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マーケティング研究 他社事例 361 「ビジネスの種の見つけ方2」 ~スコット・コミナーズに学ぶ~

2019-06-07 08:30:16 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 361 「ビジネスの種の見つけ方2」 ~スコット・コミナーズに学ぶ~


本来成立することが望ましい取引が、適正でない価格設定や条件などのため成立しない事をコミナーズは「市場の失敗」と説明しています。

今回は、この市場の失敗を見極める方法を紹介していきます。

第一歩は、それぞれの市場で発生している「摩擦」を見つける事です。

「摩擦」とは市場での取引を妨げるもののことです。

例えば、合意寸前だった取引候補者同士のやり取りが、通信状況が悪くとん挫してしまったと仮定しましょう。

この場合の摩擦は、通信手段の不在だと考えられます。

ほかにも、言葉の壁のような単純のものから、特定の業界で続いて来た長年の商習慣まで、その種類は様々です。

適正な取引を困難にする政府の規制も含まれます。

市場において最も古くからある摩擦は「地理的制約」と言われています。

市場の創出は、人類が長い歴史の中で続けてきた営みで、例えば中世の時代には既に、債務の「清算市」があったのです。

貸金業者があちこちから集まって、仲介人を通じて債務を整理し、取引しながら適正に清算していました。

ただ当時、この取引を実現させるには、一堂に集まらねばならないという物理的な制約があったのです。

貸出条件などが書かれた借用書とローンの期間を目の前で比較しないと、安全な債務の交換などが出来なかったからです。

しかし、通信手段や信用を担保する仕組みの発達で、現地集合が必要な「地理的制約」という摩擦は軽減されたと言えました。

コミナーズは、こうした摩擦が往々にして市場の失敗の温床になっており、摩擦を解消できるビジネスは成功する確率が高いと説きます。

「摩擦を見つけて解消する」とは、「市場の失敗」を修正することです。

摩擦を解消する仕組みをゼロからつくり上げるビジネスは、魅力的な起業対象の一つとなります。

起業が社会的な価値創造につながることが、ビジネスを始める前からわかっているからです。

それに、市場の失敗を解決する起業は、別な人が既に考えたものを改善したり、PDCAサイクルを高速化したり、コストカットしたりする起業とは全く違います。

全く新しい仕組みによってこれまでなかった取引を実現することを通じて、利益を生み出すのです。

コミナーズが代表的なケースとして紹介しているのが、中古車市場のプラットフォーマーのアメリカの会社「シフト」です。

「シフト」が登場するまで、中古車市場でより良い取引を経験することは少なくとも無かったアメリカ人にとって、取引の摩擦により、不愉快でケチなものになりがちでした。
(続く)


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