次回ふれて行きたいと思います。


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