マーケティング研究 他社事例 594 「スタグフレーション」 ~浮上する最悪の結末~
コロナ危機の深刻化によって、財政破綻まではともかく、その一歩手前の異常な状態までは進む可能性があると指摘する専門家もいます。
それは、「スタグフレーション」と呼ばれる現象です。
スタグフレーションとは、インフレーションにもかかわらず不況が続く状況をさします。
どういったことでしょうか?
言葉として歴史上登場したのは、1970年、当時のイギリスの財務大臣のイアン・マクラウド氏が初めて使用したとされています。
正常であれば、インフレーション時は物価上昇と同時に企業収益も改善し、賃金の上昇が連動していれば生活に影響はないですし、賃金の上昇が物価のそれを上回れば生活は楽になります。
これがアベノミクスの理想的展開です。
しかし、スタグフレーションの下では、賃金を横目に物価だけが上がっていくのです。
なぜこんな『異常』が起きるのでしょうか?
「スタグフレーションはになるのは、インフレーション政策でお金が大量供給されているのに、モノの供給が制約される時」と帝京大学の宿輪純一教授は説明しています。
今回に照らし合わせるとまず、世の中のお金がコロナショックで一段と膨れ上がるのは確実です。
政府は4月初旬に事業費総額108兆円の緊急経済対策をまとめ、その後、国民一人当たり一律10万円を支給すると決めました。
コロナ禍で生活が苦しい人を救おうという措置とはいえ、ただでさえ異次元緩和で大量供給されてきたところに、新たなマネーが舞い込む訳です。
そして2つ目の条件であるモノの供給が止めるという状況ですが、「コロナショックが今までの危機と明らかに違うのは、供給に大きな制約が加わっていること。世界の工場である中国を中心に、人為的にサプライチェーンが途絶されており、国際物流の復旧にも時間を要する。ここで需要が急回復すれば、スタグフレーションの可能性は十分にある」。
こう話すのは、慶應義塾大学の土居丈朗教授です。
もっとも、スタグフレーションに向かうには、当然のことながらまずインフレーションにならなければなりません。
デフレ脱却が一向に進まずに、コロナ禍での自粛要請によって需要減退が進む今の日本は、そもそもそうはならないのではないかとの声も多いいようです。
しかし、これに対して、土居教授は「だとしてもコロナが終息した直後から本格的なインフレーションになる可能性がある」と指摘します。
「感染防止目的の自粛からの解放で消費への欲求が爆発し、それに対応する供給がなければ、当然物価は上がる」という訳です。
他にもコロナ終息後のスタグフレーション危機を否定しない専門家は多くいます。
中には、長期的には、アベノミクスの結末として「デフレ続行・深化」を予想しながら、「皮肉な話だが、ワクチンや特効薬が開発されコロナ問題が早期に収束し需要が急回復すると、中国を中心とする生産の回復が追い付かず、スタグフレーションに向かう可能性が浮上してしまう」と見ている人もいます。
実際、「需要の急拡大」と「供給の制約」に見舞われたマスクは、日本国内での実勢価格が4月下旬には平常時の7倍を超えたと言われています。
同じことが他の製品やサービスでも絶対に起きない保証はないという理屈です。
もちろん、コロナ問題に伴い供給を急回復させることができればリスクは減るが、話はそう簡単ではありません。
中国の現地メディアでは4月以降、こんなフレーズを目にする機会が増えたようです。
【修工不復産、復産不復元】
意味は、労働者が戻っても生産は回復せず、生産が回復しても元の通りにはならないという事です。
コロナショックが真っ先に拡大した中国では、移動制限の緩和で労働者が現場に戻り始めたものの、広東省などではそうした人々のホームレス化が社会問題になりつつあります。
「供給網をいったん途絶してしまうと、元に戻すのはそう簡単ではない」と前述の土居教授は言います。
中国国内でコロナウイルスが再流行する事態になれば、復旧がさらに遠のくことは明白です。
無論、スタグフレーションはいくつかの条件が重なって出現する最悪のシナリオの一つに過ぎません。
物価を大きく左右する原油価格は、足元で下落基調が続き、4月には先物価格が史上初のマイナスをつけてもいます。
それでも、アベノミクスが成功し、企業業績が回復し、物価上昇を上回るペースで賃金が増えていくという『国主導による所得倍増計画』もまた、コロナショックによって極めて厳しい局面に追い込まれている事は間違いありません。
新賃金制度、副業挑戦、海外移住、インフレターゲットなどなど、ここ数年、多くの企業や個人、そして国が模索してきた「令和の所得増加作戦」は多くが、コロナショックで幻となってもおかしくない状況になりつつあります。
こんな状況で「GDP25%減」や「40兆円分の市場が消滅」といった専門家の悲観的予測が実現すれば、多くの日本人に『年収2割減時代』が訪れても不思議ではありません。
仮にコロナ収束後、自粛明けの反動で消費が急拡大しても、その持続は難しくなります。
ただでさえ少子高齢化と人口減に悩む日本です。
この国は沈み続けるままなのでしょうか?
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
ご興味があればご一読下さい。
経営の根幹は「人」です。働く人次第で成果が変わります。自分事で働く社員を増やし、価値観を同じくし働く事で働きがいも増します。
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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣
コロナ危機の深刻化によって、財政破綻まではともかく、その一歩手前の異常な状態までは進む可能性があると指摘する専門家もいます。
それは、「スタグフレーション」と呼ばれる現象です。
スタグフレーションとは、インフレーションにもかかわらず不況が続く状況をさします。
どういったことでしょうか?
言葉として歴史上登場したのは、1970年、当時のイギリスの財務大臣のイアン・マクラウド氏が初めて使用したとされています。
正常であれば、インフレーション時は物価上昇と同時に企業収益も改善し、賃金の上昇が連動していれば生活に影響はないですし、賃金の上昇が物価のそれを上回れば生活は楽になります。
これがアベノミクスの理想的展開です。
しかし、スタグフレーションの下では、賃金を横目に物価だけが上がっていくのです。
なぜこんな『異常』が起きるのでしょうか?
「スタグフレーションはになるのは、インフレーション政策でお金が大量供給されているのに、モノの供給が制約される時」と帝京大学の宿輪純一教授は説明しています。
今回に照らし合わせるとまず、世の中のお金がコロナショックで一段と膨れ上がるのは確実です。
政府は4月初旬に事業費総額108兆円の緊急経済対策をまとめ、その後、国民一人当たり一律10万円を支給すると決めました。
コロナ禍で生活が苦しい人を救おうという措置とはいえ、ただでさえ異次元緩和で大量供給されてきたところに、新たなマネーが舞い込む訳です。
そして2つ目の条件であるモノの供給が止めるという状況ですが、「コロナショックが今までの危機と明らかに違うのは、供給に大きな制約が加わっていること。世界の工場である中国を中心に、人為的にサプライチェーンが途絶されており、国際物流の復旧にも時間を要する。ここで需要が急回復すれば、スタグフレーションの可能性は十分にある」。
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もっとも、スタグフレーションに向かうには、当然のことながらまずインフレーションにならなければなりません。
デフレ脱却が一向に進まずに、コロナ禍での自粛要請によって需要減退が進む今の日本は、そもそもそうはならないのではないかとの声も多いいようです。
しかし、これに対して、土居教授は「だとしてもコロナが終息した直後から本格的なインフレーションになる可能性がある」と指摘します。
「感染防止目的の自粛からの解放で消費への欲求が爆発し、それに対応する供給がなければ、当然物価は上がる」という訳です。
他にもコロナ終息後のスタグフレーション危機を否定しない専門家は多くいます。
中には、長期的には、アベノミクスの結末として「デフレ続行・深化」を予想しながら、「皮肉な話だが、ワクチンや特効薬が開発されコロナ問題が早期に収束し需要が急回復すると、中国を中心とする生産の回復が追い付かず、スタグフレーションに向かう可能性が浮上してしまう」と見ている人もいます。
実際、「需要の急拡大」と「供給の制約」に見舞われたマスクは、日本国内での実勢価格が4月下旬には平常時の7倍を超えたと言われています。
同じことが他の製品やサービスでも絶対に起きない保証はないという理屈です。
もちろん、コロナ問題に伴い供給を急回復させることができればリスクは減るが、話はそう簡単ではありません。
中国の現地メディアでは4月以降、こんなフレーズを目にする機会が増えたようです。
【修工不復産、復産不復元】
意味は、労働者が戻っても生産は回復せず、生産が回復しても元の通りにはならないという事です。
コロナショックが真っ先に拡大した中国では、移動制限の緩和で労働者が現場に戻り始めたものの、広東省などではそうした人々のホームレス化が社会問題になりつつあります。
「供給網をいったん途絶してしまうと、元に戻すのはそう簡単ではない」と前述の土居教授は言います。
中国国内でコロナウイルスが再流行する事態になれば、復旧がさらに遠のくことは明白です。
無論、スタグフレーションはいくつかの条件が重なって出現する最悪のシナリオの一つに過ぎません。
物価を大きく左右する原油価格は、足元で下落基調が続き、4月には先物価格が史上初のマイナスをつけてもいます。
それでも、アベノミクスが成功し、企業業績が回復し、物価上昇を上回るペースで賃金が増えていくという『国主導による所得倍増計画』もまた、コロナショックによって極めて厳しい局面に追い込まれている事は間違いありません。
新賃金制度、副業挑戦、海外移住、インフレターゲットなどなど、ここ数年、多くの企業や個人、そして国が模索してきた「令和の所得増加作戦」は多くが、コロナショックで幻となってもおかしくない状況になりつつあります。
こんな状況で「GDP25%減」や「40兆円分の市場が消滅」といった専門家の悲観的予測が実現すれば、多くの日本人に『年収2割減時代』が訪れても不思議ではありません。
仮にコロナ収束後、自粛明けの反動で消費が急拡大しても、その持続は難しくなります。
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この国は沈み続けるままなのでしょうか?
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